E46はきっちりとメンテナンスされた物件が多い傾向にある
相変わらずＥ90とＥ46は根強い人気を誇っている。少し前までは、激安価格なＥ46に対し、Ｅ90はそれなりの相場だったが、昨今のＥ90の値落ちにより価格差はずいぶん小さくなった。そのため、Ｅ46とＥ90は購入時の比較対象となったワケだが、では「どちらを買うべき」なのかを、ＢＭＷのスペシャルショップ「つたえファクトリー」とともにジャーマンカーズ的に検証していきたい。
「両車は購買層が違うんです」とは、同店の宍戸貞輝店長。なんでも、輸入車入門、初めてのＢＭＷをという向きはＥ90を選び、昔ながらのＢＭＷをと考える少しマニアックな層がＥ46をチョイスするのだそう。「Ｅ90はランフラットタイヤの標準装着もあって、足回りが少し柔らかめなんですよ。ランフラットが硬いぶん、サスペンションで乗り心地を良くしようとしてるんだと思いますね。だから、ＢＭＷらしいシャープなハンドリングを求める人はＥ46を……となるわけです。ただ、スタイリングがややクラシカルなんで、輸入車が欲しい！ ＢＭＷに乗りたい！ という方は、現代的なデザインのＥ90を選ばれます。サイズもひと回り大きくなって、後席も広くなりましたからね」とのこと。
やはり新しい分Ｅ90の方が信頼性が高く、それも輸入車入門に選ばれる理由なのだろうか？
「それが一概にそうとも言えないんです。今マーケットに残ってるＥ46って、もう二度三度と消耗品を交換してきてる、つまりちゃんとメンテの手が入ってる物件が多いんです。そういうこともあって、最近は少し中古車価格も上がってきてるんではないでしょうか。一方のＥ90は乗りっぱなしの物件も少なくなくて、仕入れをする際には気を使います。ちゃんと手の入った物件を探して、納得いくレベルまで仕上げると、実はそんなに安くない、と。中古車サイトで安い順に表示すると驚くほど激安な物件がズラっと出てきますが……」と、激安物件に目を奪われがちな中古車サイトのありように警鐘を鳴らす。
Ｅ46の物件に良質なものが多いのには、他にも理由があるという。
「メーカーの保証でサービスフリーウェイってあるじゃないですか。あれＥ46が出たころに始まったんですが、当時はどこまで保証するかの線引きが曖昧で、ちょっと怪しいかなってレベルでバンバン部品を交換しちゃってたんですよ（笑）。でもそれじゃ採算が取れないってことで、Ｅ90のころには厳しめになってしまった」と笑い話を交えて話すが、ディーラー出身者が多数在籍する同店だけに、その信憑性は高い。
では、Ｅ90はダメなのかと言うと、「基本的な機械はＥ46後期と共通、あるいは正常進化の部分が多いので、信頼性自体は上がってます。Ｅ46で多かったパワステポンプからのオイル漏れなんて、ずいぶんなくなりましたし。オプションのアクティブステアリングはちょっとトラブルもありましたが、リペアキットがメーカーから出てるんで、アッセンブリー交換とかで高額になる心配はありません」と心強い言葉。「ただ、信頼性や耐久性は上がっているんですが、それだけに交換時期の見極めが難しというか。例えばサスペンションのブッシュ、ロワアームのとかですね、Ｅ46だとダメになると明らかに分かるんです。ブレーキ踏むとゴクッとブレる感覚があって。でもＥ90の場合はすごく分かりづらくて、劣化してるのにそのまま乗り続けてしまうことが多いんです。ブッシュの材質も向上してるんでしょうけれど、サスペンション形式の違いで、あまり一つのブッシュに頼らない設計なんでしょうね」と言い、感覚だけに頼らないプロによる定期的な点検の重要さを訴える。
U-CAR DATA 04年式 318iツーリング Mスポーツ
