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2021.08.16

メカ派じゃなくてもできる! 簡単! お手入れ マニュアル

DIYメンテをするようなメカ派のユーザーじゃなくても、愛車の調子を保つためにできるお手入れはいろいろとある。簡単にできる作業を選んだのでぜひ参考にしてほしい。クルマへの愛着も増すはずだ。

小さなことでもやるとやらないでは大きな差が出る

 お目当てのドイツ車を手に入れたら、簡単なお手入れをするようにしたい。DIYメンテナンスができるようなメカ派のユーザーじゃなくても、簡単に手を出せるポイントは意外に多いのだ。
 今回はヘッドライト洗浄、腐食してしまったメッキモールの磨き、レザーシートの質感を取り戻すなど内外装の項目については省略した。これらもれっきとしたメンテナンスなので実践してほしいが、ここでは機能的な部分を保つためのポイントに絞り、かつ誰でもできるような作業内容を選んだ。
 言ってしまえばどれも小さなことなのだが、これらをやるとやらないとでは大きな違いが出る。旧世代ドイツ車の大敵であるサビの予防は非常に重要だし、クルマの調子を保つためには電気の流れを正常にしておくことは基本中の基本。エンジン本体のオイル漏れには対処できなくても、キャップのゴムパッキンくらいなら誰でも交換できる。
 こうしたお手入れをすることで、エンジンルームを開けるきっかけにもなり、ホースの状態、オイル漏れ、冷却水の量など同時に点検すれば、トラブルを未然に防ぐことにも繋がるのである。費用的にも安いものばかりなのでぜひ実践してほしい。

お手入れマニュアル【Point.01】

水抜き穴が詰まるとサビの原因になることも

ドアの下側にある水抜き穴。ここにゴミや枯葉などが詰まってしまうと水が抜けなくなり、放置しておくとドア内部にサビが発生してしまうことがある。

定期的に水抜き穴のチェックを!

 ドアの下側やエンジンルーム、トランクなどには雨水などを抜くための水抜き穴がある。ここにゴミや枯葉などが詰まってしまうと、水が抜けなくなり、最悪な場合サビが発生してしまうことがあるのだ。昭和カーにとってサビは大敵である。ボディやドアなどがサビで腐食してしまうと修復するにはそれなりの費用がかかる。消耗品は交換すれば新品に生まれ変わるが、ボディを交換するにはクルマを買い替えるしかない。水抜き穴を見つけたら、針金や割り箸などを使って詰まっているゴミなどを除去しておこう。ドアの内張りを外すことができるなら、内部に防錆スプレーを吹いておくのも効果的だ。また、ウインドーの水切りゴムが劣化しているようなら交換しておく必要がある。洗車のついででいいので、定期的に水抜き穴をチェックしておくと安心感も高まる。
ウインドーに備わる水切りゴムは要チェック。劣化していたら交換が必要になる。
ドアの内張りを外すことができるなら、内部に防錆スプレーを吹いておくと効果的だ。

お手入れマニュアル【Point.02】

ウェザーストリップの状態を見る

ドア枠に備わるウェザーストリップが劣化すると雨漏りの原因になることも。

昭和のメルセデスではゴムパーツでも高額だが…

 ドア枠に備わるウェザーストリップ。ドアの密閉性を高めるだけでなく、劣化が進むと雨漏りの原因にもなるポイントだ。雨水が室内に侵入すれば当然サビが発生するリスクが高くなるので、そうなる前に対処しておくことが大事。昭和のメルセデスでは単なるゴムパーツながら2万円前後と、今回紹介する作業の中ではもっとも費用がかかる。だが、同時期の国産車ではすでに欠品になっているクルマがほとんどなので、パーツが出るだけでもありがたいと思う。交換作業はそれほど難しくなく一度交換すれば当分は持つので、まずはウェザーストリップの状態を確認して、劣化がひどいようなら新品に交換しておこう。

お手入れマニュアル【Point.03】

アースポイントを磨くことは
クルマの健康にも繋がる

エンジンルームを開けるとボディの至るところにアース線が引かれているのが分かるはず。これらのアースポイントの腐食がトラブルの原因になることも。

マイナス端子を外してから清掃するのが鉄則!

 メンテナンスというと機関面ばかりに目が行きがちだが、電気の流れを正常に保つことも重要なポイントになっている。エンジンルームを開ければ確認できると思うが、ボディの至るところにアース線が引かれているのが分かる。この接続部分は経年劣化が進むと酸化などにより腐食し抵抗が増えてしまうのだ。そうなると、その回路には100%の電流が流れなくなり、ライトが暗くなったり、動きが悪くなるなどの症状が発生してしまうのである。
 愛車のアースポイントが腐食しているようなら紙ヤスリで磨いておくこと。これだけでもクルマの健康に繋がるのである。また、バッテリーの端子部分に白い粉が大量に付着している場合は、お湯とブラシを使って落としておくこと。清掃するときはマイナス端子を外してから行なうのが鉄則なので覚えておこう。
劣化したアース線。このような状態だと100%の電流が流れず、不具合が起きることもある。
バッテリー端子の腐食にも注意。白い粉が付着していたらお湯とブラシを使って落としておこう。

お手入れマニュアル【Point.04】

ゴムパッキンの劣化をチェック!

パワステのリザーバタンクからの漏れが多いBMW。キャップパッキンの劣化が原因だ。

ヒューズボックスのパッキンも盲点

 エンジンルームには様々な形状のゴムパッキンが使われている。これらはエンジンやオイルなど熱の影響によって劣化していくので定期的に交換する必要がある。意外な盲点になっているのがヒューズボックスに備わるゴムパッキン。水などが浸入しないように装着されているものだが、交換されていないケースも多いポイントだ。パワステのリザーバタンク、エンジンオイルのフィラーキャップ、ラジエターサブタンクのキャップに備わるパッキンも、劣化するとオイル漏れや水漏れの原因になるので、定期的に換えることがトラブル予防に繋がる。
ヒューズボックスに備わるゴムパッキンは意外なメンテポイント。写真はメルセデス。

お手入れマニュアル【Point.05】

エンジンオイルのディップスティック

Oリングの劣化が進むと切れてしまうこともある。新品に交換しておくと安心だ。

予防的に交換しておいても損はない

 現代のクルマにはなくなってしまったが、昭和カーにはエンジンオイルの量を確認するためのディップスティックがある。このツマミ部分にはゴム製のOリングが備わっており、劣化が進むとオイルが漏れ出すことがある。さらに、ここから外気を吸ってしまうことでエンジン不調を起こすこともあるのだ。エンジンオイルの量を点検する時にはこのOリングの状態を忘れずにチェックしておきたい。メルセデスの場合、この小さなOリング一つからでも部品が出るので、まだ一度も交換していないなら予防的に換えておいても損はないはずだ。

現代のクルマでは姿を消してしまったディップスティック。ツマミ部分にOリングが見える。

お手入れマニュアル【Point.06】

ウォッシャーノズルの詰まりを除去

一般の家庭にはあまりない荷札だが、買っても30枚で100円ほど。これを使えばウォッシャーノズルの詰まりを除去することができる。

ワックスのカスなども詰まる!

 ウインドーの汚れを除去するためのウォッシャー液。これが噴射されるノズルが詰まってしまうことがある。ワックスのカスなどが詰まるというのがもっとも多いパターンだろう。ノズルの穴は非常に小さく、詰まりを除去しようと思っても竹串などを差し込むことはできない。そんな時に活用したいのが荷札に備わっている細い針金。30枚で100円くらいで売っているものだが、これを使うことでノズルの詰まりを除去できる。ちなみに、ワイパーゴムもマメに水拭きしておくこと。ゴミなどが付着しているとウインドーを傷付ける可能性があるし、水拭きすることで長持ちさせることにも繋がるのだ。