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メーカーカスタムだからこその圧倒的完成度を誇る〝BOOST GEAR〟

■SUBARU REGACY OUTBACK BOOST GEAR PACKAGE

自動車メーカーもさまざま趣向を凝らしたカスタマイズに着手する昨今。その中でも単なるカーショー仕様にとどまらず、今後のメーカーカスタムを担う可能性を感じさせるコンセプトがある。それが2023年にスバルの若き開発者たちによって立ち上げられた『BOOST GEAR(ブーストギア)』だ。そして、今でも鮮烈な記憶とともに記録されているのが、東京オートサロン2024で行なわれた『東京国際カスタムカーコンテスト』において、ドレスアップ・SUV部門の最優秀賞を見事に受賞したSUBARU『レガシィ アウトバック BOOST GEARパッケージ』。前作はクロストレックをベースに、スバルが力を入れる純正アクセサリーの商品群『BOOST GEAR( ブーストギア)』をアピールする車両となったが、ブーストギアのブランドイメージを体現した次なるモデルは“もっと遠くへ、もっとたくさんの経験を、もっと長い間遊びたくなるオーバーランダー”をテーマに、MTB(マウンテンバイク)などで山を中心としたアウトドアフィールドで活躍する、装備とスタイルを融合したワクワクが溢れたコンセプトモデルだった。今回もデザイナーとしてトータルコーディネートを担当したスバルの須崎さんに登場いただき、詳細を解説してもらったので、駆け足にまとめてみよう。

 最大の特長は、これまでのカスタムの概念を覆す新たな試み。DMMとの協業で実現したのが、3Dプリンターを使ったパーツ製作で、フロントグリルやフェンダーは実際に3Dプリンターでつくったパーツを投入。この生産方法だと多品種少量生産が可能になる上、パーツデザインのバリエーションが増やせる。
 既存のパーツでは成し得なかったデザインの自由度により、フロントグリルの複雑なフィン形状は裏側を抜いた立体構造に。他にも随所に3Dプリンターだから造形できた形状を持つ。ちなみにこのグリルデザインはセンター部にU形状パーツを込めたもので、これは初代スバル『レオーネ』のそれをオマージュしたデザイン。フードモールには、USカスタム感が漂う小型マーカーが埋め込まれる。
 外装でもうひとつ注目のポイントがオーバーフェンダー。こちらも凝ったフローティング構造を採用し、さらにかなり斬新な面発光のLEDをビルトイン! また4つのフェンダーアーチの上部には、3Dプリンターで作られたそれぞれ小さなパーツを装着している。これは交換可能な設計とすることで、スマホホルダー(スピーカー的音響増幅機能有り)やダイヤルキー付きのカギホルダー、タオルなどのハンガー、マグネットなどなど、バリエーション豊かな使い方を披露してくれた。
 また前作でも投入されたボディサイドへのプロテクターは、より現実的な形状になった。周囲に凹凸を設けてテンションコードをセットできる構造にした上で、プロテクターの表面を滑らかな凹形状にすることで、ボディを傷つけずにマグネットで貼り付けられる工夫もある。
 なお、足もとに装着されていたのはトーヨータイヤの『オープンカントリーA/TⅢ』。このタイヤのオールラウンドな性能とコンセプト、そしてホワイトレターのアピール度などが車両と相性バツグンで、両社はカーショーへの展示のほか、さまざまなコラボを行なっている。ちなみにA/TⅢは、スノーフレークマークが打刻されたタイヤであり、ちょっとした浅雪くらいなら問題なく走れるなど、まさにブーストギアの相棒にピッタリのタイヤなのだ。
 それにしても3Dプリンターによる生産など、カスタマイズの概念が変わる構想は実に素晴らしかった!今後の市販化を目指しているアイテムはまだ多かったが、開発のコンセプトは純正アクセサリー(フードデカール、フューエルパネル、ホイールなど)を基にカスタムしているため、実現性のあるパーツでまとめられていることが最大の美点。車両を見ていると、新時代のアウトドアパッケージとして、パーツの販売はもちろん、そのまま特別仕様車として実際に発売して欲しいと感じさせられた。

初代レオーネのU字デザインをモチーフに、羽を何枚も重ねたような複雑な造形を3Dプリンターで実現したグリル。上部はUS感のあるIPF製4連LED搭載のプロテクターを採用。BOOST GEARらしく、アウトドアギアなどを立てかけられるラバー素材で保護できるなど、実用性も高い。4連LED内蔵モデルでの市販化に期待したい。
ヘッドライト&テールレンズにプロテクターガーニッシュを装備。滑り止め機能を持つラバー素材で、ヘッドライトを守るだけでなく、ちょうどロードバイクやMTBを立てかけられるように、ハンドルの高さを計算。純正アクセサリーで販売しているフューエルパネルを装着。
前後バンパーやドアミラー、ボディサイドプロテクターといった林道などで傷つきやすい部分には、イサム塗料と共同開発した特殊塗装を施す。ガード機能はもちろん、ヘビーデュティなギア感も強く表現。一方でノーズプロテクターやランプ周囲のランプガーニッシュにはラバー素材を採用。
アレンジ自在の硬質ゴムを取り付けたドアサイドプロテクター。汚れた手でドアを開けることなく、気兼ねなくそこに小物をひっかけることができるのは助かる!また、くぼみにマグネットパネルを採用して、工具などの鉄製品を貼りつけて置いておくことができるという、趣味に使えるアイデアに脱帽!
3Dプリンターを活用したDMMとの協業で製作したもうひとつの目玉が、面発光の3連LEDを内蔵したオーバーフェンダー。フェンダーの頂点にある4種類のアクセサリースポットのギミックも素晴らしい。
3Dプリンターの仕上がりそのままだが、クオリティは高い。使い方いろいろのアクセサリースポットとして、スマホスピーカースタンドのポケットのほか、ナンバーロック付きの簡易ロッカーなども。これは車のキーを持ち歩きたくないサーフィンなどのアクティビティに重宝するだろう。
日本のトレーラー専門メーカーであるブラストトレイルのトレーラーに、北米ブランドのLEITNER製ピックアップトラック用のヤグラと、Kuat製バイクキャリアを合体させたキャリアシステムを構築。コンセプトは「ガレージの中をそのまま連れて歩く」というもので、マウンテンバイクのほか、キャンプギアも満載に積むことができる。山を中心としたアウトドアフィールドで活躍するブーストギアのブランドイメージを体現した装備のひとつ。トレーラーのタイヤもオプカンにしてあるなど、遊びゴコロを感じさせる。
遊びのアイデアを全開に凝縮したBOOST GEARは、そのデザインにもさまざまな想いを込めている。ターコイズブルーのグラデーションは、旅人の安全を願ったという『トルコ石』の風合いを採用。そこにあしらわれた花のデカールはツツジ。これはSUBARU群馬製作所本工場の所在地である群馬県太田市スバル町の市花なのだ。

足もとはインパクト抜群の18インチ・ホワイトレターの「OPEN COUNTRYA/T Ⅲ」を装着。レガシィ アウトバック BOOST GEARパッケージ コンセプトは、オリジナルのアイテムだけでなく、既存パーツを使用するシーンをイメージして選んでいるのもナイス!ちなみにホイールは実際に純正アクセサリーで設定されているものを選び、そのバルブ部分にブーストギアのイメージカラーのターコイズをペイント。カラーアクセントだけでなく、バルブ位置を明確にするという意味合いがある。こうしたコラボにより、東京オートサロン2024ではトーヨータイヤブースに展示。見事にドレスアップ・SUV部門の最優秀賞を獲得。