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【 ドイツ車世代別メンテ / 高齢世代 (新車から21年以上) / vol.10(最終回) 経年劣化で割れてしまったダッシュボードとウッドの再生 】

車齢20年以上が経過したクルマでは内装の劣化が目立ってくる。症状として現れやすいのがダッシュボードやウッドパネルで、色が退色してしまったり亀裂や割れが生じることが多い。ここではその解決方法を探っていこう。

 

ダッシュボードにおける最大の敵は
日常的に浴びる紫外線と熱にある

Parts Data

✔このパーツの役割は?

衝撃吸収材としての役割もある

 ダッシュボードとは室内のフロントウインドーの下側にある運転席から助手席までのパネルのことを指す。多くのドイツ車ではポリウレタンなどの緩衝材が内蔵されており、事故の衝撃を吸収する役割も持たされている。表面は塩化ビニールまたは本革でカバーされている。

✔劣化するとどんな症状が出る?

 ダッシュボードが劣化する一番の原因は紫外線と熱。最初は色が抜けてしまうくらいだが、ひどくなると亀裂や割れが生じてしまう。運転中に視界に入る部分だけに非常に気になる。

✔長持ちの秘訣は?

紫外線をなるべく避けることが大事

 紫外線を避けることがダッシュボードの寿命を延ばすポイントになるので、日差しが強い日はサンシェードなどを使って保護することが大事。ダッシュボードカバーも有効なアイテムだと言える。こうした環境による劣化は防ぐというより遅らせるという言い方のほうが正しい。

 

直射日光が当たりやすいダッシュボード

 クルマの経年劣化は環境に左右されやすい。分かりやすい事例をひとつ挙げると、ボディにとって最大の敵であるサビが発生しそのまま放置すれば、最終的にボロボロになってしまう。なぜサビが発生するのかといえば酸化してしまうからで、地球上にはその酸素がたくさんある。ボディに深い傷を付けてしまったらすぐに補修しなければならないというのは、こういった理由からだ。ボディにサビを発生させないために必要なこと、つまり剥き出しになってしまった鉄板を塗装によって保護することが、ボディを守るためには一番の対処方法になるということだ。
 では内装における最大の敵とは何かといえば、紫外線と熱である。基本的にどこにいても紫外線は浴びてしまうものであり、気温が高くなるほど熱の影響も受けやすくなる。この環境から抜け出すことはできないので、なるべく紫外線や熱を避けることが内装にとってもっとも重要なことなのだ。そしてそのメカニズムを知ることで、劣化を遅らせるためにすべきことが見えてくる。
 まず、紫外線の正体とはいったい何か。夏になるとよく聞く言葉だが、夏にだけ紫外線が出ているわけではない。太陽光線には赤外線、可視光線、そして紫外線が含まれている。さらに紫外線は3つに分けられ、A波(UVA)、B波(UVB)、C波(UVC)となっている。このうちC波はオゾン層で吸収されるため、我々が普段から浴びている紫外線はA波とB波の一部ということになる。日焼けをして皮膚が黒くなるのはB波で身体にも悪影響を与える。A波は危険性が一番少ないが、B波同様なるべく避けたほうが良いと言われている。
 この紫外線が車内にも侵入しているということが分かる事例が、真夏にサイドウインドー側の腕が日焼けしてしまうこと。経験した人も多いと思うが前述したように日焼けするのは紫外線の影響なので、車内にも確実に紫外線が侵入しているということになる。そのため直射日光が当たりやすいダッシュボードはとくにその影響が大きく、退色してしまったり、柔軟性がなくなり亀裂が入ってしまうこともある。ダッシュボードが劣化していく速度は、長い目で見れば日常的に浴びる紫外線量に大きく影響されるということなのだ。
 また太陽光線に含まれる赤外線も侮ってはいけない。直射日光を浴びているとジリジリと暑く感じるのは赤外線の影響であり、この熱がダッシュボードを傷める原因になる。真夏ほど内装パーツが傷みやすいというのは、赤外線だけでなく紫外線の量も多くなるためだ。
 ダッシュボードの劣化を遅らせる方法として手軽なのはサンシェードやカーカバーで、紫外線を避けることが一番の目的になる。さらにダッシュボードが劣化しやすいクルマでは、社外のダッシュボードカバーが販売されているので、これを装着するのも有効な手段だと言える。

ダッシュボードが変色してしまうのは紫外線と熱の影響によるもの。なぜか青系のダッシュボードは劣化しやすい傾向にある。
ダッシュボードの劣化がひどくなってくると、亀裂が入ってしまったり割れてしまうことが多いが、リペアで補修することが可能だ。
青系のダッシュボードでもガレージなどで大切に保管されてきたクルマは新品のような艶を残している。劣化の速度は環境や扱い方で変わる。
直射日光が当たりやすいダッシュボードを守るのに有効なのがサンシェード。これによって5年、10年先の状況が変わってくるのだ。
クルマの保管環境をいきなり変えるのは難しいので、カーカバーを使って内装を保護するのは有効な手段となる。
 

内装パーツは高価だがリペアなら安く直せる

 内装パーツは交換頻度が少ないこともあって新品を購入しようと思うと高価。低年式のクルマほど部品自体が供給されていないケースが多い。そのため中古品の需要が高く、当然ながらコンディションが良いものほど高くなる。ワンオフで作り直すという手もあるが、その費用は決して安いものではない。
 そんなときに活用したいのがリペアである。その補修内容は大きく分けて部分修理と全体の張り替えの2つ。もっともリーズナブルなのが、割れてしまったり、亀裂が入ってしまったところを部分的に修理する方法。多少の修理跡は残るが、元の状態に比べれば歴然の差だ。ただし、劣化がひどいものについては部分修理では解決できないこともあるので、このへんは費用も含めて、リペア業者とよく相談する必要がある。
 完璧な補修をするなら、ダッシュボードを外してFRPなどで成型し直して張り替えるという方法。表面のシボの感じが変わってしまうが、耐久性は高い。これを機会にドアの内張りも含めてイメージチェンジしてみるのも面白いだろう。アルカンタラを使って高級仕様にするなど、自分好みにアレンジできる楽しさがある。
 長期的に紫外線や熱を浴びると、ダッシュボードだけでなくウッドパネルにも悪影響を与えてしまう。ウッドパネルは白く変色してしまったり、クリア部分にクラックが入ってしまうことが多い。ウッドパネルのリペアはコンディションによって作業内容が変わる。軽度なクリア部分のクラックなら、塗装部分をキレイに除去して再びクリアを吹いて補修する。状態がひどい場合はスライス状になったウッドを張り替える必要がある。下地を作ることも大切な作業だが、これにスライス状のウッドを張るというのも重要なポイントになっている。
 新品のウッドパネルが供給されているクルマであれば、それに替えるというのも手だが、一つだけ新品になると全体的なバランスが崩れるのも事実。例えばシフト回りは新品の艶があるが、センターパネルがそのままという状況になってしまう。リペア業者の中にはリコンディショニングという全体のバランスをふまえた補修を行なってくれるところがある。趣味で乗っているクルマなら、こういった細かな部分にも配慮してみるのもこだわりを表現する一つの手法ではないだろうか。

部分的に補修するのも手だが、レザーを使って張り替えるというのもダッシュボードの保護に繋がる。室内のイメージもグッと変わる。
ウッドパネルにありがちなのがクリア部分に入ってしまうクラック。軽度なものであれば、クリア部分のみの補修で済む。
劣化がひどくなってくると写真のように変色してしまうことがある。こうなるとウッド部分の張り替えが必要になってしまう。
 

手軽にできる紫外線対策
ダッシュボードカバーの活用方法

車種ごとに設定されているから
マッチングはいい

ダッシュボードが劣化する原因は紫外線と熱なので、それを避けることで劣化を遅らせることができる。高齢世代のドイツ車の中でも、ダッシュボードの劣化が目立つクルマには社外のダッシュボードカバーが販売されているので、これを活用してみるのも一つの手段。汎用ではなく車種ごとに設定されているのでマッチングはいい。カラーもある程度は選べるので内装カラーに合わせてチョイスすることが可能だ。きっちりと装着すればさほど気にならないが、人によっては違和感を感じる人もいるかもしれない。ここは好みの問題だと思うが、根本的な修理をするならリペアや張り替えがベストであり、カバーは紫外線対策として使うのが良いかもしれない。高齢世代のメルセデスやBMWの人気車は社外のカバーが用意されていることが多くいのでチェックしておこう。

ダッシュボードの上に装着されたカバー。内装カラーに合わせて青系がチョイスされている。インテリア全体の雰囲気から見ても、さほど違和感は感じない。紫外線や熱を避ける対策として使うのがベストだろう。
カバーは車種ごとに設定されているのでエアコンの吹き出し口などを塞ぐことはない。