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【RAYS】4WD・SUVの走りのパフォーマンスを高めるライトウエイト&高剛性

ボルクレーシングのホイール開発に、クリエイティブプロデューサーとして長年携わってきた山口浩司氏(第二商品企画部 部長/モータースポーツホイールDivなども兼任)。今回、改めてTE37XTについてインタビューを行なったが、その真価・深化・進化を感じとれる事実が多かった。

ホイールで走りが変わる、これは紛れもない事実だ!

鍛造ホイールのTE37XTは、鋳造ホイールと比較して軽量かつ高い剛性を確保している。強い衝撃に耐える強靭さと長期使用における耐久性はもちろん、コーナリング時などで生じる歪みに対する強度の高さ(=剛性が高い)こそが最大のポイントなのである。この優れた剛性の確保は、1G状態で歪にくいことはもちろん、加減速時やコーナリング時の歪みも抑制されるため、路面状況がタイヤにリニアに伝わり、結果として効果的にタイヤが使える。ゆえにTE37XTを履かせた車両は、より素直な加速を示し、安定したブレーキ制動も実現。さらに意のままに操ることができるハンドリングも得られる。もちろん高い剛性によって、可能な限り軽さも追求できるし、軽量であることで慣性モーメントが有利に働き、運動性の向上にも繋がる。こうした事実は検証テストにおいて、プロのレーシングドライバーである井入宏之氏とジャーナリスト・高坂義信氏のフィーリングでも認められたが、この効果は一般的なドライバーでも違いを感じ取れるほど顕著であった。
興味深いのは、このテストの後に1カ月半の期間を費やしてTE37XTを解析した結果である。残念ながら具体的な数値などは、ホイール開発の根幹に関わることなので公表はできないのだが、加速・ブレーキ・コーナリングなどの項目において、実験結果を裏付けるだけの良好なデータが得られたのである。数値からもTE37XTが、タイヤの性能を引き出す鍛造ホイールであると確認できた。

TE37XTを装着した場合、ハンドリングの応答が良く、スラローム走行での姿勢変化がしっかりするため、速度をあまり落とさずに済む。これは最適な剛性と軽量さが発揮された結果である。
プラド対応のTE37XTは1本あたり約5㎏の軽量化となる。走り出しから足もとの軽さを十分感じられ、軽快感を覚える。この軽さは追い越し加速や制動距離においても、明らかなメリットだ。

安全かつ走って楽しい、それがTE37を選ぶ価値

ボルクレーシングのクリエイティブプロデューサーであり、RAYSの営業本部執行役員である山口浩司氏によると、実走テストによるフィーリングでもコンピュータシミュレーションによる解析でも、良い結果が得られることが、実は分かっていたという。


「我々は最高峰のモータースポーツを始めとして、数々のコンペティションシーンで勝つためのホイールを提供してきました。そこで数多くの実績とノウハウが培われています。アルミホイールの性能如何でハンドリングが変わるということも経験済みで、ドライバーやチームからの要望からよりコーナーを曲がりやすいアルミホイールを製作したこともあります。そのようなモータースポーツの経験をフィードバックしたのがボルクレーシングの鍛造製アルミホイールです。インナーリムやアウターリムの形状、スポークのデザイン、ハブ形状などによって強度や剛性は変化するため、単に鍛造製法というだけでなく、あらゆるノウハウを注ぎ込んで開発しています。
それはオフロード四駆向けに開発したこの『TE37XT』においても同様です。従来のTE37が持つデザインイメージを踏襲しながら、オフロードを走破することを想定した独自の設計と製造を行なっています。4WD・SUV用ホイールはハブ形状が大きいため、ホイールのセンター部はどうしても剛性を確保しにくくなりがちです。しっかり対策された設計とした上で、スポークエンドについても剛性を確保しやすい形状にするなどのアプローチをしています。
また〝単に剛性が高いワケではない〟ところにも注目していただきたいです。例えば横方向への剛性をいたずらに向上させることはせず、車両総重量や装着するタイヤなどを考慮した上で縦方向への反応を良くする設計も取り入れています。ちなみにこの『TE37XT』は、20年前に登場した『TE37X』の後継モデルとしてデザインこそ継承されていますが、実は素材や製造工程などを変えています。新しい金型の開発も行なうなど、より安心かつ安全に使用でき、タイヤの性能を効果的に引き出すホイールへと進化しています。」と話す。
最後に、テスト走行やコンピューター解析の結果を受け、四駆用の新しいボルクレーシングホイールも開発中で、オフロードレースシーンにも投入を予定とのこと。今後のボルクレーシングの動向からも目が離せない!

■TE37XT、TE37XT for Jを知る3つの重要なキーワード

●センターホール

オフロード四駆の大きなハブ径に合致させるべくセンターホールを大きめとするデザインを採用しながら、形状の最適化を行なう。また新世代のTE37らしく、各部にマシニングによるロゴデザインを刻んでいるのも特徴だ。

●インナーリム&アウターリム

鍛造製法ゆえに、リムはインナーもアウターも薄くしながら剛性を高めた。結果、大幅な軽量化も可能になり、運動性能に有利に働く慣性モーメントを小さくすることにも成功している。

●6本スポークデザイン

剛性や放熱性にも有利なTE37伝統の6本スポークデザインを踏襲したTE37XT。縦方向に有利な最適解の剛性を与えることで、無意味な剛性アップによる余計なタイヤの発熱などを抑制する設計としている。

●JWL+R Spec 2

レイズでは、日本のJWLや欧州のTUVといった安全規格はクリアすべき最低限の基準であると考え、より高い安全性を確保するために、それらを遥かに上回る厳しい“JWL+R”を独自規格として設定している。現在、その規格はより厳格なスペック2にまで引き上げている。

●ゆがみ、ひずみの確認

VOLK RACINGの鍛造ホイールは、コンピュータによるシミュレーション解析で歪みやひずみなどを確認後、1分1のスケールモデルを試作し1Gの状態で、ひずみやゆがみなどの有無を確認する。最後に実車に装着してテストを行なっている。