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発電力が弱い30年落ち車 クルマにとって重要な電気を節電して快調をキープする!

まだまだ電子制御とは無縁の機械だったクラシックのドイツ車達は、現代のクルマのように優れた、余裕ある発電システムを搭載していない。このためアイドリング状態では発電量が不足しがちなモデルもあるということを覚えておこう。

 現在のように世界標準化された製品ではなく、各国の自動車メーカーがまだまだ個性を売りにしていた時代、ドイツ車などのヨーロッパ車には発電量が少ないものが多かった。もちろんそれには理由があって、市街地でも渋滞が少なくアウトバーンのような高速移動が中心という交通環境や、夏でも湿度が低いためにカーエアコンの装着率が低かったという背景があったのだが、とにかく日本へそのまま持ってくるとアイドリング状態での発電量が足りず、雨の日の夜に渋滞の中を走るだけでバッテリーあがりを起こすというクルマまで実際にあったのだ。

 もちろんそんな商品をそのまま売り続けるわけには行かないので、その後様々な改良が加えられたが、根本的に低回転での発電量が少ないという問題点を持っている。さらに年月を経て、様々な部分の接点が劣化したり、電線の抵抗も増している現在では、より発電量を気にしてやる必要があると言える。家庭でもオフィスでも電力使用量とにらめっこの今夏だが、クラシック世代のクルマ達も電気の使用量を気にしてやることが大切なのである。

 そこでクルマが消費する電気について考えてみよう。まず最も重要なのは点火スパーク。これがなくてはエンジンが回らない。センサーやコンピュータなどエンジン制御に必要な電気も必要不可欠。これは節約するわけには行かないが、キッチリとメンテナンスをすることでプラグコードからのリークなど無用な漏電を防止することが大切だ。

 次に装備類に使用される電気がある。ここでも一番消費量が大きいのがカーエアコン。コンプレッサーの電磁クラッチを作動させてコンデンサーやエバポレーターのファンを回すのに使用する電流は、発電量の20〜30%を占める。古いクルマでは熱の問題だけでなく、電気の使用量という部分でも渋滞中のエアコン使用はクルマに対して厳しいと知っておこう。灯火類など欠かすことができないものは、HIDやLEDなど最新の消費電力が少ないものにするか、渋滞で停車中にブレーキランプを点灯させ続けないなど、小さな心がけが大切。接点が熱を持って基板を溶かす定番トラブルの予防にもなる。

プラグコードはリークによる漏電が発生しやすい部分。定期的に点検して、耐久性の高い製品に交換しよう。

オルタネーターに取り付けられている発電のためのブラシとICレギュレーター。低回転では発電量が多くない。

オーバーチャージとバッテリーあがり

案外複雑なバッテリーへの電気の出し入れ

 バッテリーに送る電気を調節しているのが、オルタネーターに取り付けられているICレギュレータ。オルタネーターの回転数が上がって必要以上の発電量がある場合は、余った電気をバッテリーに流し充電している。ただし、バッテリーにも蓄えられる電気の限界があるため、フル充電状態になった時は発電量そのものを抑制する制御器の役割も持っている。このICレギュレータのトラブルによって発生するのがオーバーチャージで、限界以上の電流を流し続けることでバッテリー液が沸騰して噴き出したり、最悪の場合はバッテリーが爆発することも。

 これとは逆に、充電量が足りなくなることで起きるのがバッテリーあがり。電気回路のトラブルで充電されなくなれば警告灯が点灯して教えてくれるが、一番怖いのは漏電などによって電気を作っても作っても足りずバッテリーから持ち出されるというパターン。こうなってしまうと普通に走っていても次第に電圧が下がり、突然エンジンが止まって再始動もできなくなってしまうのだ。

クルマの電気は全てエンジンの回転をベルトで伝える発電機で発電されている。動力源がエンジンなので、当然回転数が高い時は発電機も良く回り、アイドリング状態では発電量が少なくなるというのが構造的な問題点。これを補うため電流をICレギュレータで制御してバッテリーに電気を蓄えるというシステムを持っているのが、家庭用の送電とは違う優れたポイントだ。ドイツ車のバッテリーが大きいのは、寒冷地での始動性を重視していることに加えて、送電の安全マージンを大きく取っているという意味合いもある。

愛車の節電対策を考えてみよう!

点火系からのリークを予防

バッテリーが上がってしまう原因として多いのが点火系からの漏電。電気をタレ流しでは節電以前の問題。

ナビは必要な時だけ電源ON

知ってる道を走っている時にも、つい電源を入れっ放しにしてしまいがちな社外ナビ。不要な時は切って!

オートエアコンは手動でOFFにする

スイッチONでは常に作動しているオートエアコン。春や秋の風が心地よい季節にはスイッチをOFFに。

無用なフォグランプの点灯は止める

カッコイイからと無用にフォグを点灯させたり、リアフォグの消し忘れなど、補助灯はムダ使いの王道。

渋滞ではサイドブレーキを利用

渋滞でブレーキを踏み続けるのはランプの消費電力だけでなく足の疲れの原因にも。サイドブレーキを活用。

渋滞中はこまめにワイパー止める

くもり止めにエアコンとワイパーを使う雨の日は電気を消費する。渋滞中はワイパーの使用は最小限にする。