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【 ドイツ車世代別メンテ / 高齢世代 (新車から21年以上) / vol.07 ヘッドライトの 光量を復活させる!! ヘッドライトリフレクターの交換 】

ヘッドライトがイマイチ明るくないと感じている人も多いと思う。クルマのヘッドライトは全体の印象を決定付けるポイントであるとともに、経年劣化により光量も低下してくる。ここではその原因と対策方法について解説していこう。

 

ヘッドライトリフレクターの劣化によって
光量が低下すると車検が通らないことも!?

Parts Data

✔このパーツの役割は?

光量に大きな影響を与える反射板

 ヘッドライトリフレクターは反射板の役割を持っていて、この状態によって光量の良し悪しを決めるといっても過言ではない。ヘッドライト最前面のレンズはガラス製や樹脂製があり、クルマによって装着されるものが異なる。ヘッドライトは分解できるものとできないものがある。

✔劣化するとどんな症状が出る?

 リフレクターはメッキ加工がされているが、これが劣化するとボロボロになったり、剥がれてしまうことが多い。レンズの内側にも汚れが付着しやすく光量不足の原因となりやすい。

✔長持ちの秘訣は?

リフレクターは再メッキ加工で復活

 分解可能なヘッドライトであれば、レンズの内側を洗浄することで光量を復活させることができる。さらにリフレクターについても、再メッキ加工を施すことで新品に近い状態まで戻すことが可能だ。樹脂製のヘッドライトレンズの黄ばみは、磨くことで寿命を延ばすことができる。

 

レンズの洗浄だけでも
光量は復活する

 ヘッドライトが劣化してくすんだりしてしまうと見た目の印象に影響を与えるが、性能面においても大きく低下してしまう。高齢世代のドイツ車では、ヘッドライトがイマイチ明るくないと感じている人も多いのではないだろうか。
 クルマのヘッドライトは、内部の汚れや電気系の劣化などの要因で、明るさが10年もすると新車時の半分程度まで低下すると言われている。ヘッドライト内部にあるメッキのリフレクターが曇ってしまえば車検にも通らないほど暗くなってしまうし、ヘッドライトレンズの汚れが原因でも光量が大きく低下する。
 まずはレンズの汚れから見ていこう。以前、本誌ではW124こと初代Eクラスのヘッドライトをサンプルに、レンズの洗浄前と後の光量の違いを照度計を使ってテストしたことがある。まず装着されていたヘッドライトは、ツメの状態から推測するとどうも一度も洗浄されていない雰囲気で、測定結果は2870ルクスだった。レンズを取り外し、リフレクターのホコリをカメラ用のブロアブラシを使って取り除き、レンズの裏を洗剤でキレイに洗った。その後計測してみると3910ルクスまで復活したのだ。率にして36%の明るさアップ。以前より洗えば明るくなるという印象はあったものの、数値として見ると納得させられる。
 ちなみに新品のヘッドライトでも同様に計測してみた結果は4100ルクス。リフレクター自体に問題がなければ、洗浄することでかなり新品に近いところまで光量が復活するということが実証されたと言える。W124に限らず、ヘッドライトが分解できるクルマなら、同じように光量を復活させることが可能だ。
 ヘッドライト内部にあるメッキのリフレクターは反射板であり、これが劣化して曇ってしまったり、ボロボロになれば当然光量は低下してしまう。熱と長期使用による経年劣化が原因なので、これといった予防策がないのが実情だ。だが、ダメになったリフレクターを再生することは可能。ヘッドライトを分解してリフレクターを触ったことがある人なら分かると思うが、劣化したリフレクターはちょっと触っただけでもポロポロと剥がれてしまう。筆者も以前ヘッドライトレンズを洗浄したとき、良かれと思って汚れたリフレクターをウエスでゴシゴシと拭いたのだが、メッキが剥がれてしまったことがある。ヘッドライト洗浄におけるありがちな失敗例なのだが、純正のヘッドライトリフレクターは反射効率を高めるために、メッキ後にクリアコートをしていないものが多い。そのためちょっと擦っただけでもメッキが剥がれてしまうことが多く、さらに経年劣化も加わっているから、洗浄するときは十分に注意しなければならないのである。
 そんなリフレクターを再生させる方法が再メッキ加工。ただし、ただ再メッキすれば良いというわけではなく、光量や耐久性を考慮しないと車検をクリアできなかったり、高温になるバルブの影響でメッキが浮いてきたり、シワが発生することがあるので注意する必要がある。ヘッドライトリフレクターの再メッキを得意とする業者では、再メッキ後にクリアコートをかけても車検に対応できる光量を確保できる技術を持っている。こうした専門の業者に頼むのが、仕上がりも含めて満足できるはずだ。
 また、以前はリフレクター単体で部品が出ていたようなクルマでも、最近では部品供給がストップし新品ヘッドライトに丸ごと交換となるケースもある。その場合は、こうした再メッキサービスを活用してみるのがいいだろう。クルマによってはヘッドライトが分解できないこともあるので、その確認も忘れないようにしたい。

バルブを替えても暗いと感じている人は多いのではないだろうか。ヘッドライト内部のレンズの汚れやリフレクターが問題であることが多い。
これまで一度も洗浄されていないヘッドライト。下の新品と比較するとレンズが黒ずんでいるのが分かる。レンズ内側の汚れが原因だ。
新品のヘッドライトは当然ながらクリアな印象を受ける。クルマによっては分解清掃ができないため、その時はASSY交換するしかない。
ヘッドライトが分解できるクルマであればレンズ部分を洗浄することが可能。これだけでも光量はかなり復活する。
反射板の役割を持つリフレクター。ここにも汚れが溜まりやすいが、ゴシゴシと強く拭いてしまうとメッキが剥がれてしまう。
メッキのリフレクターが単体で部品供給されているクルマは少ない。そんな時に活用したいのが再メッキ加工だ。
 

ゴムシールが劣化すると
水分や湿気が入り込む

 ヘッドライトレンズやリフレクターの劣化以外で多いのが、ゴムシールの劣化。雨水などが浸入しないようにゴムシールが備わっているのだが、これが劣化して湿気が入り込みレンズが曇ってしまうのだ。ヘッドライトを分解できるクルマほど、洗浄後のゴムシールの取り付けが甘いケースが多い。水分や湿気が入り込むとサビが発生し、リフレクターなどを傷める原因にもある。クラシック世代のドイツ車で、ヘッドライトレンズがボディに直付けされているようなクルマでは、ゴムシールの劣化がボディのサビにも直結するので注意する必要がある。
 ヘッドライトレンズが樹脂製であるクルマは、紫外線や熱の影響によってレンズが黄ばんでしまうことが多い。これも光量不足の要因の一つで、基本的にはレンズを交換するしかないのだが、表面を磨くことである程度復活させることは可能だ。表面の汚れをキレイに除去して、目が細かいペーパーで削ったあと、ポリッシャーをかけて表面を滑らかにしていくというのが基本的な流れ。ガソリンスタンドなどでもやっているサービスだが、ドイツ車は表面の層が国産車よりも厚く、作業が大変という話を聞いたことがあるので、輸入車を得意とするところに依頼したほうが安心だろう。
 また、樹脂レンズは磨いても半年後くらいに黄ばみが出てきてしまうことがある。保管状況によって寿命は変わるのだが、紫外線や熱の影響をなるべく避けることと、専用のコーティングをしておくことで、ある程度は寿命を延ばすことができる。

ヘッドライトレンズに備わるゴムパッキンが劣化すると水分が侵入してしまう。ライトを分解したらゴムパッキンも交換しておこう。
 

作業する前に覚えておきたい
DIYメンテの重要ポイント

ヘッドライトユニットのゴムパッキンは
新品に交換

ヘッドライトを分解して洗浄するときの注意点を紹介しよう。まずヘッドライトを分解するときにツメを折ってしまうことが多いので、ここは十分に注意する必要がある。ドライヤーなどを使ってツメの部分を暖め柔らかくしておくことが大切だ。レンズの内側は中性洗剤などを使って洗えばいいが、メッキ加工がされたリフレクターはゴシゴシと拭いてはいけない。リフレクターのメッキ層は薄く、劣化でもろくなっていることが多いのでカメラ用のブロアブラシなどでゴミを飛ばす程度に。また内部に水分が残らないように十分に乾燥させること。ヘッドライトユニットを戻すときはゴムパッキンを新品に交換しておくのが基本だ。

ヘッドライトを分解するときにはツメを折ってしまわないように注意。ドライヤーなどを使って暖めて柔らかくしておくと折れにくくなる。
ヘッドライトを分解したら中性洗剤などを使ってキレイに清掃しておこう。
リフレクターにも汚れは溜まるが、強く拭くとメッキが剥がれてしまうので注意。
ライトを分解洗浄したらゴムパッキンを新品にしておくのが基本だ。分解可能なライトであれば、この部分だけで部品が出る。