■OHLINS S46 for ジムニー
1976年創業、スウェーデンが誇る世界的ショックアブソーバメーカーが「オーリンズ」だ。日本では主に2輪の世界=MOYO GPでの活躍が知られているが、もちろん4輪でもF1をはじめとしたサーキットシーンで、またWRCなどグラベルでも輝かしい実績を積んでいるトップブランドである。
そんなオーリンズがオフロードをターゲットに開発したショックアブソーバが「アドべンチャー」シリーズ。第1弾としてメルセデスベンツGクラス用がリリースされているが、その第2弾として登場したのがジムニーJB64/74用「オーリンズS46 for ジムニー」だ。

スウェーデン本社で開発・製造され、モーターサイクルを出自に持つ最高峰ショックアブソーバ「S46」の基盤を継承。ストリートやワインディング、ダートやロックなど、オフロード4WDが走りうるすべてのシチュエーションで、最高のパフォーマンスを発揮できるよう設計されたという。

ジムニーJB64/74用にリリースされている「オーリンズS46」。テスト車両はその実力を証明するため、スプリング、タイヤ&ホイールなどフルノーマルの状態で用意された。
4つの特徴


1.φ46㎜の大型ピストンを搭載
オーリンズ独自のピストン+多積層バルブ採用。出来のいいオイルシールも滑らかな動きを実現。
2.φ49㎜の大容量リザーバータンク
フリーピストンの作動量を減少させるので、ストローク時のガス圧の変化を縮小、熱ダレも抑制。
3.アルミ製高剛性シリンダー
S46はオールアルミ製。内部摺動のフリクションを低減しているほか、本体の軽量化も実現した。
4.スーパーフィニッシングロッド
世界最高レベルで磨かれたスーパーフィニッシングロッドがピストンロッドの素早い動きを実現。

JB64と74ではリザーバータンクの設置場所が異なる。もちろんJC74(ノマド)も、どこにも干渉しないリザーバーの設置場所が決まれば、すぐにリリースされるはずだ。


縮み側の減衰力は写真上のダイアルで調整し、伸び側はロッドのマウント下部にあるダイアルでセットする。
滑らかなピストンロッド伸/縮それぞれで調整可

ジムニーのために用意された「オーリンズS46」は、高圧ガスモノチューブ・サブタンク式、46φ㎜の大型ピストンを搭載しながら49φ㎜の大容量リザーバータンクを備え、フリーピストンの作動量を減少させ、ストロークに対するガス圧変化の縮小と、熱ダレを抑制してくれる。また本体は高剛性アルミ製で、重量は1本当たり、リザーバータンクを含め2.0〜2.1㎏で、ほぼ純正ショックアブソーバと同等。もちろんバネ下重量の軽減化につながるもので、これもオーリンズによる運動性能向上の一因だ。
さらにピストンサイズに合わせ、16φ㎜という太さのロッドは、オーリンズ独自の技術である〝スーパーフィニッシングロッド〟と呼ばれ、世界最高レベルの平滑度に磨き込まれている。これによりキズに対する防御と、他にはない滑らかなストロークを実現している。ストロークと言えば気になる〝ストローク量〟だが、今回はノーマルスプリングに組み合わせたが、ストローク量は50㎜のリフトアップまで対応。走るフィールドに合わせてスプリングを選んでも、オーリンズならしっかりマッチアップできるはずである。
そして何より、オーリンズS46の特長となっているのが伸び側と縮み側、それぞれで減衰力調整ができること。伸び側はロッドのマウント下部に備えられ、約45クリック可能。メーカー推奨はダイヤルを右に完全に閉じた状態(0)から左に回した〝10クリック戻し〟一方、縮み側は約25クリックで、同様に推奨は〝10戻し〟ここから自分好みの乗り味を探っていくといいだろう。
では実際、どんな走りを見せてくれるのか?今回はコイルスプリングやタイヤ&ホイールなど、あえてショックアブソーバ以外ノーマルのままのJB64に装着して、様々な路面をドライブしてみることにした。
前後ともメーカー推奨の〝10戻し〟にセッティングされたJB64。オンロードは身のこなしがしなやかで、乗り味も上品な印象だ。しかし少し元気にワインディングを走らせると、身のこなしがとても軽やかで、スピードを上げるにつれタイヤが路面にぴたっと吸い付いてくるよう。ショックアブソーバ伸び側の減衰力がすぐに立ち上がってくるので、ロール状態からクルマが素早く姿勢を取り戻していく。挙動も分かりやすいし、ハンドリングが小気味いい!
一方、林道などのダート路では、まずは乗り心地の良さが印象的であった。路面からの突き上げを容量たっぷりのショックアブソーバがうまくいなし、乗員に大きな衝撃を与えない。それでいて路面状況のインフォメーションは伝えてくれるので、とても運転しやすい。モーグルでも減衰力の伸び側・縮み側のバランスのよさがリズミカルとさえ言える走りをサポートする。ただしこのシーンは、リフトアップコイルや、オフロード向けのタイヤで試してみたかった。
ON-ROAD TEST【General road】

ON-ROAD TEST【Highway】

スポーティなショックアブソーバと思いきや、ストリートでのオーリンズは上品な乗り味だ。一般道や高速道路のクルージングはしなやかな乗り心地と、スピードがあがるにつれ、直進安定性の高い性能を見せてくれる。一方、ワインディングを元気に走ろうとすると、その本性である操縦性の高さが垣間見られる。伸び側減衰力が素早く立ち上がり、キビキビした挙動を見せながら、4輪が地面に吸い付けられたような安定感が。とにかくスポーツ走行が楽しい!
OFF-ROAD TEST【Rough road】

OFF-ROAD TEST【Mogul】

ガレ場のようなダートでも乗り心地の良さが印象的。路面からの衝撃を容量の大きいショックアブソーバが吸収してくれるようで、乗員にそれを伝えない。さらにスピードを上げていくと、ますます乗り心地がフラットになり、同時にドライバーへのトラクション感も敏感に伝えてくるので対応がしやすい。つまり運転がしやすくなってくるのだ。コーナリングなどではオンロードで感じたとおり、路面に吸い付くようなトラクションをしっかり稼いでくれる。とくにリヤの減衰力の立ち上がりの早さは、とてもクルマをコントロールしやすく、挙動を安定させてくれる。
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