TOP > 記事 > 【BMW歴代3シリーズ研究】3代目3シリーズ BMW E36 ①
3シリーズ BMW

2022.02.04

【BMW歴代3シリーズ研究】3代目3シリーズ BMW E36 ①

 それまでのコンパクトサルーンの常識を覆したE36。ロングホイールベース、50:50の重量配分などの技術は、まさに革命的だった。BMWの進化に今でも大きな影響を与える一台でもある。

3シリーズの原点とも言える
革新のメカニズムを採用

代表モデルの主要諸元 96年式323i
■全長×全幅×全高:4435×1695×1395mm■ホイールベース:2700mm■トレッド(前/後):1410/1420mm■車両重量:1400kg■エンジン方式:直6DOHC■総排気量:2493cc■最高出力:170ps/5500rpm■最大トルク:25.0kg-m/3950rpm■サスペンション形式(前/後):ストラット/セントラルアーム

メカニズム解説/Mechanism

自動車にとって理想的な50対50の重量配分を実現

 E30からE36へのモデルチェンジで革新的だったのは、E30よりも112㎜伸ばしたホイールベース。これにより、4気筒モデルはフロントミッドシップのようなレイアウトとなり、6気筒エンジンでも4気筒分は前輪軸より後ろに来るほど搭載位置を下げている。結果、前後の重量配分が50対50となり、クルマとしての理想的なシャシーを作り上げたのだ。E30もよくできたコンパクトサルーンだが、自動車の高性能化により、古典的なセミトレーリング式のリアサスではややスタビリティ不足を感じる場面もあった。これを解決したのがセントラルアーム式リアサスペンションである。いまやリアサスのスタンダードとも言えるマルチリンク式の部類に入るサスペンションだ。トレーリングアームと2本のラテラルアームがあらゆる方向からの力をしなやかに受けとめ、安定感の高い走りを実現している。
 エンジンは4気筒モデルにSOHCユニットを搭載していたが、6気筒エンジンは全てDOHC化。可変バルブ機構であるVANOSによって幅広い領域で豊かなトルクを発生し、滑らかな回転フィールを持つパワーユニットに仕上がっている。
 革新的なシャシーと高効率なエンジンによる走りは3シリーズというキャラクターを存分に感じさせる。後に3シリーズはE46、E90と進化していくが、それらのモデルに共通するのが「走る楽しさ」であり、その原点にあたるのがE36なのである。

メンテ基本情報/Maintenance

あまり手を入れていない箇所を重点的に整備

 基本的なメンテナンスとしては水回りをキッチリと整備することが重要。ここが弱点であることはだいぶ認知されてきているので、一度は手を入れてあると思われるが、そろそろ二度目の交換を検討すべき時期。ラジエターや周辺のゴムホースも一気に交換しておきたいところだ。センサー系のトラブルも気になるところで、エンジン不調の原因となるカムシャフトセンサー、ラムダセンサーなど電気的な部分にも気を配っておきたい。またメルセデスに比べると燃料ポンプが定期的に交換されていないケースが多い。突然ポンプが止まって走行不能に陥ることもあるので、ここは注意しておきたいポイントだ。
 意外に放置されているのがデフ。構造的には頑丈だが、下回りからゴーという異音が発生したり、サイドシールからオイルが漏れ出しているケースが多い。ゴーという異音はハブベアリングの劣化も考えられるので、どこから音が出ているのかチェックしておくといい。また、ハブだと思っていた異音が、実はタイヤの劣化ということもあるので、自分で判断せずに修理工場で点検してもらうのが得策だ。
 E36らしい軽快な走りを楽しむためにも足回りのメンテナンスは必須。フロントのロアアームブッシュやスタビリンクなどは手が入っていることが多いが、リアは放置されがち。ブッシュ、アーム、リンク類を点検して、劣化している部分はしっかりとリフレッシュしておこう。

走行中にタイヤ付近からゴーという異音がしたらハブベアリングが劣化している可能性が高い。下回りからの音ならデフを疑うべし。
エンジンオイルはマメに換えていても、デフオイルは一度も交換していないというケースが多い。サイドシールから漏れるのが定番。
エンジンがいまいち吹けない、燃費の急激な悪化などの症状が出たらラムダセンサーが怪しい。走行8万キロが交換の目安。
フロント側は手が入っていることが多いが、そろそろリアサスにも気を配りたい時期。とくにコントロールアームはチェックしたい。