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2022.03.04

【直すか?買い替えるか?ドイツ車人生決断のヒント】Episode.05

 トラブルがきっかけで直して乗り続けるか、他のクルマに乗り替えか、という相談が多いのが修理工場。そこにはユーザーの様々な悩みや愛車に対する思いが交錯している。そんな中で、直す決断をしたユーザーのエピソードを紹介しよう。

トラブルがきっかけで本当の良さを実感できた

 エンジンからのオイル漏れがひどく、原因はヘッドガスケットでした。走行距離も10万㎞を超えていて、メカニックに相談するとヘッドのオーバーホールが必要だと。費用も高かったのでその時は一度ドイツ車を諦めて、国産車に乗り替えました。
 けれども、どうしても満足できなくて1年経ってドイツ車に乗り替えたんです。それからしばらくは大きなトラブルはなかったのですが、以前と同じようにヘッドガスケットの交換が必要になりました。
 前のクルマでお世話になっていた修理工場にクルマを持ち込むと私のことを覚えてくれていて、いろいろと相談に乗ってくれました。
 正直、また乗り替えるのもひとつの手段かなと思っていましたが、でも、また後悔して戻ってくるなら直すしかないなと。メカニックの方もクルマを探す手伝いをしてくれると言ってくれたんですが、今のクルマを気に入っていたこともあって直す決断をしました。
 メカニックの方からもアドバイスをもらいました。ヘッドガスケットのみの交換もできるけれど、そこまでの思いがあるなら、オーバーホールがお勧めとのこと。費用の問題もあったのですが、予算の範囲内で収めてもらったので助かりました。
 エンジン内部の写真を見せてもらったのですが、冷却水を循環させる水路にスラッジなどが蓄積していて、冷却性能は低下している状態であると説明してくれました。写真を見て納得でしたね。
 今では充実したドイツ車ライフを送っていますが、あの時また乗り替えていたら、きっと同じようにドイツ車に戻っていたと思います。エンジンのオーバーホールは費用もそれなりにかかるメンテナンスですが、思い切って点火系や水回りもリフレッシュしたことで、水温も安定。
 オーバーホールする前は、夏に渋滞に巻き込まれると水温が上昇してオーバーヒートを起こすのでは、とヒヤヒヤしていました。ローテンプサーモスタットを付けたり、電動ファンを規定よりも早めに回すパーツを付けたりしていたのですが、それは一時しのぎだったのかもしれません。当時は「とりあえず試してみよう」という軽い気持ちでした。価格も安かったですから。
 現在はそうしたパーツをすべて純正に戻していますが、水温が気になることはありません。やはり、エンジン本体に不具合を抱えていたんだと実感。メカニックから聞いた話だと、慢性的に水温が高いエンジンにそうしたパーツを付けてもあまり意味がないそう。エンジンが正常であればオーバーヒートが心配になるほど水温は上がらないとのことでした。ヘッドのオーバーホールと消耗品の交換をしてからはエンジンは絶好調。ドイツ車ライフを満喫しています。

エンジンヘッドと腰下と呼ばれるシリンダーヘッドの間に備わっているのがヘッドガスケット。ここからの漏れを放置すると大きなトラブルに繋がってしまう。
入念な洗浄とバルブやバルブに備わるシールなど消耗品の交換、ヘッドの面を平らにする面研などの加工をすることがオーバーホールの主なメニュー。

“直す”という決断の決め手は?

「一度はドイツ車を諦めた。だから今度はしっかり直そうと思いました。」

他のクルマに浮気したからこそ、ドイツ車の本当良さが分かったという話はよく聞く。とくに趣味性が強いクルマに乗っているユーザーほど、こういった傾向が強いように思う。しっかり直したことで本来の性能を実感できたのだろう。