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BMW

2023.06.07

【Mercedes-Benz&BMW】当時としては考えられない作りや構造を持つ飛び抜けた実力を誇った名車たち②

 ドイツ車において人気を二分するメルセデス・ベンツとBMW。過去のモデルに遡ってみても、飛び抜けた実力を誇った名車たちが多数存在する。凝った作り込みや高い技術力によって生み出されるメカニズムの数々は、メーカーとしての哲学が色濃く反映されたものとも言えるのだ。続いてBMW編。

それぞれが持つ高い技術力は世界中に大きな影響を与えた

 一方、BMWにおける歴史的な名車と言えば2002ターボ、通称「マルニターボ」だ。注目すべきは、量産車として初のターボエンジンを搭載したことだが、単純にターボを積んだだけではないところに、BMWの技術力の高さがうかがえる。
 60年代のグループ5のツーリングカーレースでは、2000tikというモデルに直列4気筒+KKK製のターボチャージャーを積んでレースに挑み、見事タイトルを獲得。マルニターボの市販化に当たって改良はされているものの、基本的にはそのエンジンが搭載されているのだ。
 さらにエンジン以外の部分にも数多くの変更が加えられている。ベースである2002tiiよりもラジエターの容量を増やし、オイルクーラーも標準で装備。メカニカルインジェクションはグーゲルフィッシャー製で、これはエンジンの動力によってポンプを作動させ、各気筒の吸気ポートに噴射させるというものだ。燃料タンクの容量が増やされたことで、トランクルームはベースである2002tiiよりも若干狭くなっている。足回りはフロントがストラット、リアがセミトレーリングアーム。ブレーキはフロントがベンチレーテッドとなり、リアはドラム式のままだったが、ベースモデルに比べてドラム径を拡大し強化されている。LSDが装備されたことも特長的なポイントだと言えるだろう。
 高性能の証である力強いオーバーフェンダーや、逆文字の「2002 turbo」というデカールが張られたフロントスポイラーなど過激なルックスも注目を集めたが、マルニターボが登場した73年はオイルショックが起きた年。そのため、わずか1年でその生涯を終えてしまったのだ。
 とはいえ、その性能はレーシングスペック。最高速度は210㎞/hで一躍脚光を浴びた。現在のターボエンジンは効率化を狙ったものが多いが、当時「ターボ=速いクルマ」というイメージを作り上げたのは、このマルニターボだったのである。
 エンジンにこだわり抜いたBMWの高い技術力、ロードカーとは思えないルックスも含めて、僕らの心をワシ掴みにしたBMWの歴史的な名車だと言える。

BMW 2002 Turbo

レースで培った技術をフィードバック
量産車として初のターボエンジン搭載

 72年にミッドシップ&ガルウイングドアを持つコンセプトモデル「BMWターボ」を発表。その翌年に量産車初のターボモデルである2002ターボを世に送り出す。大きく張り出したオーバーフェンダーや前のクルマを威嚇するがごとくの逆文字「turbo」デカールなど、ルックス的にも注目を集めた歴史的名車である。生産期間が短かったこともあり、中古車としては希少な存在だ。

レースで培った技術を市販車にうまくフィードバックしているBMW。往年のBMWにはレーシングスペックとも言えるほどの高い技術が投入されている。
KKK製のターボチャージャーと機械式インジェクションを搭載。圧縮比を6.9とし、最高出力は170psを発揮する。最高速度210㎞/hで、当時販売されていたクルマの中でもトップクラスの性能を誇っている。
ベースである2002tiiと同様にグーゲルフィッシャー製のメカニカルポンプを搭載。この時代のドイツ車に多く採用されたものである。
メーターに赤いパネル、ダッシュボードにはブースト計が備わるなどNAモデルとの差別化を図っている。トランスミッションは5速タイプを搭載。
 
 

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