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3シリーズ BMW E46 M3

2022.02.08

【走りの本能を刺激するスペシャルカーの世界 Vol.06/BMW M3 (E46)】BMWの総力を注入した最強のストレートシックス

E36型M3の後を受け、2001年に登場したのがE46型M3。M3Cの3.2ℓエンジンを細部まで見直し、さらなる高性能化が図られた究極のストレート6を搭載する。スポーツクーペとしての高級感に磨きがかかったのも見逃せない。

 

BMW M3 (E46)

LEDテールを装備するなど、やや控えめながら随所に変更が加えられているE46M3のスタイリング。所有する満足感も高いだろう。
 

その緻密な回転フィールは
高級機械式時計の如く

 量産車という制限の中で極限までチューニングされたパワーユニットを搭載する2ドアスポーツ。これこそE46M3の最大の美点と言える。これより速いクルマはいくらでもある。これよりスムーズなエンジンフィールを誇るエンジンだって、数え上げれば相当にある。
 E46クーペをベースとする、という制約もあって、M3は極めて高度な領域にまで開発のレベルを引き上げた。だからこそ、これだけのマシンができ上がったのだ。
 それはクオリティを追求する一方で、性能向上のために犠牲にした部分も全くないわけではなかった。
 それゆえ、エンジンは直列6気筒としては回転フィール自体はそれほど滑らかなものではない。E36M3の方がスムーズネスという点では、ワンランク上だ。それでもE46M3のエンジンフィールには独特の魅力がある。それは非常に緻密さを感じさせるということだ。まるで燃焼の1回1回を伝えるかのように、S54B32ユニットの回転フィールには微細な振動が存在する。絹のような滑らかさはない代わりに、高級機械式時計の秒針の如く、一瞬一瞬を刻み込むかのように微細な感触を伝えてくる。それが何とも心地良く、ドライビングする者を高揚させるのだ。
 BMWは、独自に最適なマグネシウム合金まで開発してシリンダーブロックの軽量化に努める一方で、このM3にだけは最後まで鋳鉄ブロックを使い続けた。量産車といっても生産台数が少ないから、コストの点で新しいブロックを開発できないのではない。8200回転まで使い切るようなハードな走り方をしても耐え得るよう、熱膨張が少なく強度も高い鋳鉄ブロックを採用しているのである。そんなことでも、このS54B32ユニットが特別なエンジンだということが分かるだろう。
 M社はE36M3から搭載されたS50系ユニットの限界に挑んだのだ。例えば日本屈指の排気系メーカーをしても「あれ以上のモノはちょっとできない」と言わしめたEXマニホールド。そこにはF1で磨き上げたテクノロジーが注ぎ込まれているのだから、当然と言えば当然だが、量産車でそんなレベルを達成しているのは、このM3とM5/M6くらいのものだ。
 その排気系からは低回転域では乾いた低音が響くが、4000rpmからは割れた高音を奏で始める。そして5000から8000rpmの間は、本当にパワフルでエキサイティングだ。M3とて厳しい排ガス規制をクリアしなければならないから、いかにも空燃比の薄そうな、トルク感のやや薄い感触は仕方のないところだろう。
 そんなレーシングテイストを感じさせる一方で、ストリートにおける高級クーペとしての価値も高めている。インテリアは、高級車としても通じる趣を感じさせる。エンジンと足回りを熟成し、速さに磨きをかけるだけでなく、今日のレベルで高級感とスポーティさを両立しているのがE46M3の凄いところだ。
 セミATのSMGもこのE46M3で第二世代となり、変速のスムーズさとスピード、信頼性が格段に向上した。それでもストリートスピードでスムーズなシフトアップを実現するには、シフト時に微妙なアクセルワークが要求される(かえってMTより難しい)のだが、このSMGⅡによってM3はスポーツドライビングをより身近なものにした。それだけでなく、極めて上質で高性能なクーペを日常の足としたいユーザーの希望をかなえたのだ。しかもM3CSLを見れば分かるように、極限的な速さを求める人にも満足できる2ペダルMTの先進的なマシンになった。熟成極まった感のあるクルマだけに、販売終了間際まで高い人気を誇ったのも当然のことだ。

ダブルVANOSを採用する、3.2ℓ直6エンジン。これ以降、V8になることから、これが最後にして最強のストレート6になるかもしれない。
専用のMマルチファンクションステアリングホイールを配したインパネ回り。スペシャル感あるフィールを味わえる。ミッションは6MTとSMGⅡの2類。SMGⅡはパドルシフト付きで、初期型に比べて信頼性も大幅に向上している。

取材車のドライバーズシートにはレカロが装着されており、ペダルもACシュニッツァー。こうした貴重な社外パーツが付いていることも中古車の魅力だといえる。
アルミホイールもキレイな状態を保っている。前オーナーが大切に扱ってきた証ともいえる。
 

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BMW専門店で見つけた
程度良好なE46型M3

初代のE30型や2代目E36型M3の中古車は激減している。そういった背景もあって中古車相場は希少価値により高値に推移している。とくに初代のE30型は値上がりを続けており、現実的に狙えるM3ではなくなってしまった。そこで狙い目となるのがE46型。Mシリーズとはいえ、E30やE36に比べると流通しており、価格も現実的な予算で買える。