今なお色褪せない魅力を放つヤングクラシックメルセデスの代表格
今もなお根強い人気を誇り、べンツ好きではなくとも一度は乗ってみたいという声があるＷ１２４。そして長く乗り続けてきたオーナーであれば、Ｗ１２４に代わるクルマが見当たらず乗り換えることに躊躇してしまう。
それはなぜか。本誌の読者やファンにとっては知ったことかもしれないが、Ｗ１２４は「最善か無か」のスローガンを掲げコストを度外視したモノ作りに徹していた時代の最後のクルマ。そのため日本のみならず、今でも世界中にコアなファンが多い。 そのファンたちを魅了し続ける理由のひとつがシャシー性能の高さである。当時の設計思想のひとつとして「シャシーはエンジンよりも速く」という言葉がある。これが示すようにＷ１２４のボディ剛性は極めて高く、安全で快適なドライブフィールを生み出している。静粛性も高く路面に吸い付くようなその走りは、助手席に乗るだけでも素直にその心地よさを味わうことができる。すべての人に優しい味付けがなされているのが、Ｗ１２４というクルマなのである。この感覚は、乗った者でなければ決して味わうことのできない独特の奥深いフィーリングだ。
そしてもうひとつ付け加えるならＷ１２４は、長く乗り続けることを前提としたメンテナンスのための設計が随所に施されているということ。例えば、直角に立ち上がるボンネット。これによりエンジンの積み替えだけでなく、簡単なバッテリー交換やヒューズ交換においても無理に腰を曲げることなく簡易に交換が可能になる。また各所に適度な空間が設けられているため、メカニックの手や工具がアクセスしやすくなり部品交換の手間を助けてくれる。メンテナンスをしながらいつまでも長く乗れるクルマなのである。
ボディサイドに備わるサッコプレートとノーティカルブルーの組み合わせがクラシカルな雰囲気を高めている。
ファンの間で人気が高まっている前期モデル
今回取材したクルマは、１９９１年式３００Ｅの左ハンドル。外装色は希少なノーティカルブルーと内装は紺ファブリックの組み合わせである。搭載するエンジンは、直列６気筒・２９６０㏄・ＳＯＨＣエンジン。最大出力１８５馬力・最大トルク26・５㎏／ｍと決してハイスペックではないが、１４７０㎏の車重をコントロールするには十分なパワーである。
ＡＴが２速発進のため、まったり感はあるものの一度アクセルを踏み込めば、力強く滑らかな加速でスムーズに立ち上がる。このトルクで走る感覚が実にジェントルで無駄がない。それでいて狭い道や車庫入れでは、ステアリングの切れの良さには驚かされてしまう。市街地や山間地でソツなく実力を発揮しながら高速走行では、さらにその本領を発揮する。スピードが出れば出るほど車高が沈み込み、路面に張り付くようなフィーリングもＷ１２４ならではのフィーリングと言える。
今ではヤングクラシックの仲間入りを果たし、完全な趣味車となったＷ１２４。走行距離20万、30万㎞といったＷ１２４を見かけることも多くなったが、それはただの通過点に過ぎない。普段から定期的なメンテナンスが施されていれば、何の問題なく楽しむことができる。
一方でコアなファンが多いクルマだからこそ、走行距離が少ない中古車が市場に出回りやすいという事実もある。今回取材したノーティカルブルーの３００Ｅの走行距離は５・６万㎞。年式から考えればお宝とも言えるスペックである。人気の前期型でかつ希少なボディカラーなので、ぜひ実車を見に行ってほしい。
往年のメルセデスらしい重厚なフィーリングを持つSOHCの直6ユニット。整備は専門店であるアイディングできっちりと仕上げられる。
室内のコンディションも良く、剥がれやすいルーフライナーも良いコンディションをキープ。
W124の乗り味はしなやか足回りによって生み出される。フロントサスペンションはストラット式、リアサスペンションはマルチリンク式となっている。
走行10万km超えが当たり前になってきた現在、これだけのスペックのW124を探すのは簡単ではない。しかも専門店の整備が実施される。
U-CAR DATA 1991年式300E 価格：238万円
●検2年付き●走行5.6万km●ノーティカルブルー●AT●左ハンドル●ディーラー車●フル装備●紺ファブリックシート●運転席エアバッグ
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