【BFGoodrich】All-Terrain T/A KO3の魅力を豪州で体感する！新たなAll-Terrainの魅力を徹底紹介

BFグッドリッチのオールテレーンが2024年8月に9年ぶりのフルモデルチェンジを行ない、オールテレーンT/A KO3としてデビューを果たした。他のブランドのモデルとは一線を画すトレッドデザイン、ホワイトレターデザインなど、走破性はもちろんのこと、ドレスアップアイテムとしてもとても注目度の高いモデルだ。
　KO3の特徴は、3つの〝T（技術名の頭文字）〟で知ることができる。耐摩耗性向上を意味するTreadwearでは、ニュー・オールテレーン・コンパウンドにより、オンロードから過酷とされるようなオフロードであっても高い耐久性を期待でき、さらに、フルデプス・3Dロッキングサイプは、ブロックに刻まれたサイプの倒れ込みによる影響を小さくしてブロックの安定性を確保し、偏摩耗も抑制して優れたロングライフ性能も実現している。耐久性向上を意味するToughnessでは、ニュー・オールテレーン・コンパウンドによる新配合コンパウンドが、オンでもオフでも高い耐久性を、コアガード・テクノロジーは、ショルダー部までカバーさせたトレッドデザインにより外からのダメージを抑え、そこにBajaレースで鍛えられたサイドウォール技術を採用し、対応。そして、環境を選ばない優れた駆動力を意味するTractionでは、セレイテッド・ショルダー・デザインに与えられた凹凸造形が、マッドや雪道でしっかりと路面を掴み、フルデプス・3Dロッキングサイプがトレッドブロックの安定性を確保するためにブロックの倒れ込みを抑制し、さらに偏摩耗性能もアップ。そして、インター・ロッキング・トレッドデザインがセンター部のブロック剛性を引き上げて、オンとオフともにハンドリング性能とトラクションを高め、ブロック配列をさまざまにすることでオフロードにおけるグリップ力も期待できる。もちろん、シビアスノータイヤの証であるスリーピークマウンテンスノーフレークマークとM＋Sが刻印されており、国際基準でもあるシビアスノータイヤ要件に適合。国内の冬タイヤ規制時もそのままに走ることができる。ただし、凍結路への対応は難しいところがあるため、降雪時の積雪路に止めておくことが無難だ。

■All-Terrain T/A KO3

　走り出してすぐに感じるのは、まさにイマドキのタイヤらしさである転がり抵抗を抑えながら接地感があるというあの不可思議な印象。滑らかに路面をトレースしていくフィーリングに、途中で、これオールテレーンだったよな？と自問してしまうほどだ。ちなみに、このモデルはすべてLT規格となっており、そこまで加味すると、このアッパークラス感は一体何なのだ？と、驚きばかりだった。と、走り出しただけで気付いてしまったのだが、そのアッパークラス感は速度が上がっていっても変わることはない。
　タイヤの剛性としては当然のように高めとなるが、そこにはしなやかさや、その加減に心地よさがあり、固いと感じることはなかった。また、コーナーでは、そのしやなかさが、的確なロールフィールを作り上げ、グリップ感もしっかりとドライバーに伝えてくる。さらには、静粛性は想像していたよりも高かった。いわゆるロードノイズやパターンノイズは存在しているが、そこに耳障りな音質は見当たらない。つまり、これだけのパターンを持っているから、乗り心地や静粛性といった何かを諦めなければならないことはなかった。
　オフロード走破性は語るべくもなくハイレベル。ただ、そのレベルは走破してしまうという結論だけではなく、トラクションを得ようとしているスタンスまでチューニングされていた。たとえば、2WD（FR）のままでも、トラクションを探りながらアクセルペダルを踏み込む量に緩急を付ける必要はあるが、マッドセクションでは前進を続けるし、マッド気味なヒルクライムでも登り切ってしまった。つまり、コントロール性がすこぶる高く、そこにクルマを操る楽しさが溢れていたのだ。
　そして、4WDへと切り替えてタイヤの半分が水に浸かるシーンへ入っていけば、いうまでもなくグリップを失うことなく、まさにズイズイと進んでいってしまう。ロックセクションでは、空気圧は標準のままに、ショルダーからトレッド面がしっかりとたわんで岩を掴もうとするなど、もはやマッドテレーンに期待される走破性レベル、と、いわんばかりだった。
　結果、オンロードにおけるアッパークラス感と、オフロードにおける期待以上の走破性をバランスさせているこの性能は、まさに驚きとしか表現のしようがないものである。
　オールテレーンT/A KO3には、ジムニー純正サイズといったタイヤサイズをアップさせずとも、そのままに履き替えられるサイズを用意している。まさに、気軽に、そしてハイレベルのカスタマイズを楽しめる、新世代オールテレーンと言えるだろう。ぜひ、一度、お試しあれ。

クロカンヨンクから欧州のハッチバックまで、スピードではなく、対話性の溢れるクルマが好み。ちなみに、90年代に愛車をカスタマイズした際に選んだタイヤはAll-Terrain T/Aの２代目。アグレッシブなデザインとホワイトレターに惚れ込んで購入した覚えがある。今回の海外試乗会では、オンロード性能がどこまで高められているかに着目した。（吉田直志）