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よみがえる黄金世代の鼓動「王者降臨」BMW2002 Turbo 過激なルックスでファンを 魅了し続ける特別なオーラは 今でも僕らを夢中にさせる

BMWの歴史に残る名車として君臨する通称「マルニターボ」。オーバーフェンダーなど特別な専用装備で武装したそのルックスは、BMWファンの心を掴んで離さない。

過激なボディに搭載される高性能ターボエンジン

 BMWは航空機のエンジンを作っていたメーカーだったこともあり、エンジンに対するこだわりは非常に強い。ドライバーが楽しく運転できるスポーティなクルマを作ることを哲学としており、それは現代のBMWにも受け継がれている。

 そんなBMWが欧州車として初めてターボエンジンを搭載したのが、2002ターボ。通称「マルニターボ」と呼ばれ、自動車史や多くのBMWフリークたちの記憶に残る名車として君臨している。

 フロントスポイラーには逆さ文字で「turbo」のデカールが張られており、前方を走るクルマのバックミラーごしに「ラインを譲れ」といわんばかりの強烈なアピール。

 大きく張り出したオーバーフェンダーは高性能の証のようなものだし、トランクにもラバー製のスポイラーが装着されている。テールランプは後期型の2002シリーズをベースとしているため、角型が採用されている。

 この過激なボディに搭載されるエンジンは、2ℓの直4SOHCにKKK製のターボチャージャーをドッキング。燃料噴射装置はグーゲルフィッシャー製の機械式インジェクションである。圧縮比は6・9とし、最高出力は170psを発揮。最高速度210㎞/hというスペックは、当時販売されていたクルマの中でもトップクラスであり、2ℓながら2・8ℓクラスに匹敵するほどの性能を誇っていたのだ。

インパクトが強いフロントスポイラーを装着し、ただ者ではないオーラを放っている。ボディのコンディションは良く、きっちりと仕上げられているのがよく分かる。ボディはコンパクトかつ軽量。

エンジンはSOHCの直4ユニットで、KKK製のターボチャージャーが組み合わされている。希少車だけにレストアやメンテナンスは知識と技術がある専門店に任せるのが得策。取材車はシンプルオートでフルレストアされた個体なので、機関面は全く心配はなく、長く乗り続けることができる。

1972年にミッドシップ&ガルウイングドアを持つコンセプトモデル、BMWターボを発表し注目を集めた。その翌年に登場したのが、2002ターボである。現代のクルマに比べてボディが軽いことも、独特な走行フィーリングに繋がっている。クルマを操る楽しさの原点を感じることができるのだ。現代でもこうしてマルニターボを眺められるのは、専門店のおかげでもある。

シンプルな構成で、クラシックBMWならではの味わいを堪能できる。左手前が1速となるレーシングパターンのマニュアルトランスミッション。これを駆使しながら走りを楽しめるのが最大の魅力。インテリアもシンプルオートの手によりレストアされたものだ。

メーター回りに赤いパネルを配したターボならではのデザインがドライバーの気分を盛り上げてくれる。ダッシュボードも長い年月を感じさせないほどキレイなコンディションを維持する。

ドアの内張リも極上のコンディションで、細部に至るまでレストアされているのがわかる。シートはサイドサポートが張り出したレザータイプのスポーツシートを装着。

中央に鎮座するのは味わい深いアナログ時計とブースト計。取材車にはナルディのステアリングが装着されているが、純正品もストックする。

ツーリングカーレースで活躍したパワーユニット

 この高性能エンジンは、コンセプトモデルであるBMWターボが72年に発表される前から開発が進んでいた。60年代のグループ5のツーリングカーレースでは、2000tikというモデルに直列4気筒+KKK製のターボチャージャーを積んでレースに挑み、見事タイトルを獲得。ターボの市販化に当たって改良はされているものの、基本的にはそのエンジンが搭載されたのである。

 このエンジンパワーに対応すべく各部も強化。ベースである2002tiiよりもラジエターの容量を増やし、オイルクーラーも標準で装備。足回りはフロントがストラット、リアがセミトレーリングアーム。ブレーキはフロントがディスクとなり、リアはドラム式のままだったが、ベースモデルに比べてドラム径を拡大し強化されている。タイヤは5・5Jの185/70HR13で、オプションで6J×13のアロイホイールも用意。LSDが装備されたことも特長的なポイントだ。

 マルニターボが登場した登場した73年はオイルショックが起きた年。そのため1年しか生産されず、総生産台数は1672台。今では中古車として非常に希少な存在となった。

 取材車は1974年式でシンプルオートでフルレストアされた個体。内外装はもちろんエンジン、ミッション、ターボタービンなどの機関系のオーバーホールも済んでいる。その内容もこれまでの経験と知識、高い技術によるもので、交換すべき部品は全て換え、そのタイミングも把握している。自社でレストアであるためこれまでの整備履歴も残っているのも安心材料といえる。非常に希少で人気のモデルなので、購入を検討しているなら急いだ方がいい。価格はASK。

ベースである2002tiiと同様にグーゲルフィッシャー製のメカニカルポンプを搭載。エンジンの動力によってポンプを作動させ、各気筒の吸気ポートに燃料を噴射する。タービンはオーバーホール済みで、R134a対応のクーラーを装着しているから快適である。

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