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JB64 ジムニー

2021.05.23

狩猟から釣りまで余暇の達人御用達は趣味車としても大人気のジムニーだった!

インタビューを行なったのは、千葉県南房総は館山にある、社長宅でもあり、仲間が集うことができる保養所的な暖かさのある、館山ベース。目の前には海が広がり、サウナからバーベキュー小屋、さらにはキャンプを愉しめる山から、池、そして、そこから流れる小川まで、自然をとことん愉しめる、まさにベース基地のような場所となっている。この館山ベースは、きっと川邊氏の理想を実現したものなんだろうな、そんな問いからインタビューは始まる。
「自然に親しんで育ちましたから、自動車免許を取得したらどこへでも出掛けることができるヨンクが欲しいな、そう思っていました。」川邊氏がクルマを運転できるようになった時、丁度、実家でパジェロを購入したとか。

「館山ベースがある南房総へは、パジェロでよく走ってきましたね。海の近くまでクルマが入れるマリンキャンプ場にも頻繁に足を運びましたよ。ちょっと道を外すと砂浜にハマってしまうんですが、そういった経験をしていくうちにヨンクはどこまで走れるのか、そして、ヨンクっていいなぁって思うようになりましたね。」

■ヨンクの良さを知り尽くしている川邊氏だが、なぜ、ジムニーへとたどり着いたのだろうか。

「ブランドにこだわりはなく、ツールとでも言いましょうかね、あくまでも道具と考えています。ですから以前、東京に住まいがあった時には、クルマが部屋、言い方を変えますと、趣味のギアを置く場所、もっと言いますと、ガレージ、いや、物置きのようになっていました。ジャンルでいえば、いわゆる車内スペースの広い、ワンボックスタイプの国産車に乗っていました。」

■一方で、ジムニーに対しては、どんなイメージを持たれていたのだろうか。

「もう一度ヨンクに乗るならば、ランクルのような大きなモデルに乗りたいなと思っていました。ですからジムニーのことは知っている程度でしたよ。ジムニーが欲しいと思ったのは、30代半ばでフィールドへ出掛けるアクティビティとして狩猟を始めたことがきっかけです。経営者として長期的な視点でさまざまな可能性を探っていた時、日本はやがて人口が減り、地方は過疎化し、害獣も増えてしまう、そんな国の予測を目にして、よし、狩猟を始めてみようと思いましてね。狩猟って、フィールドを分け入って行くのですが、そういったシーンで活躍できるモデルってコンパクトであること、そして、ヨンクであることが必須。具体的には、ジムニー、もしくは軽トラックの2タイプしかないんです。それはもう制服みたいなものでね、狩猟をするにはどちらかに乗らなきゃいけない! といった感じで。ただね、当時は東京に住んでいましたから、さすがに軽トラックよりもジムニーのほうがいいだろう、そんな理由からジムニーを選ぶことになりました。」

■そして、ヤフーと提携を結んでいたCarview(情報サイト)のスタッフに狩猟での足として使い倒せるジムニー(JB23W型)を探してもらうことになり、そこで日本一のジムニープロショップとして紹介されたのが、株式会社 エヌズ・ステージ代表取締役社長の矢羽々博征氏だったという。

「狩猟で使いたいから、そして、あれを着けたい、これが欲しいというリクエストに、矢羽々さんは的確に応えてくれましてね。すごく気に入って、7万㎞ほど走っていた車両でしたが20万㎞ぐらいまで乗りましたね。そして、新型ジムニーへと乗り換えることになりました。」

■軽乗用車、しかも、前後リジッドサスで、ラダーフレームベースのジムニーに乗ることに抵抗はないのだろうか?

「ただ、軽自動車がどんなモデルかよく分からなかったので、大丈夫かなぁ程度には捉えていましたね。実際、パワーに対して最初は物足りなさを覚えましたが、でも、こんなものかなって、結果、慣れてしまいました。もちろん、年齢もあるんでしょうかね、のんびりとドライブする感覚が心地よくなったので、パワーについての物足りなさはいつしかなくなりました。なによりもこのコンパクトさ、特に全幅は狩猟では必須ですから、むしろジムニーしかない、そういう捉え方になりました。新型については、乗り心地からハンドリングまですべてが良くなっていることはもちろんですが、クルーズコントロールが付いたことがとにかく嬉しいですね。狩猟で遠くまで出掛けることがあるんですが、もう大活躍ですし、東京へ仕事に行く時も、ね。また、狩猟や釣りの時は、クルマのキーをたくさんあるポケットのどこに入れたか分からなくなるのですが、新型で採用されたキーレスプッシュスタートシステムはキーを身に着けていればドアにあるボタンを押すだけで、解錠・施錠ができますから、とにかく便利ですね。」

 ■さて、川邊氏といえば、先に10年を迎えた東日本大震災で復興に尽力したことでも広く知られている。

「当時はヤフーニュースの責任者でした。3月11日が金曜日でしたから明けて火曜日まで会社に泊まり込んで、困っている人たちに情報を届けようと懸命になっていました。ところが、ヤフーニュースへのアクセス状況を調べたら……、東北の沿岸部から広い地域でアクセスできていないことが分かりました。つまり、被害が甚大で情報すら届かない地域がある、と。

震災から1か月後ぐらいだったか、ミュージシャンの布袋寅泰さんと物資を携えて被災地を慰問したのですが、自分としては情報という視点から何か役に立てないかとつくづく感じましたね。そこでお声掛けいただいたのが情報ボランティアというスタイルの支援。様々な企業はもちろん、政府や自治体、NPO法人と連携して、互いの得意分野を提供し、被災された方、困っている方へ情報を伝えていこうという支援ですね。学生さんにもお願いして各避難所に関わっていただき、情報を得られるようにすることはもちろん、当時、避難された方が切望していた罹災届けをいち早く提出できるような体制を整えましたね。」

■震災から1年が経過した頃、支援はさらにステップアップ。

「東北で強く支持されている河北新報を中心に、出版、イベントを提供している河北新報社の1Fに事務所をお借りし、宮城県石巻市に誰でも来ていただける、そんな気軽さをもったヤフー石巻復興ベースを開設しました。また、自転車で愉しく走るイベントであるツール・ド・東北、東北をもっと知ってもらおうと立ち上げたECサイト復興デパートメント、若手漁師さんを中心としたフィッシャーマンジャパンによる新たなチャレンジなど、様々な復興支援が生まれました。ツール・ド・東北は、皆さんに足を運んでいただき三陸沿岸をじっくり見ていただきたい、それには、自転車に乗って巡るのがいいんじゃないか、そんな会話から生まれました。似た趣旨から過去にも開催されていまして、そのオマージュでもあるんですよ。」

■過去のイベントは戦後の道路整備促進から行なわれたもので、当初は東北6県を駅伝スタイルで巡るレース。現在は、愉しく走ろうというファンライドイベントとスタイルを大きく変えている。自転車から眺める景色は毎年確実に変わっており、〝特に、女川あたりの復興の勢いは感動しますよ〟と、ほぼ毎年参加している川邊氏は語る。そして、2019年、台風15号が千葉県を襲い、この館山ベースのある南房総への甚大なる被害を目の当たりにして、日本における災害というのは他人事ではないのだな、と思ったともいう。ところで、なぜ南房総に館山ベースを作ろうと思われたのか、訊いてみた。

「住まいを東京に構えるのではなく、少し離れたところに持ちたい、そうずっと思っていました。ここを選んだのは、落ち着いたところで、東京へと通える範囲にあり、自然に親しめること、釣りができること、狩猟ができることがポイントでした。そして、住居であるだけではなく、仲間や社員が集える合宿所のようにもしたかったんです。そうそう、合宿といえば、現在のヤフーのアプリ版トップページをどう作るか、それを皆で集まって決めたのも、この館山ベースでしたね。」

■こうして話をうかがっていると、川邊氏のライフスタイルにとって、この館山ベース、そしてジムニーは欠かせない存在であることが伝わってくる。

「自然の中にいると気分転換になるし、そこに道具としてのジムニーがいる。忙しい人であればあるほど、こういうライフスタイルはお勧めしたいですね。実は、仕事もこのほうが効率的になるんですよ。たとえば、釣りに行くためにいかに早く仕事を終わらせるか、というような、仕事の効率化を考えていたりするものです。上司という立場であればあるほど、ジムニーに乗って日常を愉しんでください、そう言いたくなりますよ。」
猪や鹿は、大物になると体重が100㎏を超えることも珍しくない。そこで、仕留めた獲物を運び上げたり搬送するために、フロントにウインチを、リアにヒッチキャリアカーゴを装備した。荒地に分け入ることが多いので、車高を2インチアップし、タイヤをTOYO TIRES OPEN COUNTRY R/T(185/85R16)に変更して機動力を高めている。リアシートは倒して荷室を拡大。専用ボックスなどを入れて狩猟に必要な道具の大半をコンパクトにまとめている。狩猟仲間との通話は、アマチュア無線で行なわれる。
川邊さんの遊び道具の一切を管理しているのが、協豊自動車工業の石渡保男さん(写真右)。JB64に取付けられたウインチも、リアのカーゴも、これから装着予定のLEDランプも、その全てを石渡さんが手掛けている。JB23からの乗換えでJB64を手配したのが、本誌でもお馴染みのエヌズ・ステージ代表の矢羽々博征さん(写真左)である。狩猟の相棒として手に入れたジムニー(JB64型)。ジムニーは、20万キロで手放したJB23に続き2台目となる。東京にある本社へも、このジムニーで移動することもあるという、お気に入りの1台。ベース車両は、エヌズ・ステージがプロデュースするコンプリートモデル・ジャオス エディションである。
館山ベースには、ジムニー以外にも、様々なアクティビティに必要な乗り物を揃えている。写真(上)のオールドトラクターも現役で活躍。

●川邊健太郎

Zホールディングス株式会社
代表取締役社長 共同最高経営責任者

Yahoo! JAPANをはじめ、国内で約200を超える多彩なサービスを提供し、人々や社会に新たな価値を創出するZホールディングス。代表取締役社長としてグループを率いているのが川邊健太郎氏。平日は、日本が抱える課題に取り組み、社会インフラの改善に尽力。休日は、館山ベースで狩猟や釣りにいそしむ。

●取材協力