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世界中の愛車家たちから絶賛されたスポーティなコンパクトサルーン【BMW初代3シリーズ E21】

まずは、3シリーズの原点である初代モデルについて紹介しよう。初代3シリーズはE21という型式で登場し、このモデルから3シリーズの伝統が始まる。コンパクトで扱いやすいクルマとして、当時から高い人気を誇っていた。

五感の全てを刺激するドライビングフィール

 75年に登場し、82年まで生産された初代3シリーズは、02シリーズで築いた「BMW=スポーティなコンパクトサルーン」というイメージに加え、02シリーズには存在しなかった直列6気筒エンジンを搭載したモデルを320/6、323iとしてラインナップすることで、高級車メーカーというポジションをも手中に収めることに成功した大ヒット作。もしこのモデルが生まれなかったら、メルセデスと対等に語られる現在のBMWの姿はなかったかもしれない。近代BMWの礎となったモデルだ。

BMWの存在感を世界的に高めた2002シリーズの後継モデルとして登場した初代3シリーズ。シャープになったボディラインによってルックスはかなり異なっているが、基本レイアウトなどはそのままキープされている。ちなみに日本で馴染みのある顔は丸形4灯ライトだが、本国版の316iは大きな丸形2灯グリルを持っていて、2002シリーズの進化版であることを物語っているようだ。足回りはジオメトリーを見直すことで、さらに安定性が高められている。

 初代3シリーズに搭載されるエンジンは、大まかに分けると直4と直6の2タイプ。318iに搭載されたのはSOHCの直4、320iには通称「スモールシックス」と呼ばれる直6SOHCを搭載。その滑らかなフィールはこの時代から磨かれ続けているというわけだ。ドライバー側にオフセットされた3シリーズのセンターコンソールデザインは、この初代3シリーズから採用されている伝統あるものである。

 今では中古車として探すにも苦労するほど激減してしまったが、その出来は素晴らしく、新車当時から高い人気を誇っていた。コンパクトなボディとサスペンションが一体になったような軽快なフィーリングは、世界中の愛車家たちから絶賛されたほど。現在もBMW3シリーズを愛好するユーザーは多いが、その直系のルーツとなる初代3シリーズは、当時から刺激的なクルマだったのである。

エアコン操作パネルは運転席に向いており、ドライバーのことを考えた設計になっている。

318iに搭載されたのはSOHCの直4、320iには通称「スモールシックス」と呼ばれる直6SOHCを搭載する。

初代3シリーズは2ドアのみの設定だったため、後席の窓は押し出すようにして開く仕組みになっていた。

SPECIFICATION

82年式318i

●全長×全幅×全高(㎜):4355×1610×1380●車両重量:1115㎏●エンジン形式:直4SOHC●総排気量:1766㏄●最大出力100ps/5800rpm●最大トルク:13.8㎏-m/4500rpm

80年式323i

●全長×全幅×全高(㎜):4355×1610×1380●車両重量:1150㎏●エンジン形式:直6SOHC●総排気量:2315㏄●最大出力143ps/6000rpm●最大トルク:19.4㎏-m/4500rpm