ハイラックスに限らず、クルマをカスマイズするうえで、最も基本的なメニューとなるのがタイヤ&ホイールの変更だ。もちろん、ノーマルのままでもハイラックスの走りやスタイルは、十分満足できるもの。しかし他車と差をつけるスタイルを身につけたり、走りの性能を特化させたりしたいなら、タイヤ&ホイールの変更は極めて有効だ。とくに走るフィールドの広いハイラックスは、タイヤ選びが重要で、マッド向け、ダート向け、オンロード向けなど、目的に合わせた様々な指向のタイヤがアフターマーケットには溢れている。一方、ホイールについては皆さん、どんな基準で選んでいるのだろう?価格?デザイン?さらに製法や軽さなど、選ぶポイントは多々あるが、こだわるのはデザインやカラーではないだろうか?ただしタイヤ&ホイールは、いたずらに変えればいい、というものでもない。そう、フェンダークリアランスなどの関係で、そのクルマに装着できるサイズが必然的に決まってくるのだ。だから変更前に、まずは純正(ノーマル)サイズを確認しておく必要がある。
ここでは、ホイールの大手メーカーRAYS(レイズ)の力を借り、サイズ変更やデザインの違いで、スタイリングがどのように変化するのか?それに適したタイヤサイズは?などを検証してみた。検証用の車両は、人気の約1.5インチのリフトアップを施したハイラックスを用意した。
タイヤ&ホイールのススメ
2017年の登場から2つのタイヤサイズを設定する
「Z」「X」は265/65R17、「GR SPORT」は265/60R18と、グレードによってサイズは異なるが、タイヤハウス内のスペースは全てのグレードにおいて同じ。なのでタイヤのカスタマイズて選択できるサイズは共通となる。外径776㎜/幅 265㎜までは履くことができるので、その近辺のタイヤサイズを選択すれば、インチアップもインチダウンも、深く迷うことなくタイヤ選びができる。
■注意1
タイヤ&ホイールの履き替えでは、現状に準じたものを選べば問題はないが、サイズを変えるのなら外径と幅を確認したい。また、タイヤの種類によっては、同じタイヤサイズでも、外径や幅が大きく変化する場合があるので注意が必要。
■注意2
リフトアップ量が約1.5インチの場合では、265/70R17や285/70R17はインナーフェンダーに干渉する(干渉部分の加工が必要)。また、装着によりメーター誤差が生じる場合もあるので、購入の際は、プロショップ、ホイール&タイヤ量販店に相談して欲しい。
■注意3
検証用の車両は、フロントサスペンションをリフトアップスペーサー(40㎜アップ)で前後のバランスを整えている。また、GMG製のエアローパーツ(タンドラフェイス)でドレスアップしている。
※285/70R17はホイールスペーサーでバランスを整えている。
1.適合サイズを知る
タイヤ&ホイールを変更する、その大前提に、まずは純正でどんなサイズを履いているか、知っておかなければならない。ハイラックスはグレード別に18インチ、17インチを設定する。
2.タイヤの外径や幅は変えない
【17インチ】外径:776㎜/幅:265㎜
【18インチ】外径:775㎜/幅:265㎜
純正サイズのタイヤは、外径がどれくらいの大きさなのか? これをチェックしておこう。大きすぎればフェンダー内に収まらないし、小さすぎてもスタイルに影響が出る。
3.ロードインデックスを下げない
タイヤを履き替える際は、履ける・履けないのサイズ的なことだけでなく、そのタイヤのロードインデックス(負荷能力)にも注意。タイヤが車重を支えきれない場合も。
4.適切なサイズのホイールを選択する
走りに支障を来さないサイズを選択する
■265/65R17→265/65R17
純正採用サイズと同じ外径と幅なので、フェンダー内の干渉はなし。ホイールやタイヤのデザインを存分に楽しむことができる。
RAYS TEAM DAYTONA FDX F6(17×8.0J(インセット20))
BFGoodrich All-Terrain T/A KO2(LT265/65R17)
干渉の有無と対処方法
フェンダー内の干渉は一切なし
■265/65R17→265/70R17
純正採用サイズよりも外径が28㎜もアップしている。265/65R17に比べてフェンダーの左右の隙間が小さくなっており、ホイールやタイヤの存在感は増している。フェンダー内の加工は必要。
RAYS TEAM DAYTONA M9 BLACK EDITION(17×8.0J(インセット20))
TOYO TIRES OPEN COUNTRY R/T(265/70R17)
干渉の有無と対処方法
インナーフェンダーの加工は必要
■265/65R17→285/70R17
外径838㎜と純正採用サイズよりも62㎜ほど大きくなったのでステップ2を上回る迫力がプラスされた。このサイズの選択では、車高アップやオーバーフェンダー、フェンダー内加工、他が必要。
RAYS TEAM DAYTONA M8(17×8.5J(インセット10))
BFGoodrich Mud-Terrain T/A KM3(LT285/70R17)
干渉の有無と対処方法
各部の加工、ホイールのサイズ選びは重要
そのまま履かせると、サスペンションのアッパーアームやインナーフェンダーにタイヤが干渉するので、泥除け側のインナーフェンダーの下部をカットし、また、ホイールスペーサーでホイールを外側に出している。
※1 ハイラックスには個体差があり、加工なしで履ける車両もあるらしい。17インチ限定で検証を試みている。
■走りに支障を来さないサイズを選択する
タイヤサイズを大きくすると、最低地上高のアップや乗り上げ性能の向上をもたらす。一方、過度のサイズアップは、ギア比とのマッチングが少し崩れる傾向もあるので、その辺りは理解をしておく必要がある。ハイラックスの場合、33インチや35インチといった大径タイヤを履かせる場合、4〜6インチほど車高を高くする大工事が必要となる。
純正車高・フェンダー加工なし ※検証車両は足回りで車高を約1.5インチアップ
タイヤサイズ ➡ ❶265/65R17・❷265/60R18
車高が変わらないので、フェンダーの隙間は純正と同等。車高アップ量に関係なくタイヤの干渉を起こさないサイズは265/65R17止まりなので、タイヤ外径の限界は775ミリ〜776ミリくらい。具体的なサイズでは、「265/60R18(775ミリ)」「265/65R17(776ミリ)」の2種類となる。いずれも純正サイズなので車高自体には大きな変化はないが、ゴツゴツしたオフロードタイヤを選ぶことで、オフロード4WD車らしいボリューミーなスタイルができあがる。純正タイヤ以外の選択では、タイヤサイズが同じであっても銘柄によって外径や幅が、規定値を大きく超える場合もあることを覚えておく。購入の際は、専門家のアドバイスを受けたい。
●265/65R17(❶)、265/60R18(❷)を設定する主なタイヤ銘柄
❶❷ BFGoodrich All-Terrain T/A KO2
❶❷ BFGoodrich Mud-Terrain T/A KM3
❶❷ BFGoodrich TRAIL-TERRAIN T/A
❶❷ TOYO TIRES OPEN COUNTRY R/T
❶❷ TOYO TIRES OPEN COUNTRY A/TⅢ
❶ TOYO TIRES OPEN COUNTRY M/T
❶❷ GRANDTREK PT5
❶❷ GRANDTREK AT5
❶ FALKEN WILDPEAK A/T3W
❶❷ YOKOHAMA GEOLANDAR X-AT G016
※右記タイヤは、いずれかのサイズを設定している。外径・幅が純正車高では適合しない場合もあるので、購入の際には、タイヤ量販店・プロショップに必ず相談して欲しい。
フェンダー加工あり ※検証車両は足回りで車高を約1.5インチアップ
タイヤサイズ ➡ 265/70R17
人気の265/70R17(外径:804ミリ 幅:272ミリ ※検証で使用したタイヤ)を履かせる場合、インナーフェンダーの泥除け側の下部にタイヤが接触するので、干渉部分のカットが必要となる。タイヤによる車高アップ量は14ミリほど。フェンダーとタイヤの縦方向のクリアランスは広がり、横方向が狭くなるので、純正車高・加工なしよりもオフロード4WD車らしいボリューミーなスタイルとなる。タイヤサイズに合致する銘柄もあるが、外径を大きく超える場合もあるので、購入の際は注意をしたい。また、今回の検証車両のようにスペーサーなどで若干のリフトアップも施しておきたい。
●265/70R17を設定する主なタイヤ銘柄
BFGoodrich All-Terrain T/A KO2
BFGoodrich Mud-Terrain T/A KM3
TOYO TIRES OPEN COUNTRY R/T
TOYO TIRES OPEN COUNTRY A/TⅢ
GRANDTREK PT5
GRANDTREK AT5
FALKEN WILDPEAK M/T01
FALKEN WILDPEAK A/T3W
YOKOHAMA GEOLANDAR X-AT G016
YOKOHAMA GEOLANDAR M/T G003
※上記タイヤには、265/70R17が設定されているが、外径・幅が純正車高では適合しない場合があるので、購入の際には、タイヤ量販店・プロショップに必ず相談して欲しい。
インナーフェンダーのカットについて
リフトアップ・フェンダー加工あり ※検証車両は足回りで車高を約1.5インチアップ
タイヤサイズ ➡ 285/70R17
上記にて、車高を約1.5インチアップし、オーバーフェンダーを装着したハイラックスに285/70R17を履かせている。ホイールスペーサーでホイールの位置を調整し、さらにインナーフェンダーを加工している。さらにタイヤサイズを大きくする場合、ボディリフト(メンバーダウン)やリフトアップサスペンションなどで、4インチ〜6インチほどの車高アップが必要となる。上げ幅次第で、295/70R17でも、33インチでも、35インチでも履けるようになるのだが、大工事となるので相応の覚悟は必要となる。ボリュームアップアップは一筋縄ではいかないのだ。