日に日に増していった
憧れのAMGへの想い
まさに夢を叶えたと言っても過言ではない、W124世代AMGの2台所有。しかも、クーペとワゴンという組み合わせもいい。走りを楽しむためのクーペ、実用性の高いワゴン、自分の気分や用途に合わせてチョイスできるのはとても魅力的だ。
そんなスペシャルなクルマに囲まれるカーライフを送っているのが、三河さん。お父様が大のメルセデスファンでW123を10年、W124を15年ほど所有しており、常に身近な存在としてメルセデスとともに歩んできたという。
そんな時に出会ったのが、クーペの300CE3.4リミテッドだった。
「はじめはノーマルの124で良いので、一度乗ってみたいと思っていましたが、どうしてもAMGへの興味が増してきたのです。まずE36Tから探しましたが、到底見つからない。そんな時に横浜のアイディングさんでジャパン物のクーぺと出会い購入することに。E36Tは、偶然ガレージカレントさんで見つけ購入しました。2台所有に至ったのも、どうせならできるうちに乗りたいものに乗ろう。自分のクルマ人生の中で90年代AMGを2台所有した歴史も刻みたい。そんな思いで決意しました。メンテナンスのことは後から悩もうと。事実、どちらのお店も対応してくれるので安心です」
クルマ好きとしての熱い想いが後押しして叶えた夢の2台体制。AMGのメカニカルチューンが施されたエンジンに心底惚れ込んでいる三河さんであった。
チューナー時代のAMGによる絶品のメカニカルチューン
1992y AMG 300CE 3.4 Limited Edition
無理なく楽しめるメカニズムが魅力
エアロとブラックアウトで武装した
ナローボディ
独立チューナー時代のAMGを愛好する人にとって、その出で立ちはクルマを選ぶ上での重要なファクターに違いない。外観は限りなくノーマルに近い、いわゆる「羊の皮を被った狼」的なチューニングカーを好む人もいるが、AMGフリークであればヒグマの皮くらい被せたいところではないだろうか。「力強さこそカッコ良さだろう!」というシンプルな発想と魅力に溢れている。300CE3.4クーペといえばリアフェンダーが大きく張り出したワイドバージョンのインパクトが強すぎるため印象に残りやすいのだが、ここで紹介するのは通常のボディ。とはいえ、フロント、サイド、リアにエアロパーツを装着し、グリルやその上に誇らしげに備わるスリーポインテッドスターもブラックアウトされ、ノーマルとは全く違う特別な印象となっている。300CEのワイドバージョンは完全な叩き出しによるボディメイク。手仕事による加工という贅沢な手法は、少量生産のハウスチューナーだったからこそ可能であった。ちなみに、ワイドバージョンを選ぶと320万円の価格アップだった。
エアロとブラックで武装したエクステリアからは当時の荒々しいAMGの強さを感じるが、搭載されているのは直6のファインチューニング版なのである。当然AMGによるメカチューンの効果は絶大で、快音と共に吹け上がる直6のフィーリングはたまらない。トルクで引っ張るV8ユニットとは全く違うフィーリングだが、維持の面においては有利となるケースが多い。同世代のW124のような感覚で維持できる希少なAMGだと言えるだろう。
主要諸元
●全長×全幅×全高:4670mm×1840mm×1370mm ●ホイールベース2715mm●トレッド前/後:1525mm/1540mm ●車両重量:1610kg ●エンジン方式:直6DOHC ●総排気量:3314cc ●ボア×ストローク:91.5mm×84.0mm ●最高出力:272ps/6500rpm ●最大トルク:34.1kg-m/4500rpm
1995y AMG E36T
ヤングクラシック世代の希少なAMGワゴン
カッコよくて維持しやすい
人気のAMGワゴン
メルセデスのミドルサイズでは、ワゴンの人気が非常に高い。ただ面白いのは、かつてのボルボエステートのように新車からしてワゴンばかりが売れるというわけではなく、シェアとして見ると15%にも満たないのだ。700万円クラスの予算を用意できる層にとっては、やはり落ち着いたセダンこそ王道なのだろう。ところが中古車となると人気は逆転する。ユーザー層が若くなるのも理由の一つだろうが、少ないワゴンを取り合うような状況となるのだ。
AMGにおいてもまったく同様で、デビューとなるS124の前期モデルからM103ユニットを3.2ℓに拡大した230TE/300TE3.2が販売されてはいたものの、とにかく数が少なく希少な存在。売り物などほとんど出回らず、エアロパーツを組んだ「仕様」の人気が高かった。そして94年のマイナーチェンジによって誕生したのが、ここで紹介するE320T3.6である。
エンジンはM104型の直6DOHCニットをC36と同様のAMG製とし、足回りにもリアの調整式ショックも含めて専用パーツを採用、さらにエアロパーツを組んだコンプリートだ。ワイド仕様のような派手さがあるわけでも、圧倒的な高性能というわけでもない。ところが、頂点と言えるW124・E60にも迫るほどの人気があるモデルだ。
AMGコンプリートではあっても普段の足として普通に乗れて、見た目も文句なしにカッコイイ。維持やメンテナンスにおいてもそれほど難しくないから、現実的なチョイスとして考えるとこのクルマの人気が高いのは納得できる。
主要諸元
●全長×全幅×全高:4780mm×1770mm×1465mm ●ホイールベース2800mm●トレッド前/後:1505mm/1510mm ●車両重量:1720kg ●エンジン方式:直6DOHC ●総排気量:3605cc ●ボア×ストローク:91.0mm×92.4mm ●最高出力:271ps/5750rpm ●最大トルク:39.2kg-m/3750pm