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【YOKOHAMA】A/Tか、X-ATか!?選べる2種のATタイヤを比較する

2021年、ブランド誕生25周年を迎えているヨコハマタイヤ「ジオランダー」シリーズ。4WD・SUV専用ブランドとして、すでに多くの信頼をユーザーから獲得しているが、ここへ来て新しいタイヤのリリース、そしてより魅力的なサイズの設定に精力的だ。
 そんな中、デリカD:5も最重要車種の1台に数えられている。純正サイズをより多様なタイヤに設定、またカスタマイズに対応したサイズも続々と登場してきている。とくに注目したいのが、今回、ここで紹介する2つのタイプのタイヤ。そう、ジオランダーの誇る2つのオールテレーン「ジオランダーA/T G015(以下、G015)」と、「ジオランダーX-AT(以下、X-AT)」だ。両者ともノーマル車高でも履けるサイズをはじめ、ほどよいリフトアップに対応したサイズも用意。しかもアウトラインホワイトレター仕様(※1)も設定されるなど、デリカD:5ユーザーのマインドを捉えた選択の幅を、どんどんと拡げている。
 ただ、ここで疑問がひとつ。デリカD:5にフィットするサイズが豊富に用意されているのはいいのだが、両者とも、いわゆるオールテレーンタイヤ。性能的には違いがあるのだろうか?今ひとつ、G015とX-ATの違いがはっきりしない、という方も多いかもしれない。
 そこで今回は、この2つの〝デリカD:5専用オールテレーンタイヤ〟、それぞれのキャラクターを見極めるべく、オンロードからオフロードまで、実走ドライブに出かけることとした。
 装着したのは、G015がLT245/64R17(アウトラインホワイトレター。純正サスペンションの場合、多少インナーフェンダーに干渉する可能性あり)、そしてX-ATがLT235/70R16(こちらも新たに設定されたアウトラインホワイトレター仕様)。ミニバン+SUVというマルチな存在のデリカによりフィットするのは、さてどちらのタイヤだろう?

GEOLANDAR A/T G015

スノーフレークマークで冬タイヤ規制もクリア

 本格マッドテレーンからシティ派SUVまで、幅広く対応するラインナップを誇るジオランダーだが、その最も中心的なキャラクターを持ち、オールラウンドな走りを求めるユーザーに好評なのが「ジオランダーA/T G015」だ。いわゆるスタンダードなオールテレーンモデルで、ラインナップも純正サイズからカスタムサイズまで、大充実。トレッドパターンもPCパターンとLTパターン、2つのタイプが用意されているのが特徴だ。
 ちなみに今回、デリカD:5にはLT245/65R17を装着。それ以外にもデリカD:5対応のサイズは豊富に揃っているので、愛車のカスタム状況によって選んでみてほしい。
 さらにG015で特筆しておきたいのは、スノーフレークマークが刻まれていること。これは欧州で冬用タイヤと認められている、という意味で、極めて厳しい寒冷地でも十分な性能を発揮できると認証されていることの証しだ。つまりG015はオールシーズンタイヤとして使用でき、高速道路の冬タイヤ規制もクリアできる。これはX-ATより秀でた点だろう。

高い耐摩耗性を備えながら、オンロード性能、オフロード性能、快適性能など、オールテレーンタイヤに求められるすべての性能をバランス。冬タイヤとしても注目だ。
純正サイズからカスタマイズサイズまで、豊富に揃うサイズラインナップが魅力。デリカD:5対応のアウトラインホワイトレター仕様も、他、225サイズなどで選べる。またトレッドもPCパターンとLTパターンを用意。LTパターンはアグレッシブなトレッド、角張ったショルダーなどが特徴だ。

GEOLANDAR X-AT

人気の235サイズに待望のホワイトレター仕様が登場

 オールテレーン、とは言っても、マッドテレーンのようなキャラクターも併せ持つ、エクストリーム・オールテレーンと位置づけられているのが「ジオランダーX-AT」だ。まるで本格マッドテレーンタイヤのような、アグレッシブなトレッドパターンやサイドブロックを採用しながら、オールテレーン並みの快適なオンロード性能をも確保しているのが、その最大の特徴だ。同じオールテレーンのG015と比べても、荒々しいルックスがX-ATのアピールポイントになるのは間違いないだろう。
 さらにタイヤの基本となるコンパウンドにはマッドテレーン系のものを採用し、高い耐摩耗性や耐カット性を確保。ショルダーのデザインが左右で異なり、好みの面を見せて履くことも可能だ。
 サイズラインナップはLT規格がメイン。つまり、本格4WDのカスタムにも対応したものが充実しているのだが、もちろんデリカD:5などに対応するLT235/70R16も設定。さらに今回、同サイズに片面アウトラインホワイトレター仕様も登場し、デリカD:5へのフィッティングを強調している。
ロングライフ性でも定評のある「ジオランダー」だが、X-ATはとくに耐摩耗性を重視。さらにマッドテレーンに近いプロフィールで、オフロード性能も強化されている。

ラグタイプデザイン

大型ブロックタイプデザイン

デリカに似合う性能、そしてルックス

LT規格を中心にしたサイズラインナップで、本格オフローダーから小型4WD、さらにはデリカD:5のようなSUVにも対応。LT235/70R16サイズにはブラックレターのほか、新たに片側アウトラインホワイトレター仕様も追加されファッション性もアップ。

走り方、走らせ方の違う2タイプのオールラウンダー

ジオランダーが誇る2つのオールテレーン。実際、乗り味やパフォーマンスはどう違うのだろう?X-ATはLT235/70R16、G015はLT245/65R17、いずれもアウトラインホワイトレターを2台のデリカD:5に装着し、実走してみよう。

 オンロードでは静粛性、当たりのソフトな乗り心地、そしてグリップ感といった、トータルな乗り味としてはG015の方が好ましい。X-ATはそれに比べると、粗いブロックと深い溝で少しバタバタした感じがあるが、しかし、それはあくまでG015と比較すると、という話し。基本的にはX-ATも十分、快適に走ることができるし、乗り心地も悪くない。しかも操縦性に関しても高いレベルだ。いずれにせよ、こうしたLT規格のタイヤは、本格4WDのようなフレーム付き車だとゴツゴツ感は気にならないもの。それがデリカD:5のようなモノコック車でも快適に乗れる、ということは、実はタイヤの完成度が高くないと、こうはいかないものなのだ。

 一方、オフロードのパフォーマンスについては、両者互角といったところ。河原のようなガレ場の乗り心地はG015のほうがしなやかで、路面からの突き上げをうまく吸収してくれる。X-ATは少し硬い感じだ。ただ少しスピードを上げたような走りでは、X-ATのグリップ感が上まわり、操縦性の高さが強調されてくる。
 またマッディな路面でのX-ATの強力なトラクションは、マッドテレーンタイヤと肩を並べるほど。G015は、LTパターンならショルダーのしっかり感がある。基本的に縦方向と横方向のグリップバランスがよく、路面に対し適度にスリップしながらトラクションを稼いでいくイメージだ。トータルな印象ではX-ATの方にオフロードイメージが強いが、冬道などをバランスさせた総合的な機能性ではG015、といったところだ。