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Eクラス W124

2021.06.04

CROCO CARSで発見した 憧れのヤングクラシック 名車メルセデス・ベンツW124・500Eの現在

未だ多くのファンを魅了するメルセデス・ベンツW124シリーズの中でも、そのトップに君臨する500Eの人気はやはり別格だ。ここでは愛知県名古屋市にあるクロコカーズで発見した500Eを見ながら、現在のヤングクラシック事情を解説していこう。

 

プロショップに聞いたヤングクラシックの今

90年代のメルセデスを愛好するクルマ好きは多い

 2017年に創業しその歴史はまだ4年だが、着実にファンを増やしている名古屋のクロコカーズ。国産車も取り扱うが輸入車、特にメルセデス・ベンツに関しては豊富な経験とノウハウを持っており、専門店と言っても差し支えない。
 代表の鰐部さんは中学1年生の時点で既に「将来は自動車専門店を営みたい!」と決意。25歳で開業すると早々に目標を定め、自動車整備士の資格が取れる高校へ進学。卒業後はベンツ正規ディーラーのシュテルンでメカニックとしての経験を積み、その後輸入車専門店を経た後にクロコカーズをオープンさせたというわけだ。
 そんな鰐部さんに最近のネオクラシックメルセデスの事情を伺ってみると「メルセデスの最大の魅力は、やはり安全性に尽きますね。言い方は悪いかもしれませんが、お金で命が助かるなら安いもの! と考えるオーナーさんは多いです。ですが、コストを度外視して乗員の安全性を第一に考えて作られていたのは90年代までのモデルで、最近のメルセデスは便利な家電製品に近いかもしれません。ABSやエアバッグなど、様々な安全装備を開発しつつ、2000点以上の特許を無償で公開しており、そこまでのモデルがベンツ! と断言する方も非常に多いです。もちろん最新モデルの方が移動手段としては便利なので、ネオクラシックを所有する方のほとんどはセカンドカーとして所有しており、中にはコレクター的な感覚の方もいらっしゃいます。ただ、所有するには当然それなりの覚悟も必要で、自動車税は増税され補修パーツも年々値上がりしており、近年のクルマのような感覚では維持できないのも事実ですね」と語る。

シンプルながら実用性を重視したデザイン。ネオクラシックモデルだが、エアコン、パワステなど快適装備は揃っているから趣味と実用を両立できる。

機械式4速ATだが、そのダイレクトなフィーリングは今のクルマでは決して味わえないもので多くのメルセデスファンを魅了している。レザーシートも良好なコンディションをキープしている。

まさに「羊の皮を被った狼」
驚くほど良好なコンディション

 さて、そんな90年代のネオクラシックメルセデスの中から、今回ピックアップするのは93年式の500E。その出自を今更解説するのもはばかられるが、ミドルクラスセダンでドイツ本国ではタクシーとして数多く使われているモデルに、R129の500SLのエンジンやサスペンションを移植した、言うなればメーカー自ら作り出したチューニングモデル。もちろんフロアなどボディ剛性は格段に強化されており、ボディもオーバーフェンダーをただ追加するようなその場凌ぎでなく、専用フェンダーを採用し、本気のワイドボディを採用する。しかもその設計、製造は販売不振に陥っていたポルシェに依頼。この500Eがキッカケとなりポルシェの業績はV時回復したと言われるが、販売台数は全世界で意外なほど少なく、だからこそ今でも多くの人が憧れるモデルなのかもしれない。
 鰐部さんも「当時のキャッチコピーは『最善か、無か』でしたが、まさにそれを具現化したようなクルマですね。5ℓのパワー&トルクはもちろんですが、それを確実に路面へと伝えるよう、サスペンションとボディを専用に設計。クルマ全体のバランスを考慮しているところが素晴らしいですね。もちろんメルセデスらしい質感は保たれており、乗り味も上質。とはいえ、製造から30年近く経過した車両なので、コンディションの良好な個体を探すのはなかなか時間が掛かりますね。
 現在では走行距離もそれなりに延びた個体ばかりで、この500Eもオドメーターは約13万㎞となっていますが、1年間の平均で計算すると5000㎞。ほとんど動かしてないに等しいです、またメルセデスとしても20〜30万㎞という走行距離は問題なくクルマが持つように作られているので、メンテナンスさえしっかり施し、可能な限り良好なコンディションを維持すれば、まだまだ乗り続けられます。
 ただ考え方は色々だと思うんですが、個人的には何が何でもオリジナルが良いとは思っていません。特に500Eはオーバーヒートしやすく、またブレーキも少々プアーな感じは否めないです。なので、電動ファンの追加やブレーキの強化はオススメしたいメニューですね。これからネオクラシックに乗りたい人はもちろん、末長く楽しみたい人は是非ご相談下さい」とも話してくれた。
 元ディーラーメカニックでもある鰐部さんの言葉には重みがあり、これまで豊富な経験が生かされている。そんなクロコカーズはまさに信頼に足るお店だと言えるだろう。

ボンネットを開くと車格に似合わず巨大なM119エンジンを搭載。走行距離は13万kmほどだが、実は各部の補器類もしっかりメンテ済み。ラジエターホースやリザーバータンクも交換され、可能な限り新車時の性能を維持。足回りにも手が入っている。
500Eの外観上の特徴といえば、やはりワイド化されたフェンダー。
最善を考慮した結果、と言えるだろう。
今では小さく見えるが、当時の最高水準を鑑み、前後タイヤは245/55R16を装着。飛ばすよりもクルーズの方が似合う。
 

車両の購入から整備やレストアまで

全てをカバーする CROCO CARS

クロコカーズ

1F部分はピット兼展示場で、ネオクラシックメルセデスを多数在庫中。

クロコカーズは認証工場で、しかも鈑金設備もあるので、長年連れ添った愛車をフルレストアすることも可能だ。

店舗の2F部分には商談スペースも設置。落ち着いた雰囲気で、カスタムやメンテナンスのプランを、納得行くまで鰐部さんと相談できる。
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所在地:愛知県名古屋市瑞穂区明前町13-28
電話:052-883-8965
営業時間:9:00〜19 :00
定休日:月曜日