AMG E55
5ℓのM119ユニットを積んで登場したのがE50。豪快な加速が楽しめるモデルである。
後期型で完成度を高めた
2代目EクラスのAMG
メルセデスの通例とは言え、エンジンを旧世代から引き継いで登場したW210。見た目があまりにも斬新だったために、突貫工事の印象がどうしても否めなかった。
そんな待望のニューユニットが搭載されたのは、98年モデルでのこと。メインユニットは「BMWに追い付いた」とまで言われた直列6気筒DOHCから、V6の、それもロッカーアームを介して3つのバルブを駆動するSOHCになった。タイミングをずらして点火することで燃焼効率を向上するツインプラグやエンジンそのものの大幅な軽量化など、燃費や環境性能こそ新時代を感じるものだった。
W210のAMGモデルとしてまず登場したのが、AMG E500。「丸目のベンツはつまらない」。そういう声を聞く度に、もったいないなぁと思う。確かに、重厚さという部分ではW124にかなわないし、W210で主流である3バルブSOHCエンジンは、実用トルク重視の快適仕様になっている。しかしメルセデス・ベンツはW210にも、あの500Eの後継と位置づけられるモデルをちゃんと用意していた。E50に5ℓのM110ユニットを積み込んで送り出したのだ。96.5×85ミリのボアとストロークこそ500E時代と変更はないものの、AMGの手によってバランス取りされスープアップされたV8は347psを発生。シャープな加速フィーリングと湧きあがるパワー感はノーマルの5000Eをはるかに凌ぐ。組み合わされる5速ATとのマッチングも、より俊敏な印象でスポーティだ。足回りこそ500Eと比較すれば貧弱な印象で心許ないが、なかなか豪快なキャラクターで運転するのが楽しいクルマである。
そして、AMG E55に積まれる113M55ユニットは、V8バージョンをベースに作られている。単純に想像するならば、排気量をアップしてパワーを稼いだだけ、E320とE430の違いを倍にしたようなもんでしょ、と考えてしまうかもしれない。しかしこのエンジンは、AMGのファクトリーで一台ずつ手作業によって組まれたもの。全ての工程を1人のマイスターが責任もって担当する。完成後にはベンチテスターに載せられ性能が確認され、初めて出荷が許可される。もちろんピストンもクランクシャフトも、当然ながらカムシャフトもAMGの専用品なのである。
W210のE55に初めて乗ると、ほとんどの人は想像以上の楽しさに思わず笑顔になってしまう。乗る前の期待値があまり大きくない、と言ってしまえばそれまでだが、E430やE320から想像するフィーリングとは、まるで別物なのだ。
スタートからアクセルを大きく踏み込めば、溢れんばかりのトルクがグワッと盛り上がり、小さくはないボディを軽々と押し出す。ESPを切ってしまえば265サイズの極太リアタイヤですらスキール音をあげてしまうほどの力強さ。さらに踏み込んでレッドゾーン手前でシフトアップされるまでキッチリと回してみても、回転フィールに安っぽさは感じられない。さすがAMGの手によってじっくりと煮詰められている印象だ。素材を選ばないチューニングの匠の技が光っている。
それでいて、普通に流している分にはまったくもってW210。日常生活レベルでは、E320アバンギャルドと何も変わらない快適さだ。W210というクルマの個性を極限まで磨いた最上級の存在として付き合うことができる。
あえて挙げるとすれば、専用品である高価なブレーキの消耗がちょっと気になるくらい。これだけ肩の力を抜いて普通に付き合えるコンプリートカーも、ちょっと他にないと思うのだ。
そんな待望のニューユニットが搭載されたのは、98年モデルでのこと。メインユニットは「BMWに追い付いた」とまで言われた直列6気筒DOHCから、V6の、それもロッカーアームを介して3つのバルブを駆動するSOHCになった。タイミングをずらして点火することで燃焼効率を向上するツインプラグやエンジンそのものの大幅な軽量化など、燃費や環境性能こそ新時代を感じるものだった。
W210のAMGモデルとしてまず登場したのが、AMG E500。「丸目のベンツはつまらない」。そういう声を聞く度に、もったいないなぁと思う。確かに、重厚さという部分ではW124にかなわないし、W210で主流である3バルブSOHCエンジンは、実用トルク重視の快適仕様になっている。しかしメルセデス・ベンツはW210にも、あの500Eの後継と位置づけられるモデルをちゃんと用意していた。E50に5ℓのM110ユニットを積み込んで送り出したのだ。96.5×85ミリのボアとストロークこそ500E時代と変更はないものの、AMGの手によってバランス取りされスープアップされたV8は347psを発生。シャープな加速フィーリングと湧きあがるパワー感はノーマルの5000Eをはるかに凌ぐ。組み合わされる5速ATとのマッチングも、より俊敏な印象でスポーティだ。足回りこそ500Eと比較すれば貧弱な印象で心許ないが、なかなか豪快なキャラクターで運転するのが楽しいクルマである。
そして、AMG E55に積まれる113M55ユニットは、V8バージョンをベースに作られている。単純に想像するならば、排気量をアップしてパワーを稼いだだけ、E320とE430の違いを倍にしたようなもんでしょ、と考えてしまうかもしれない。しかしこのエンジンは、AMGのファクトリーで一台ずつ手作業によって組まれたもの。全ての工程を1人のマイスターが責任もって担当する。完成後にはベンチテスターに載せられ性能が確認され、初めて出荷が許可される。もちろんピストンもクランクシャフトも、当然ながらカムシャフトもAMGの専用品なのである。
W210のE55に初めて乗ると、ほとんどの人は想像以上の楽しさに思わず笑顔になってしまう。乗る前の期待値があまり大きくない、と言ってしまえばそれまでだが、E430やE320から想像するフィーリングとは、まるで別物なのだ。
スタートからアクセルを大きく踏み込めば、溢れんばかりのトルクがグワッと盛り上がり、小さくはないボディを軽々と押し出す。ESPを切ってしまえば265サイズの極太リアタイヤですらスキール音をあげてしまうほどの力強さ。さらに踏み込んでレッドゾーン手前でシフトアップされるまでキッチリと回してみても、回転フィールに安っぽさは感じられない。さすがAMGの手によってじっくりと煮詰められている印象だ。素材を選ばないチューニングの匠の技が光っている。
それでいて、普通に流している分にはまったくもってW210。日常生活レベルでは、E320アバンギャルドと何も変わらない快適さだ。W210というクルマの個性を極限まで磨いた最上級の存在として付き合うことができる。
あえて挙げるとすれば、専用品である高価なブレーキの消耗がちょっと気になるくらい。これだけ肩の力を抜いて普通に付き合えるコンプリートカーも、ちょっと他にないと思うのだ。
98年の登場当初はE50のスタイリングから変更なく生産されたE55だったが、2000年のマイナーチェンジに合わせて各部をリファインした。立体感を増したエアロパーツ類が特徴だ。この後期型のルックスが、E55のオリジナルスタイルと言ってもいいだろう。
搭載されるエンジンはSOHC3バルブのV8をベースとしながらも独自のピストンを持つ完全なAMGの専用ユニットとなり、差別化がされている。Sクラスを始め、SL、CL、M、Gなどにも積まれたこの55ユニットは、AMGのファクトリーで完全手作業で組まれている。
インテリアの変更点はメーターパネルやステアリング、シフトノブなどが専用品。灰皿部分のフタにもAMGのロゴが入っている。左ハンドル仕様のみとなる。
シートデザインはパンチングレザーを使用したコンビタイプのシートもオプション設定された。