2020年に続き、モータースポーツの国際大会の中止が相次ぐ中、海外ラリーを軸に活動してきたTEAM JAOSが7月2日~4日に開催された全日本ラリー第7戦「ARKラリーカムイ」にハイラックスで参戦!舞台は北海道、スノーリゾートとして知られるニセコを起点に2日間でSS総距離108.84㎞のグラベルコースで競うもので、オープンXCクラス(OP-XC)新設によって今回の参戦が実現した。OP‐XCはまだ細かい規定が設定されておらず、JAFが定める安全規格を満たしたナンバー付きクロスカントリー車両であればエントリー可能。そして、今大会にはTRDのハイラックスも参戦。
TEAM JAOSのハイラックスはアジアクロスカントリーラリー(AXCR)2019でクラス優勝を飾った豪州仕様の4.0ℓガソリンモデルだが、今後のラリーに向けてずっと改良を重ねてきた。しかし昨今の状況で出番はなく、この全日本戦が約2年ぶりの実戦投入となった。一方TRDはタイ仕様の2.8ℓディーゼルターボモデル。ピックアップトラックらしからぬ甲高いサウンドで駆けるTEAM JAOS、野太いサウンドを放つTRDの対照的なハイラックスの走りは、今季初の有観客・全日本ラリーとなった第7戦に訪れたファンを楽しませた。
長引くコロナ禍で数々のモータースポーツ活動が中止となっているが、海外を主戦場としてきたTEAM JAOSへの影響はとりわけ大きかった。そして、今回国内ラリーの最高峰である「全日本ラリー」にクロスカントリーモデルが参戦できる新クラスが新設されたことは、TEAM JAOSにとっては渡りに船。もちろん体制の規模やマシンの方向性に違いはあるものの、チームの活動を止めないという点において参戦の意義は大きい。また、海外では盛んなピックアップトラックが参加できるスピード競技が、国内のメジャーな舞台で新設されたことも実は大きなトピックだ。
「普通の乗用車に乗っている人が、数多くラリーを観戦しに来ているのは新鮮な光景でした。自分が同じクルマに乗っているとか自分も同じ競技をやっているからではなく、トップドライバーの走りを堪能するために家族連れも観戦しにくる。こういうカタチのレースも良いものですね」と楽しそう。確かに日本で根強い人気の野球もサッカーも、観戦する人が必ずしも競技経験者ではない。〝観て楽しむスポーツ〟として成立しており、結果競技人口を支えている。
そう、「ARKラリー・カムイ」で2台のハイラックスが魅せた全開の走りは観戦者にとって新鮮だったようだ。実際現地では好意的な声を多く耳にした。レギュレーションについては路面へのダメージを考慮し使用タイヤをATに限定するなど試行錯誤中だが、よりスピードに舵を切った新しいクロカンモデルの楽しみ方、観るスポーツとしてTEAM JAOSのハイラックスが叩いた〝新しい扉〟のこれからは実に興味深い。また、これまでクロカン競技で走り続けて来たユーザーにとっても全日本選手権という大きな舞台が用意されるのは、今後の起爆剤となる可能性を秘めているだろう。
次にOP‐XCクラスが設定されるのは9月11日に開幕するラリー北海道。国際格式で開催されるこちらも楽しみだ。
今まで経験のないカテゴリーでドライビングを進化させます‼
ハイラックスの可能性をもっと知って欲しい
今回、OP-XCクラスから出場しているもう1台のハイラックスはTRDから。マシンはタイ仕様2.8ℓディーゼルターボで、各所に専用のモディファイが施されたラリースペックだ。ドライバーは30年以上のキャリアの中でダートトライアルやラリーで多くのシリーズチャンピオンを獲得してきたベテラン平塚忠博選手。ピックアップトラックによるスピード競技の楽しさを日本のファンにもっと知ってもらいたいという想いをTRDと共有しての参戦となっている。
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