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趣味車の最高峰メルセデス・ベンツW124爽快感と上質な走りとともに過ごす特別な時間

W124シリーズの中でも高価で希少なモデルであるカブリオレ。この優雅なスタイルは、クルマ趣味としての満足度を高めてくれるもの。オープンカーであっても実用性も損ねていないのが、A124の個性だといっていい。

1993y Mercedes-Benz 320CE Cabriolet (A124)当時のSLクラスよりも車格が上だった

 W124シリーズの総生産台数は約250万台と言われている。そのうちセダンは約200万台で、500E/E500が約1万台。ワゴンは35万台で、セダンの約14%と想像より少ない印象だ。そして、カブリオレだが、これが約7000台と500E/E500よりも希少な存在であるということが分かる。ちなみに、クーペは約15万台だった。

 さらに言うと、当時のSL320が980万円(94年モデル)という新車価格だったのに対し、320CEカブリオレは1120万円(93年モデル)のプライスタグを付けていたのだ。なんと、140万円の差である。生産台数が少なかったとはいえ、非常にレアで高級なクルマという位置付けなのである。

 型式はA124。シャシーはクーペと同じでサルーンに比べて全長&ホイールベースが85㎜短いが、ボディ剛性を確保するために、1000点もの新設計パーツが採用された。だから、高速道路の繋ぎ目を乗り越えても、車道から段差のあるコンビニの駐車場に入る際も、ボディはミシリともいわないガッチリとした印象。4人乗りのオープンカーで、ボタン操作で開閉できる電動ソフトトップを搭載。自動ロールバーも装着するなど安全性も考慮されている。

 当時のSLよりも車格が上だったA124。その優雅な佇まいと独特のオーラは、セダンやワゴンでは味わえない特別な時間を楽しむことができる。誰もが認める希少性の高さも趣味の満足度を高めてくれる。

取材車のシートはチェック柄のファブリックタイプで、オープンにした際の雰囲気がとてもクラシカルで素敵。この贅沢な空間を味わえることが、A124の最大の魅力といえる。

 

ホイールベースはセダンよりも85mm短い2175mm。エクステリアは直線的なラインで構成されており、その優雅で独特なオーラが所有する満足感を高めてくれる。インテリアはセダンと共通のテイストでシンプルながら実用性を考慮した設計。機械式5速ATを搭載。これは4速ATがベースとなっており、5速ギアと電気的にシフトチェンジを促すソレノイドバルブが追加されている。

センターコンソールにあるトップの開閉スイッチ。Aピラー部分のロックを含めて、ボタン操作で簡単にトップの開閉が可能。 SLクラスに搭載されたオートマチックロールバーも装備。

エンジンはDOHCの直列6気筒のM104ユニット。3199㏄の排気量から225ps/32.1㎏‐mのパワーを発揮する。このエンジン、直6らしいスムーズさとトルクの発生の仕方や吹け上がりのフィーリングが最高に素晴らしい。すごく滑らかなのに、踏めば踏んだだけスッと出る手応えがある。しかも暴力的ではなく、ジェントル。まさに、当時のメルセデス最後の直列6気筒として、有終の美を飾る傑作エンジンといっていいだろう。

【撮影協力】●オーナー:まさはる氏 ●撮影地:トヨタ博物館