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【Kudo-J】バネを換えればリフトアップ可能?それは大いなる勘違いですよ!

ジムニーをはじめ、4WDの王道的カスタムといえば、やはりリフトアップ。大きなタイヤを装着すると、俄然力強さが増してくる。特にシンプルな構造のコイルリジッド車の場合、ノーマルよりも長く硬いスプリングに変更すれば、車高は上がる。だがこれは「上げただけ」で、サスペンションチューニングとはお世辞にも言えない。
 長年に渡りジムニーのオリジナルパーツを開発し続ける工藤自動車の工藤さんが特に言うのは「現行ジムニーでリフトアップする場合、特に注意したいのはリヤショックの長さです!」と力説する。今回サンプルで使用するデモカーのシエラは、18インチホイールを装着した、どちらかというと街乗りに重点をい置いた仕様。リフト量は1インチだが、注目したいのはショックの太さや長さ。特にリヤサスペンションはストローク量が大きく、ノーマルショックのままでは「伸び切り」という現象が発生し、これが乗り心地を悪化させる要因の1つ。また可能なかぎり太くする事で、大きな入力に対してもゆっくり縮むので、しなやかな動きを実現できる訳だ。
 ちょっと車高を上げ、1サイズ大きなタイヤにしたいけど、乗り心地は変化させたくない!どちらかというと街乗りメインで、たまにオフロードも走りたい。そんなシエラユーザーに最適な足回りが間もなく登場予定。これは期待しない方が無理と言うものだ!

約40㎜と控えめなリフトアップ量だがそこには様々なノウハウが盛り込まれる

大げさなリフトアップではなく、ちょい上げ仕様なスタイル。最大の特徴は18インチのA LAP-07Xをチョイスしている点だ。大径ホイールは重いイメージがあるが、鍛造構造を採用することで軽さという性能も実現。クルマを走らせる楽しさもキチンと追求している。
1インチのリフトアップスプリングに対し、フロントは20㎜、リヤは38㎜のロングショックを装着。アーム類の変更は行っていないが、キャスター角、ショートスタビリンク、ラテラルロッドを変更。リフトアップすると各部のジオメトリーが変化してしまうが、それらもしっかり「補正」し、違和感のないハンドリングを実現している。
工藤自動車のオリジナルビルシュタインと、ノーマルのショックアブソーバーを比較。長さはもちろんだが、圧倒的にビルシュタインの方が太い。フロントは20㎜、リヤは38㎜ロングとなっており、ノーマル車高〜1インチリフトに対応。リヤを長くすることでショックの「伸び切り」も防止しており、ビルシュタインの何相応しい、快適な乗り味を実現している。
スプリングの巻き数、線形(太さ)、バネレートなど、様々な仕様の試作品を実際に車両に装着して評価を実施。ちなみに工藤自動車のスプリングの特徴は、ボディとスプリングが接触する部分をフラットにする「端面研磨」を施すことで、理想的な力の掛かり方を実現している。実際の製品では耐食性にも強いジンクコート塗装を施す予定。細かなノウハウを満載していると言える。
リフトアップするとノーマルよりもボディの位置が高くなる。するとボディと接続するリンクが引っ張られ、スタビライザーの角度がキツくなる。このことでサスペンションが引っ張られるような現象が起きてしまうが、これを補正するために短いリンクを工藤自動車では発売中。余談だがアイシン製の部品を採用しており、その品質もしっかり追求している。
ジムニーよりもカスタムの自由度が大きいシエラということを生かし、タイヤはオープンカントリーR/T(225/60R18)をチョイス。組み合わせるホイールはレイズ・A LAP-07Xだが、これは工藤自動車専売モデルのマットブラックだ。カスタムにセオリーはあっても決まりはないし、自由なスタイルを楽しめるのも工藤自動車の魅力と言えるだろう。

ショックアブソーバーが短いと、乗り心地が悪くなるんですヨ

ジムニーを真摯に研究し、様々なパーツを開発する工藤自動車の工藤さん。「スプリングを交換してもショックアブソーバーが短いと、乗り心地が悪いです。皆さんが『突き上げ』だと思う現象はショックが『伸び切った』状態で、それを改善するために長いショックを推奨中です」と語る。