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BMWの走りを再生させるメンテナンス  【ミッションほか駆動系】

駆動系といっても色々とあるが、ここではトラブルが起きた時に大きな出費に繋がり、走行不能になる可能性もあるATのメンテナンスについて解説していこう。

ATを長持ちさせるためのATFとフィルター交換

交換作業はBMWを熟知した専門店に任せたい

 BMWのATは信頼性が高く、滅多なことで壊れることはないが、それを維持していくためには定期的なメンテナンスが必要になる。その中で発生しやすいトラブルがオイル漏れ。E90やF30世代では、ATオイルパンからオイル漏れを起こすケースが多い。このオイルパンは樹脂製となっていてフィルターと一体型。このフィルターにはマグネットが付いていてスラッジなどの汚れを付着する仕組みになっている。そのためオイル漏れが発生しているようであれば早めに対処しておく必要がある。ATにとってフィルターの交換はとても重要なメンテナンスとなる。BMWのATは電子制御式だが、その制御部分と本体を繋ぐコネクターがあり、そのスリーブ部分からオイル漏れを起こすこともある。過去には多発したトラブルだったが、今では対策が進み、経年劣化が原因によるものがほとんど。オイル漏れは他のトラブルに比べて軽視されがちだが、漏れがひどくなれば油圧が低下しAT本体への負担も大きくなってしまうので注意しよう。

 ATFの交換については修理工場によって認識が変わるが、ひとつ言えるのはBMWに詳しい工場に相談することが大事。ATにはクラッチなどの消耗品がたくさんある。これらを長持ちさせるためにもATFの交換は重要だ。

樹脂製のオイルパンを装着するクルマでは、ここからのオイル漏れが多い。BMWはフィルターと一体式なのでATF交換時には同時交換となる。

ATコネクタースリーブからのオイル漏れは定番なので、漏れがひどくなる前に対処しよう。

ATの信頼性は高いが電気系トラブルあり

基本的なメンテナンスでトラブルを予防しよう

 AT本体にトラブルが起きるパターンとしては、センサー不良が挙げられる。BMWの電子制御式ATにはモデルによって6速、8速といったラインナップがあるが、基本的な構造は変わらない。その中で油圧センサーや回転センサーは重要な役割を担っているから、これがダメになると警告灯が点灯することがある。そうなると、エマージェンシーモードに入ってしまい3速に固定されてしまうのだ。もしこのような状態に陥ったら無理に走るのは禁物。走行中であれば安全な場所にクルマを止めて、修理工場に連絡し判断を仰ぐようにしよう。

 ATトラブルで重篤な症状といえるのが、ATの心臓部であるバルブボディの異常、クラッチなど内部の消耗品の磨耗など機械的な部分が原因のトラブルである。その際に必要になる修理がオーバーホール(分解修理)だが、近年のBMWにおいてはオーバーホールにまで至るケースは少なくなっている。それだけ信頼性が向上しているということだ。もし、ATのオーバーホールが必要になる症状が出ていたら、ATFやフィルターの交換といった日々のメンテナンスが不足しているからだろう。電気的な不良は突然やってくるものだが、機械的な不良は丁寧な操作を心がけたり、基本メンテを実践することで予防できる。

ATのキモとなるバルブボディ。ユニット一体のバルブボディはメカトロニクスと呼ぶ。ヤングクラシック世代E30型3シリーズのバルブボディだが、BMWでは早くからATの電子制御化に取り組んでいた。

AT内部に蓄積した汚れが油圧経路まで流れてしまうとトラブルの原因になる。