エンジンにとって重要な水回りだけに
マメな点検とメンテナンスが必要になる
Parts Data
このパーツの役割は?
サーモスタットは水温の番人
サーモスタットは弁の開閉によって冷却水を最適な温度に保つ。弁が開くと冷却水をラジエターに流し込み水温上昇を防ぐ。逆に温度が低いときは弁を閉じる仕組みになっている。ウォーターポンプは冷却水を循環させラジエターに送り込む仕事を担っている。
壊れるとどんな症状が出る?
サーモスタットの弁が開閉不良を起こすと、水温が異常に高くなったり、逆に低くなるオーバーヒートやオーバークールの原因になる。ウォーターポンプは水漏れが発生することが多い。
長持ちの秘訣は?
冷却水は2年に1回全量交換
水回りはエンジンにとっても重要なポイントになるので、パーツは純正品か純正同等のOEM品を使うようにしたい。価格が安いからといって社外品を選ぶと耐久性に問題がある可能性もあるので注意。また、冷却水は純正品を使って2年に1回は全量交換しておくこと。
オーバーヒートやクールの
原因になるサーモスタット
サーモスタットは弁の開閉によって冷却水を最適な温度に保つのが仕事。冷却水が設定された温度まで高くなると、弁が開き冷却水をラジエターに流し込んで水温の上昇を防ぐ。逆に温度が低い時はサーモスタットは閉じたままで、ウォーターポンプが回転しても冷却水はラジエターには循環しない。水温の番人とも言える存在だ。
トラブルとして多いのは常に弁が開いたままになってしまうことで、水温が異常に下がりオーバークールを引き起こす。逆に閉じたままだと冷却水が循環しないため水温が一気に上昇してオーバーヒートとなる。これはエンジンに大ダメージを与えてしまうトラブルなので、すみやかに安全な場所にクルマを停車させて、修理工場に連絡すること。
一般的にはオーバーヒートのほうがよく知られているが、エンジンは冷えすぎてもよくない。高速道路を走行中に水温計を見たらいつもよりも低い状態が続いていたり、一般道に出ても変化がないようであればサーモスタットが壊れている可能性が高いので、即点検してもらおう。
また、若年世代のドイツ車の多くはサーモスタットとハウジング部分が一体になっており、このハウジング部分から水漏れが発生するケースも多い。このような形状のサーモスタットは単体での部品が供給されていないので、ハウジングごとのASSY交換となる。
ウォーターポンプは
異音や水漏れが発生しやすい
トラブルとしてはインペラ部分が破損してしまうケースがあるが、これはインペラが樹脂製になっているものに多く、オーバーヒートの原因になる危険な症状だ。そのためクルマによっては金属製に対策されたものもある。数あるウォーターポンプの不良でもっとも多いのが水漏れと異音。とくにゴムシールやガスケット部分の劣化により水漏れが発生することが多い。ベルト駆動のウォーターポンプはインペラ部分の軸となるベアリングにガタが出て異音が発生することもある。水漏れと異音が同時に発生していることもあるから、定期的なチェックが欠かせない。
また、高年式モデルではベルト駆動ではなく、電動ウォーターポンプを採用している。例えばBMWがそうで、エンジンの回転数にかかわらず任意に水を送り出せるのがベルト駆動との大きな違い。細かく水温の管理ができるためエンジンをより効率的に制御できることと、ベルト駆動によるフリクションを低減するというメリットがある。BMWがウォーターポンプの電動化にいち早く取り組んでいるというのはエンジンに対して強いこだわりを持つBMWらしい動きとも言える。
このように、サーモスタットやウォーターポンプはエンジンを冷却するために重要な役割を担っており、トラブルが発生するとエンジンに大きなダメージを与えてしまったり、場合によっては走行不能になるケースもある。定期的に交換していくことが重要であるのは言うまでもないが、冷却水も2年に1回は全量交換しておくこと。冷却水はエンジンを冷やすだけでなく、防錆成分や消泡成分が含まれている。経年劣化や熱によってそれらは低下していくから、水回りを長持ちさせるためには、純正品を使って定期的に交換しておくことが大切だ。
OEM?or社外品?
失敗しないパーツの選び方
値段で選ぶと
トラブルが再発することもある
エンジンを正常に動かすために重要な水回りだけにパーツは純正品を使うのがベストだが、予算の都合で純正以外のパーツを検討しなければならない場合もあるだろう。最近では日本にも様々なアフターパーツメーカーが上陸しており、価格差も大きい。安く買おうと思えばいくらでも探せるといった状況になっているが、安いからといってあまり知られていないメーカーのパーツを選ぶことはリスクが大きい。せっかく工賃を払って交換したのに、すぐにトラブルが再発してしまっては意味がないからだ。とはいっても、社外品が全てダメというわけではないから難しいところ。もし自分でパーツを調達するなら、信頼できるパーツショップ問い合わせてみるのも一つの手段。また、専門の修理工場であればパーツにおける経験も豊富なので、相談してみるといい。