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2021.05.13

「ブリヂストン」静粛性やふらつき低減を図ったSUV向けのオンロード系タイヤ「ALENZA LX100」

◆ALENZA LX100

アレンザはブリヂストンのSUV用オンロード向けブランド。すでにスポーティなオンロードモデル=アレンザ001が発売されているが、デューラーH/L850がアレンザLX100にモデルチェンジするのを機に、オフロードブランドをデューラー、オンロードブランドをアレンザとして新たにスタートした。LX100は、H/L850のコンフォート性をさらに進化させており、例えるならオンロードSUV用のレグノを目指したキャラクター付けとなっている。
実際、トレッドブロックにダブルブランチ型の消音器機能を持たせた「3Dノイズ抑制グルーブ」や、タイヤショルダー部に振動を抑える凹凸加工=3Dノイズカットデザイン」を採用するなどレグノ張りの静粛性対策を行なっている。トレッドデザインもブロックの打音を嫌ってサイプ(極細溝)によってブロックを切り分けるなど、コンフォート系タイヤの定番ともいえるデザインが採用されている。
さらに、オンロード性能を謳うだけあって、タイヤグレーディングで転がり抵抗A/ウエットグリップCを獲得し、低燃費タイヤとしての性能も満たしている。一方でショルダーブロックを大型にしたり、ケースを2プライにするなど、重いSUVでもブロックやケースが剛性を保つことができるタフネスな設計も取り入れている。

インプレッション

走り出した瞬間の「しん」とした静かさが印象的だ。軽く滑らかに、静かに走り出すその感触が高級感のある乗り味を作り出している。転がり抵抗がA(タイヤラベリング)と小さいこともあって走り出しが軽く、SUVならではの重さ…走り出しの「ヨッコイショ感」がない。トレッドデザインに横溝がなく滑らかに転がっていく感触はプレミアムセダンのような感覚だ。3Dノイズ抑制グルーブや3Dノイズカットデザインなど制振・静音加工を施したトレッドデザインによる消音効果が印象を作り出しているのだろう。
ダンピングをやや落とし気味にしたことで乗り心地もソフトでしんなりしたものとなっている。オンロードをターゲットにしているためか、タイヤの軽さが感じられる。転がり抵抗の少なさと相まって軽々と、そしてスルスルと走り出す感覚も心地いい。
試乗車のハリアーでの印象でいうと、ちょっとノイジーでザラついた乗り味の感じられる現行型ハリアーが、初代ハリアーの高級な乗り味になったかのように感じられる。路面のザラつきや、ジョイントからのショックがマイルドに丸められていて、クルマの格をアップグレードしたようなものになる。
その一方で、ダンピングを低めに設計しているため足回りが固めの例えば輸入SUVだとむしろアレンザ001のほうがマッチングが良く表れるケースもある。それだけ攻めたキャラクターとしているのだろう。

高い静粛性を備えた技術に注目

①3Dノイズカットデザイン
ショルダー部にクッション効果を持たせ、振動をやわらげ、ロードノイズを低減。
②シークレットグルーブ
摩耗後も高周波ノイズの抑制を持続する溝構造を持つのが特徴。静粛性アップのポイントのひとつだ。
③3Dノイズ抑制グルーブ
ダブルブランチ型消音器と呼ばれる構造を配置することでパターンノイズを低減させる。

◆ALENZA001

SUV向けのハイパフォーマンスタイヤ

オンロードメインの輸入プレミアムSUVをターゲットに開発されたのがアレンザ001だ。トレッドデザインは欧州プレミアムスポーツタイヤのトレンドである縦溝基調のリブデザイン。重いSUV向けのチューニングとしてブロック端の角を丸めて偏摩耗を抑制する“チャンファリング加工”や、サイプにブロックを支え合う“3D-M字サイプ”を採用するなどの工夫が施されている。タイヤのキャラクターはウルトラ・ハイグリップ・スポーツではなくツーリング・スポーツといった方向性。アウディQ5での印象だと、ダンピングが利いていて乗り味がシャキッとして軽快機敏な印象を高めてくれる。操縦性が素直で、操作に対する応答の正確さに操縦性のいい乗用車的な精度感があって、ハンドル操作どおりにクルマが動いてくれる。ドライブが楽しいタイヤだ。
 
❶ マルチラウンド・ブロック
❷ チャンファリング
❸ 3D-M字サイプ
運動性能を発揮する同モデル。SUVに求められる走りを高次元で実現している。また転がり抵抗を抑え、ウェット性能を高めているのも注目のポイントとなっている。