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【M・Benz & BMW トラブル攻略ガイド】愛車の異常を感じた時はどうするべき?①

 愛車に起きたはじめてのトラブル。誰だって最初は焦ってしまうものだが、トラブルに対する知識を持っていると症状を悪化させないための扱い方が見えてくる。ここではメルセデス・ベンツとBMWにありがちなトラブル、そして対処法を解説。トラブルが起きることはなんて考えたくはないが、いざという時のために覚えておいても損はない。

メルセデス・ベンツとBMWに共通する
何かあった時の対処方法を網羅!

 念願のドイツ車を手に入れて気持ちよくドライブしていたら、突然警告灯が点灯! こんな状況になった時にどのように対処するのが正解なのか、原因はどこにあるのかというのを探っていくのが、この企画だ。
 ここではメルセデス・ベンツとBMWにありがちなトラブル症状として代表的なものを挙げてみた。これをベースに話を進めていきたいと思う。
 まずはアイドリングが安定せずに、ハンチングなどの症状が出るケース。ちなみにハンチングとは、エンジンの回転が一定に落ち着かずに、回転計の針が上下することを指す。このような症状が起きる原因として多いのがクランクポジションセンサーやカムシャフトセンサーの不良。多くのドイツ車で使われている部品で、経年劣化によって不良となるケースが多い。空気の流入量を計測しているエアマスセンサーもアイドリング不調の原因となる部分。このパーツはクランクポジションセンサーに比べて高価であり、純正同等品であるOEMを使っても約5万円ほど。
 燃料系パーツもエンジン不調を引き起こす原因になる。高年式ドイツ車の燃料ポンプはタンクの中に装着されるインタンク方式。車種によってはタンクが複数に分割されているクルマもあり、タンクの数だけポンプが必要になる。最初はアイドリングが不安定だったり、エンジンが掛かりにくかったりといった症状が出るが、最終的にはエンジンが始動できなくなってしまう。
 こうしたセンサーやポンプの不良というのは、何らかの前兆を感じることが多い。いつもだったら一発でエンジンが掛かるのにクランキングが長かったり、信号待ちで突然アイドリングが不安定になるといった具合だ。このような症状が出た段階で修理工場に持ち込んで点検してもらえば、路上でストップしてしまうということは避けられるのである。
 アイドリング中の振動が大きくなるケースもある。室内まで響くような振動の場合は、エンジンマウントが劣化している可能性が高い。また、意外なところでは点火系のイグニッションコイルの不良でも振動が起きる。これらを放置すれば振動はさらに大きくなるし、劣化したコイルを使い続ければエンジン不調の原因になる。ATシフトをPからDレンジに入れた時に、フロアの下付近からドーンという大きな振動が出ることがある。これはディスクジョイントというゴムパーツの劣化が原因だ。トラブル予防としては、いずれも消耗品なのでマメに点検して交換していくしかない。
 走行中に何かが焦げたような臭いがする場合、それはエンジンオイルの漏れかもしれない。とくにタペットカバーパッキンやヘッドガスケットからの漏れを放置しておくと、高温になったエキゾーストマニホールドに付着して煙が出たり、焦げ臭くなることがある。オイル漏れを放置すると二次的なトラブルを引き起こすので早めにメンテナンスしておくことが大切だ。
 気持ちよくドライブしている時に、突然水温が上昇してきたら、即、安全な場所にクルマを止めること。走り続ければオーバーヒートを起こしエンジン本体に大きなダメージを与えてしまう。水温が上昇してしまう原因が水漏れなのか、電動ファンやラジエターの不良なのかによって対処法は変わってくるが、ビギナーであれば無理に走らず、行きつけの修理工場に電話をして相談することがベストだと言える。
 ATの不良も怖い。高年式ドイツ車には電子制御式ATが搭載されており、AT内部に異常が発生すると内部の損傷を最小限に抑えるために3速(2速)に固定される仕組みになっている。この状態でもなんとか走れるが、移動は最小限に留めたい。早めの修理であれば費用も抑えられることが多い。
 警告灯が点灯するとヒヤッとするもの。警告灯にもいろいろとあり全てが重要なのだが、充電警告灯が点灯した時には注意が必要。発電機であるオルタネータの不良であることが多く、そのまま乗り続けているとエンストし、その時にはエンジンが掛からなくなってしまう。
 メルセデス・ベンツではESP、BMWではDSCの警告灯が点いた時に多いのがステアリングアングルセンサーの不良。ステアリングの舵角を見ているセンサーなのだが、高年式のメルセデスやBMWではこのトラブルが多い。
 また、警告灯は一度点いても、エンジンを再始動すると消えてしまうことが多い。だが、警告灯が点灯するということは何らかの不具合が起きている証拠なので、放置せずに早めに点検するようにしよう。
 その重要な役割を果たすのが、コンピュータ診断。詳細は次頁で解説するが、これを定期的にやるとやらないとでは、路上でのトラブル発生率も大きく変わってくるのだ。
 足回りから異音が出るような場合、アームに備わるゴムブッシュやアームを連結させているボールジョイントの劣化がほとんど。ガタが大きくなってくると金属同士が接触するようになり大きな異音を発生させることもある。ボールジョイントのブーツが裂けてグリースが漏れ出していると車検も不合格となる。
 愛車の様子がいつもと違うと感じたら、それはクルマからのSOS。人間の体と同じように早期発見が愛車の健康にも有効。自分でメンテナンスができなくても、ボンネットを開けたことがない人でも、知識として頭に入れておくだけでクルマへの接し方も変わってくるはずだ。

こんな症状にも注意しよう

ここではメルセデス・ベンツにありがちなトラブルについて解説。メーターやATシフトなど装備系に発生しやすい症状を紹介していこう。

ATシフトの動きがおかしい
クルマを動かそうと思ったら
Pレンジからシフトが動かない!

 ATシフトがPレンジから動かなくなってしまうというもので、出先で発生すればレッカーを呼ぶしかないからやっかいなもの。一部の工場では原因となる樹脂パーツを強化品にする方法が確立されている。予防整備としてやっておくと安心だろう。

メーター不良
アクセルを踏んで走ってもスピードメーターが動かない

 メルセデス・ベンツの事例としては、アクセルを踏んで走ってもスピードメーターが動かないというトラブル。通常はメーターごとの交換となるが、メーター修理を専門に行なう業者では単体での修理にも対応しているようだ。