デザインを大きく変えて登場した現行型だが、さらに、今に求められる安全性や環境性能も採用し、まるで本当に別モデルかと思えるような進化を遂げていた。しかし、オフロード走破性を最優先するために採用されたハードウェアの数々は、内容を大きく見直し、もちろんパーツそのものも変わっている。さらにチューニングによって操縦性を高め、制御によって走破性を引き上げ、その一方で、やはり乗用車的な快適性や操縦性を大きくアップしている。そう、日和ったのではなく、バランスレベルを〝20年分以上に〟アップさせていたのだ。
JB64へのモデルチェンジは、イマドキのSUVテイストを採り入れただけではない。装備だけピックアップしても、チルト機構のついたステアリング、深さを増したカップホルダー、段差をなくしたラゲッジルームデザインなど、先代モデルのウィークポイントを解消したかのようなものばかり。先代オーナーの立場からすれば、正直言ってクヤシイ内容であり、だから先代を所有する僕は、どうしても現行型を褒めちぎることができない。それはむしろ現行型を認めているからにほかならない。しかも4年目にしてようやく2型へ移行し、一部グレードにアイドリングストップ機能やオートライト機能を装備するなど、その悔しさはますます強くなった。
言うまでもなく、クヤシイけれどそれは羨ましいの裏返し過ぎない。今回は、そんな視点で新旧モデルを比較紹介してみる。
◆外装比較
比較したのは、一部改良前のJB64/1型とJB23/7型。ボディ形状の違いで、サイズには変更がなくても視覚効果的にJB64の方がワイドに見えたり、車高が上がっているかの印象がある。
JB64
JB23
一方、先代のJB23のエクステリアデザインは、デ当時は行き過ぎ感を覚えていたものだが、フロントのブリスターフェンダーや、Aピラーの付け根を前へと出して傾斜を緩めていることなど、今見ると確かにエレガントといえるテイストが感じられる。
◆内装比較
シートについては、ラゲッジルームを活用することに配慮してバランスをつくり込んでいった現行型に対して、先代はもちろんそれも考えつつ、フロントのみならずリアシートにも乗員をしっかりと座らせることをターゲットにしている、という違いがある。
現行型はフロントシートを快適性と機能性をバランスさせ、リアシートは座り心地をデザインした上で、アレンジした際にフラットになるように、そして左右手前までフラットな空間を提供できるように設計。対して先代のリアシートは意外にもすっぽりハマるかのような心地良さがあるが、現行型のようにラゲッジルームをフルに活用できない…という不足がある。
JB64
JB23
◆エンジン比較
エンジンはK6A型からジムニー用にチューニングされたR06A型へ換装れた。日常での扱いやすさのほか、オフロードで求められる低速域のトルクを充実させつつ、高速までしっかりとトルクの発生をもたらす。ほかにも変更点は多いが、印象に強く残っているのはトランスミッション。今回の試乗車はMT仕様だがATではいわゆる滑りを小さくしている。かつてのズルズルしている感じは消え去り、まさにダイレクト感が増している。
JB64
JB23
◆フレーム比較
フレームの形状だけを比較するとあまり変わっていないように見えるが、実は新設計。クロスメンバーを追加し、ボディマウントゴムを大型化したこと、ストレスなく動くサスペンションを作り込んだことで、剛性感の中にしなやかさを提供。結果、心地良さを強く感じ取れるようになり、安心感と操る愉しさまで手に入れている。タイヤも剛性感をアップし、グリップ感や直進性に大きく寄与している。
JB64
JB23
◆4WDシステム比較
4WD システムは、表記上は〝先代と変わらぬローレンジを備えたパートタイム式〟を採用といえる。ただし切り替え操作は後期JB23でセンタークラスターに配置されたスイッチ式を廃止し、かつてのようにフロアに配置されたトランスファーレバーにて行なう。さらに現行型ではイマドキの走破アシスト機能であるブレーキLSDトラクションコントロールを装備。グリップを失ったタイヤに対してブレーキを掛け、接地輪へトルクを伝えて脱出をアシストする。つまりJB64 はハイレベルなハードとソフトが融合することで、最強に近い走破性を手に入れているのだ。