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【特集企画】もう一度乗りたくなるドイツの絶版名車

ドイツ車は日本国内において着実に売上を伸ばし、プレミアムブランドとしての地位を確立。しかしその一方で、人気モデルであっても新車から3年ほど乗ると買い取り価格は半分になってしまうのが現実。ところが、数に限りがある人気の絶版車はコンディション次第で購入金額と同額、さらにそれ以上の値が付くこともある。本特集ではそんな絶版車たちに注目。多少の維持費は必要でも、趣味車として楽しく乗って、買った金額以上の値段で手放すという、世界の富裕層たちが当たり前に行なっている楽しみ方を提案する。

 

 趣味車として楽しく乗って
買った金額以上の値段で手放す!?

 クルマの価値というのは年々下がっていくのが一般的。どんなに洗車をして、整備をして、大切に保管していても中古車相場の下落からは逃れられない。しかし、同世代のクルマが淘汰されていく中で生き残っているクルマというのは、別格の存在となる。それが、絶版車、クラシック、ネオクラシックと言われる世代のクルマたちなのです。15年前に300万円で購入できたクルマが、今では1000万円以上の値を付けるケースもあり、資産としてこうしたクルマたちをコレクションしている富裕層はたくさんいるのだ。
 そこで本特集では、多少の維持費で、趣味車として楽しく乗って、手放す時には買った金額と同額、いやそれ以上で売るという富裕層が当たり前に行なっている絶版名車の本当の楽しみ方を提案。世界中で高い人気を誇るドイツ車だからこそ、日本にあるドイツの絶版名車は海外のバイヤーから、今注目されているのだ。
 また、こうした動きはネオクラシック世代と呼ばれることが多い80~90年代のモデルにも影響しており、限定車や世界中で高い人気を持つモデルの価値が上がってきている。だから、もう一度乗りたいと思ってから実際に所有するまでの時間が長くなるほど、購入金額が上がってしまうことも考えられる。
 でも今なら、現実的な価格で購入でき、維持の面においても部品の供給が問題なくされているからしっかりと仕上げることができる。もっと言えば、良いコンディションを保っておけば手放す時にも有利に働くわけだ。でも、1つだけ注意点。新車とは違って数が限られている絶版車は、早い者勝ちであることをお忘れなく。

日本のクラシックやネオクラシックに世界中が注目!

今、絶版名車の価値が上昇している

 新車でドイツ車を購入しても、3年も経てば買い取り価格は半分になってしまう。だが、高い人気を維持しつつ希少性が高まった絶版車は、価値が下がるどころか上がっていく傾向にある。最近のクルマがつまらないと感じているなら、時代を遡ってみるのも面白い選択になる。

いま生き残った名車たちは
特別な存在である

 クルマ好きなら、誰もが必ず思ったことがあるはず。「こんなに愛情を注いできたクルマなのに、手放す時はこんなもんか……」と。
 新車にしろ一般的な中古車にしろ、クルマの価値は年式と共にどんどん下がっていく。たとえ空調付きのガレージでまったく乗らないで完璧な状態に保っていたとしても、相場の下落からは逃れられない。どんなに磨き上げても、頻繁に高級なオイルを入れ替えても、クルマの資産価値として見れば自己満足の世界なのである。
 ところが、中古車という価値観を超えてしまったクラシックの世代となると話は違ってくる。同世代のクルマがほとんど淘汰されてしまった中で、生き残ったものの持つ存在感は特別だ。歴代のオーナーに心底愛され大切にされてきた誇りすら感じるではないか。「移動のための道具」として見れば今やポンコツでしかない30年も40年も昔のクルマ達が、人々の視線を釘付けにしてしまう魅力を持っている。
 これは単なる懐古主義ではなくて、自動車という乗り物に夢が詰まっていた時代の産物だからに他ならない。今のエコカーがどんなに美しく保たれていたとしても、30年後に熱い視線を集めるとはとうてい思えないのである。
 クルマの価値を決めるのは、人気と市場に存在する数の2つの要素。どんなに希少なクルマでも、誰も欲しいと思わなければ価格は付かないし、人気があっても次々と生産されていればプレミア的価値は期待できない。それゆえ、新車で買って価格が上がる可能性があるクルマというのは、極めて個性的で生産台数の限られたモデルのみである。ほぼ100%の新車は登録した時から、その価値が目減りし続ける宿命の元にあって、最先端の高性能を堪能できる代償として、新車登録から3年も経てば買い取り価格は半分程度になってしまう。

80~90年代絶版車の
価格上がりつつある

 モナコ王国やドイツのハイデルベルク、アメリカのビバリーヒルズといった世界有数の高級住宅街では、シャッター付きのガレージの中にピカピカの新車と並んで数台のクラシックカーが置かれていることが多い。クラシックとは言っても、その多くは1950年代から1970年代のモデルで、博物館級の馬車にエンジンを付けたようなベテランカーとは異なっている。
 実はこういった場所に暮らしている富裕層の間では、クラシックカーは所有している間にドライブやイベントへの参加を楽しみながら、価値が上がったら売却して利殖の対象とするのが常識のようなもの。「中古車」として手頃な価格で手に入れられる時期に、生産台数の少ないスポーツカーなどを手に入れて、いずれ価値が高くなったところでクラシックカーのオークションで売るという楽しみもあるわけだ。
 こうした動きは80年代の絶版名車たちにも見られるようになり、近年でいえば、空冷ポルシェが異常なほどに高騰。最近は落ち着いてきた感があるが、10年前と比較しても飛躍的に価値が上がっているし、930ターボも気軽に購入できる金額ではなくなってしまった。BMWの初代M3スポーツエボリューション、メルセデス・ベンツ190E2.5-16エボリューションⅡは歴史的な名車であり、かつ販売台数が少ないことから、以前よりも高値で取り引きされるようになっている。80年代から90年代初頭のメルセデス・ベンツのAMGモデルも、やはり価値を高めている傾向にある。

「アナログ回帰」とも言える現象が
確実に起きている

 本特集では、クラシックやネオクラシックといった括りではなく、価値ある絶版名車として紹介していく。今後の価値上昇の期待も込めた予備軍たちも合わせて解説していきたいと思う。もちろん、クルマの価値だけではなく、操る楽しさと喜びに溢れているのが絶版名車の魅力。エンジンを回して、タイヤで大地を蹴って走る感覚は、自動車を走らせているダイレクト感に満ちたもの。せっかく愛車に少なくはない維持費と愛情を注ぐのならば、こんなクルマを選んでみてはどうだろう? もちろん不便なことも色々とあるけれど、昔はそれが普通だったのだから。何よりも、大切に乗り続け時間が過ぎるほど、その価値は高くなる傾向にあるというのが嬉しいじゃないか。
 最近のクルマがつまらないと感じているのなら、時代を遡るのは常套手段。こうしたアナログ回帰ともいえる現象が、今確実に起こっているのだ。1000万円級の特別なモデルは別としても、趣味と実用を両立した絶版車でさえ、緩やかながら確実に値を上げつつある。だからこそ、購入するなら早い方がいい。