強靭なボディが生み出す剛性感は
往年のメルセデスらしさに溢れている
W124は83年に登場した190Eと極めて近い構造とスタイリングに生まれ変わったミドルレンジのモデル。Eクラスと呼ばれるようになったのは94年のマイナーチェンジ以降だ。当初はSOHCの直列エンジンのみを搭載していたが、V8を積んだ500Eの登場を皮切りに、93年からは全エンジンをDOHC化、制御方法も大幅に進化している。最大の特長はマルチリンク式のリアサスペンションで、これによって深い乗り心地と確実なハンドリングを身に付けている。頑丈に作られたボディが生み出す剛性感も、多くのファンを魅了する理由の一つだ。
W124は最終モデルでも19年落ち。根強い人気を誇る名車だけに、屋内で大切に保管されてメンテナンスもきっちりされてきた低走行のお宝W124に出会うこともあるが、一般的なコンディションの中古車においては走行距離だけでその価値は図れない。例えば、走行2万㎞のW124があったとしても、メンテナンスされていないクルマだったらその後の維持は大変だ。セミレストア覚悟で選ぶならいいが、少しずつ手入れしながら乗るというスタンスでは厳しいチョイスになる。だからこそ、前オーナーが大切に乗ってきて定期的にメンテナンスされてきたクルマを選ぶことが重要になるわけだ。
これからW124を手に入れて長く乗るなら、94年以降の後期型でエンジンは直6DOHCを積んだE320かE280がお勧め。M104と呼ばれる直6エンジンは電子制御されているとはいえ、現代のエンジンに比べればシンプルな構造。高価なコンピュータに何かあっても中古品を使えたり、単体で修理できたりとメンテナンスの手法も確立されている。さらにV8エンジンに比べて熱による害も少ない。
根強い人気を持つクルマだけに中古車はそれなりに流通している。走行距離が多いと若干安くなるものの、それだけでは判断できないのでこれまでの整備履歴と現状のコンディションを重視して選ぶようにしたい。ワゴンは人気が高くセダンよりも高めの相場。500E/E500は手間がかかるが、クルマ趣味を極めるなら最高の素材だ。
Mercedes-Benz メルセデス・ベンツ
初代型Eクラス(W124)
●全体の中古車相場:30~120万円(500E/E500除く)
●多走行車の中古車相場:30~70万円
●平均走行距離:7万km(E320)
( すべて2014年当時 )
■お勧めグレードは?
後期型の直6モデル(E280/E320)
主な小変更
●生産期間:1985~1995年
●1994年~後期型
●89年、足回りを改良しアルミホイールを標準装備。●90年、マイナーチェンジ。ボディサイドの樹脂パネルを採用。シートの形状も変更される。●92年、V8を積んだ500Eを追加発売。●93年、400Eをラインナップに追加。また直列エンジンの排気量を変更しDOHC化。●94年、ボンネットやトランクリッドなどのデザインを変更し、左右両席のエアバッグを標準装備する。( すべて2014年当時 )
Specifications
1994年式 E320
●全長×全幅×全高:4740×1740×1445㎜ ●ホイールベース:2800㎜ ●トレッド(前)/トレッド(後):1505/1500㎜ ●車両重量:1560kg ●エンジン方式:直6DOHC ●総排気量:3199㏄ ●最高出力:225ps/5500rpm ●最大トルク:32.3㎏-m/3750rp ●トランスミッション:機械式4速AT