　中古車は一点モノであることが面白さのひとつ。ここで紹介するのは新車のようなE34型5シリーズ。流通量が減少している中で、今では出会うことさえ奇跡ともいえるこのクルマを扱っているのが、世界中の趣味車を集めて販売しているプロショップ「ネオクラ」である。

1988y BMW 535i

1988年に登場した3代目の5シリーズ（E34）。丸型4灯ヘッドライトやキドニーグリルなどの伝統を踏襲しながら、空力を意識したボディを採用。90年、DOHCの520iと525i-24が登場し、翌年に525iがDOHCバージョンのみとなる。同時にDOHCモデルは5速ATを搭載する。93年には6気筒モデルに可変バルブタイミングのVANOSを採用。V8の530iと540iを追加する。そして95年には全車ビックキドニーグリルを装着するなど、細かな小変更を実施しながら進化しモデルである。

Specifications

●全長：4720mm　●全幅：1750mm　●全高：1415mm　●ホイールベース：2765mm　●エンジン方式：直6SOHC　●総排気量：3430cc
●最高出力：211ps/5700rpm　●最大トルク：31.1kg-m/4000rpm　●トランスミッション：電子制御式4速AT　●新車時価格：798万円

低走行、程度、グレードにこだわったラインナップ

　５シリーズとして３代目にあたるＥ34型。最終型でも25年が経つネオクラシックモデルである。伝統のストラット／セミトレーリング式のサス、当初はビッグ／スモールシックスのエンジンすらも旧世代から引き継ぎつつ登場。しかしボディは空力を意識したモダンなデザインに生まれ変わり、初代より継承されてきた逆スラントのフェイスは廃止された。途中で様々な進化を遂げたのも特長で、90年代に入るとエンジンをＤＯＨＣ化、ＡＴも５速へと切り替え、末期にはＶ８ユニットを搭載するなど、波瀾万丈なモデルライフだった。
　中古車の流通量は減少傾向だが、今回紹介する88年式の５３５ｉは、走行距離がなんと３０００㎞ちょっと。ほぼ新車の状態で保管されてきたクルマだ。これを販売するショップ「ネオクラ」は、その名の通り、古き良き時代のクルマ、ネオクラシックカーを中心に世界中のクルマを取り揃えており、低走行、コンディションはもちろん、クルマ好きの心をくすぐるグレードを厳選して店頭に並べている。このＥ34は名機ビッグシックスを積むモデルでワンオーナー。中古車の数が減少している中で、これだけのスペックのＥ34とはなかなか出会えない。
　ＢＭＷのネオクラシックモデルはメルセデスなどに比べると流通量が少ないので、良い個体を探しているならぜひ実車を見に行ってほしい。登場から30年以上経過したモデルで走行３４００㎞のクルマに出会えることは奇跡ともいえる。