【メカニックA氏の証言】
基本的な消耗品は
購入後に交換する前提
機関面のコンディションが良さそうでも
インテリアがダメなクルマは選ばない
「エンジンルームがキレイに清掃されていて、オイルなどを使ってピカピカのクルマを見かけることがあります。確かに見た目はキレイで良いのですが、やはり素の状態のエンジンルームを見たいですね。オイル漏れや水漏れの痕跡までキレイにされてしまうと現状を把握することができませんから、汚いくらいがいいんじゃないかって思うくらいです(笑)。知り合いの中古車販売店では、全く清掃しないで現状を見てもらうことを重視しているそうです。
僕らはプロなので、エンジン回りを見ればどこに手が入っているかは分かります。でも多走行車であれば、ある程度の消耗品は交換する前提。例えば、タペットカバーパッキンからオイル漏れがあってもあまり気にしません。ベルト回りもそうかな。それにセンサー類の状態は見るだけでは分からないですからね。
ただし、修理する時に費用がかかる部分ってありますよね。例えば、オイル漏れでもヘッドガスケットが抜けてそうだったり、エアコンの調子が悪かったり、試乗が可能ならATの変速が明らかにおかしかったり、下回りからカラカラという異音がして触媒がやばそうだなというクルマは避けますね。
あと、よく言われることですが内装のコンディションは重視します。修理に入ってくるクルマでもそうなんですけど、内外装をキレイにしているクルマは総じてコンディションが良い傾向があります。基準は人それぞれだと思いますが、これは自分の経験でもあるので自信を持っていますね。だから、たとえ機関面のコンディションが良さそうでも、内装がダメなクルマは買いません。直すにしても内装は高価なパーツが多いですから。
お客さんに自分で直せるからいいよね、って言われることもあるんですが、仕事以外で面倒な修理はあまりしたくないんですよね(笑)。例えば、エアコンの修理は大変なので壊れているクルマは選びません。誰かがやってくれるならいいですけど、それをスタッフに頼むわけにはいかないですから。
ユーザーさんにアドバイスするとしたら、これまでの整備履歴が残っているかどうかと、構造を知った上で車種を選ぶということですね。維持においてSクラスやSLクラスは、CクラスやEクラスのようにはいかないですから。新車価格に大きな差があることを考えて、モデル選びをすることが大事だと思います」
多走行車を選ぶならココを見る!
●素の状態のエンジンルームを確認
●インテリアのコンディション
●エアコンとATの状態
素のエンジンルームとはクリーニングされる前の状態のことだそうで、オイル漏れなど現状が把握できないクルマは選ばないという。また、機関面のコンディションが良さそうでも、内装の状態が悪いクルマは避けるそうだ。
メカニックの多走行車選び
劣化が見られても気にしないポイントと
その理由
●オイル漏れ→理由:重篤なオイル漏れ以外は気にしない
●ベルト回り→理由:購入後に交換するから
●センサー類→理由:見た目では判断できないから
●ヘッドライトレンズ→理由:黄ばみは嫌だが、ケミカルなどで対処
●ボディ→理由:多走行車なので多少のキズは仕方がない
自分で直せるメカニックらしいポイントだと言えるが、消耗品は交換する前提というところが参考になると思う。多走行車は一般的な中古車よりも安く買えるし、ある程度のメンテナンスはされているはず。そう考えると、購入後の追加メンテで多少の費用がかかったとしても間違いなくコンディションは良くなる。
【メカニックB氏の証言】
オイル漏れの有無よりも
ATの状態を重視する
重整備に繋がりそうな劣化をチェック
定番ポイントはそれほど気にしない
「メカニックという立場で自分のクルマを選ぶなら、消耗品の劣化はあまり気にしないですね。自分で直せるということを省いても、多走行であれば仕方がない部分もあります。
例えばエンジン回りのオイル漏れでは、タペットカバーパッキンやオイルフィルターハウジングのガスケットなどは経年劣化していく部分なので、そこからオイル漏れがあってもあまり気にしません。所有していれば、いずれはやらなければいけないメンテナンスなので、それをいつやるかというだけ。個人的には納車前の整備できっちりと交換します。
重点的に見るポイントとしてはATですね。多走行車の場合、一番気になるところなのでDレンジに入れた時のショックやタイムラグなどを確認します。試乗が可能なら、シフトタイミングもチェックしておきたいですね。いつオーバーホールしたのかなど整備履歴が残っていればいいですが、それが分からない場合はATの状態は重視します。あと、エンジンや足回りからの異音、振動も試乗時には必ず確認しますね。ただ、多走行車の場合はブッシュなどが劣化していることはよくあるケースなので、明らかにおかしい音が出ていなければそれほど気にしません。
逆に足回りの状態が良ければ、それは前オーナーがメンテナンスに気を配っていた証拠と言えるかもしれません。足回りは機関部のメンテナンスよりも後回しにされるケースが多いですから、これも一つの判断基準になりますね。
触媒は壊れると高くつく部分なので、アイドリングや試乗中に下回りから「カラカラ……」という異音がないかをチェック。交換履歴があるクルマなら安心ですね。
モデル選びとしては、付加価値としての装備類が少なく、シンプルなクルマの方が維持はラクです。メルセデスの上級クラスのエアサスペンションやABC(アクティブ・ボディ・コントロール)は経年劣化により交換や修理が必ず必要になり、費用もそれなりに高いです。上級クラスに憧れはありますが、Cクラスだっていいクルマなんですよ。高速走行における抜群の安定感は日本車にはないアドバンテージだし、インテリアの質感も高い。当店でもCクラスに乗っているユーザーさんは多いですよ。
結論としては、重整備に繋がりそうなところを重視してチェックするといったところでしょうか。定番のウィークポイントについては、いずれやってくるメンテナンスと捉えていますね」
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●ATのシフトタイミングやショックの有無
●触媒からの異音
●試乗が可能なら走行中の異音や振動
多走行車の場合、重整備に繋がりそうな部分を重点的にチェックするのが落合氏の選び方。ATや触媒などは修理すると費用がかかる代表的なポイントだ。試乗が可能ならエンジンや足回りからの異音、振動を確認するとのこと。
メカニックの多走行車選び
劣化が見られても気にしないポイントと
その理由
●オイル漏れ→理由:定番ポイントであれば気にしない
●タイヤ→理由:購入時に好みのタイヤに交換
●水漏れ→理由:どこから漏れているかによる。重篤なものはNG
●足回り→理由:多走行車なので多少の劣化は仕方がない
●ボディ→理由:外装のコンディションよりも内装と機関面を重視
基本的な消耗品の劣化についてはあまり気にしないという落合氏。ただし、オイル漏れや水漏れにしてもどこから漏れているかが重要で、重整備に繋がりそうな劣化が見られるクルマは避けるとのこと。多走行車であれば足回りの劣化は仕方がないという判断で、購入後にメンテするという前提で選ぶそうだ。
エンジンや足回りなどから異音が出ていないかを確認。自分でも直せるが、重点的に見る。
メカニックに聞いた
多走行車「俺なら」チョイス!
メルセデスを得意とする2人のメカニックに多走行車選びのキモを聞いたが、「もし自分で多走行車を買うなら?」 ということでそれぞれに1台選んでもらうと、なんと意外な結果に。
2人のメカニックが選んだクルマは
奇しくも同じだった!
ここで登場してもらった2人のメカニックに、多走行車を自分で買うならどんなクルマを選ぶのかを聞いてみると、偶然にも同じだったのだ。W211タイプのE350アバンギャルドは、後期型で完成度が高まったモデル。中古車としての流通量が多く割安になってきていること、エンジンの信頼性が高く大きなトラブルがないというのがその理由だそうだ。足回りのボールジョイントやブッシュが弱い傾向にあるので多走行車はチェックしておく必要があるが、それ以外で気になる点はないという。2人のメカニックが選んだW211は、注目の一台だと言えそうだ。