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メンテナンス

2022.04.26

【素材別ドイツ車メンテ術 vol.05/エクステリア編 ⑤《外板の 樹脂パーツ》】金属に比べて素材が柔らかいためそれに合わせたケアを

一口に樹脂と言ってもその範囲は非常に幅広いが、ここで用いられる素材は主にポリプロピレン(PP)という合成樹脂。水や熱に強く、腐食しにくいといった特長を持っているが、逆に弱点としては紫外線に弱く、太陽光で劣化する性質を持っている。

 

被膜が長持ちする

コーティング剤がお勧め

 樹脂パーツは素材そのものに着色できるので、鉄板のように塗装せずに使用することもできる。青い鉄板を作ることはムリですが、青い樹脂を作ることは可能となる。
 けれども外装内装にかかわらず、まったくの未塗装で使われている樹脂パーツは、目立たないところに使用される部品や、機能部品に限られる。それ以外の樹脂パーツは、必ず塗装されていると思って間違いないだろう。
 塗装されているとなれば、ケアの方法は外板と同じです。基本は汚れを落として、ワックスなどで保護被膜を作ってやることです。ただし樹脂パーツは柔らかいので、鉄板に使うような硬くて強い被膜の塗料は使えない。あまり頻繁に研いていると剥がれてしまうので、樹脂パーツには被膜が長持ちするコーティング剤がお勧め。

 

ツヤ出しはアルコール系を使う

劣化した樹脂部分の保護やツヤ出しには、水性・油性ワックスよりもアルコール系のツヤ出し剤が有効。有名なところではワコーズ「スーパーハード」などがそれに当たる。
 

下回りも防水コーティング

なし地仕上げの下回りは、水や泥汚れを付きにくくするために、ワックスがけを行なってしまうのもいいだろう。
 

《番外編》気になるあの素材はどうなってる?

ドライカーボンと
ウエットカーボンの違い

サーキット仕様などでよく見かける、ボンネットやドアなどのカーボンパーツ。軽量化と共にレーシーな雰囲気も醸し出す
 

長期間の使用で

紫外線によって劣化してゆく

 軽くて強い高性能素材の代名詞とも言えるカーボンパーツだが、これは形成工法によって大きく2種類に分けられることをご存じだろうか。
 一つは「ドライカーボン」と呼ばれる工法で、樹脂を含ませたカーボンクロスを高温・高圧で焼き固めるもの。いわゆる「カーボン素材」とはこちらのことで、航空宇宙機などにも使われるほどの軽量、高強度が売りの先進素材だ。だが成型には専門設備が必要になり手間もかかるため、必然的にコスト高になってしまうのが難点でもある。
 そしてもう一つは「ウエットカーボン」と呼ばれる、カーボン繊維に樹脂を塗りこんで自然乾燥させて形成する工法。製作工程も難しくなく、比較的低コストで生産できることから、市販車用のいわゆる「FRP」と謳われるパーツの多くは、こちらの工法で作られている。
 ウエットカーボンも鉄などの金属よりは軽いため、もちろん軽量化の効果はあるが、ドライカーボンほど軽くはならず、強度もドライカーボンほど高くはならない。また、素材に樹脂を含んでいるため、長期間使用していると紫外線によって劣化してゆくというデメリットも覚えておくべきだろう。