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愛車に優しい 取り扱い方法〜ヤングクラシックモデル編 Part-04〜

頑丈な鉄の塊に思える自動車だが、実はとても繊細でデリケートな機械。間違った扱い方1つでも、長年の蓄積によって故障の原因になることがある。そこでこのコーナーでは、ドイツ車をトラブルフリーで長く快調に走らせ続けるために気をつけておきたい、愛車に優しい取り扱い方パート4を紹介しよう。

愛車に優しい取り扱い(その10)→ガソリンは半分切ったら給油しておく

ガソリンの警告灯が点いたら給油という方法は燃料を無駄に運ばないため燃費の面ではいいが、燃料系のメカニズムにはダメージが大きい。

タンクの内部はなるべく燃料で満たしておきたい

燃費という観点だけで考えるなら、ガソリンを満タンにしていると体重50〜60キロの人が一人乗っているくらいの重さを常に運んでいることになるので不利である。じゃあ使う分だけ給油して走ればいいじゃないか、と思うと機械的にはそうでもない。

 まずガソリンタンクの中には燃料の残量を検知するフロートが入っている。これには接点があって、フロートがどの位置にあるかでメーター内部の燃料計を作動させているわけだ。ガソリンが満タンの状態であれば、フロートの接点は液の中に浸かっているが、減ってくると空気中に出てしまう。こうなるとサビなどの劣化が発生しやすくなる。また燃料タンクの内部にセットされている燃料ポンプや、その周辺部品も同様に空気にさらされる。ポンプの内部はガス欠状態にならない限りガソリンで満たされているが、やはりいつもスカスカでは劣化が早くなる。

 さらに夏場など気温の高い時は、ガソリンの残量が少ないと温度が上昇してしまう。これはエンジンルームへと送ったガソリンの半分以上は再びタンクへと戻ってくるためで、この時にエンジンの熱で暖められて帰ってくる。タンクのガソリンが少ないと、冷める間もなく再びエンジンに送られどんどん温度が上昇してしまうわけだ。これは燃料ポンプに大きな負荷をかけてしまう。クルマのメカを労るためには、ガソリンは半分を切ったら給油しておこう。

愛車に優しい取り扱い(その11)→キセノンライトは信号待ちで消さない

信号で停車する度にライトを消していたのはハロゲンライト時代の習慣。放電式のキセノンヘッドライトは、点灯したままの状態が安定している。

放電式のため点灯する時に一番大量の電気を使う

 ポルシェ911にオプション設定されてから約30年。一時は後付けタイプの商品が大ヒットしたキセノンライト。現在主流のLEDヘッドライトが登場する前は、クルマ好きがこぞってキセノンライトにアップデートすることが多かった。

 これまでのヘッドライトは白熱電球と同じように光源となる電線に電気を流して発光させていたのに対して、キセノンヘッドライトは蛍光灯のように高圧の電流を使った放電で光を飛ばしている。最初に点灯してからしばらくは光量が安定しないのはこのためだ。

 夜間に信号などで停止すると、ヘッドライトを消す習慣のある人がいる。横断歩道の手前で先頭に停止している場合などは、曲がってきたドライバーに対して歩行者が見えにくくなるのを防ぐ意味でもライトは消した方がいいのだが、キセノン式のライトはあまり頻繁に点灯と消灯を繰り返すと、バルブが劣化する特性がある。また点灯する時に最も大きな電流を必要とする特性もあるため、消費電流という意味でも信号待ち程度の時間であれば、点灯させたままの方が安定しているのだ。この辺りが消した方が節電効果の高いハロゲン式のヘッドライトとは少し異なっている。

 非常に明るいキセノンライトなので、前に停車しているクルマや対向車がまぶしいと感じる時はもちろん例外だけれど、ちょっとした停車時間に頻繁にライトをオフにするのはかえってメカニズムに負担をかけてしまう行為だと知っておこう。

愛車に優しい取り扱い(その12)→サイドミラーを格納するのは最小限にする

駐車する度にサイドミラーを畳むのは国産車乗りの習慣。ドイツ車では危険な場合を除いて無用に畳むのはメカの寿命を縮めるだけだ。

自動調整シートやミラーは機能を停止させる手もある

輸入車でも現在では当たり前となったのが電動格納式のサイドミラー。路上のパーキングメーターに駐車する場合や狭い駐車場での乗り降りなど、日本の交通環境では欠かせない装備ではあるが、ドイツ車のサイドミラーは必要がない場合はなるべく畳まないようにした方がいい。

 国産車のユーザーでは、それがマナーだと言わんばかりに必ず折り畳む人が多いが、これは高い耐久性があってのこと。ドイツ車では採用され始めてからまだ10年そこそこの装備で、構造的にも素材的にも弱いモノが多く、決して耐久性が高いとは言えない。頻繁に動かしているとギアの摩耗や配線の被覆劣化、鏡面の落下など様々なトラブルが発生する確率が高くなる。壊れてしまい交換となると、このユニットがまた高価で、片側10万円という例も珍しくはない。無用な摩耗を防ぐためにも、ぶつけられて破損する可能性があるような場合以外は、極力畳まないようにしておこう。

 メルセデス・ベンツの一部では、ドアロックをかけると自動的にドアミラーが畳まれるモデルがあるが、これも専用のコンピュータに繋いで設定を変更すれば機能をキャンセルすることが可能。シートが自動でスライドするイージーエントリーなどと合わせて、故障する可能性が高くなる機能は予め停止してしまうのも手だろう。現代のドイツ車乗りには常識とも言えるチョイスだ。