TOP > 記事 > 【激レア独車 09/BMW 2002 Turbo 1975y Part.2】「マルニターボ」の愛称でおなじみ!量産車として世界で初めてターボを搭載した歴史的名車。隠れた細部の魅力をチェック!!

【激レア独車 09/BMW 2002 Turbo 1975y Part.2】「マルニターボ」の愛称でおなじみ!量産車として世界で初めてターボを搭載した歴史的名車。隠れた細部の魅力をチェック!!

✔レースでの実績をフィードバック
✔ターボ専用のボディを採用
✔リアブレーキのドラム径を拡大

レースエンジンで公道を走る、刺激的で贅沢な時間

 マルニターボは欧州車初のターボチャージャーを積みその名を歴史に刻んだわけだが、誕生に至るまでの経緯もまた我々クルマ好きの心を捕らえて離さない。マルニターボに搭載されたエンジンは、BMWターボというコンセプトモデルが72年に発表される前から開発が進んでいた。60年代のグループ5のツーリングカーレースでは、2002tikというモデルに直列4気筒+KKK製のターボチャージャーを積んでレースに挑み、見事タイトルを獲得。市販化に当たって改良はされているものの、基本的にはそのエンジンがマルニターボに搭載されたのである。
 レースでタイトルを獲得したエンジンが搭載されるという、E30型M3のような生い立ちを持つわけだ。単純に、ベースとなる2002tiiのエンジンにターボを搭載したわけではないのである。それを公道で走らせることができるのだから、これほど刺激的で贅沢なことはないだろう。
 乗用車に初めてターボを搭載したのは62年製のGMオールズモビルF85とシボレー・コルベアだが、これらはオプション設定。モデルバリエーションとしてターボが搭載されたのはこのマルニターボが最初なのである。スーパーカー時代を知る人なら、ターボ=高性能の証。その元祖がマルニターボなのだ。
 マルニターボの市販化にあたって、エンジン本体だけでなく数多くの変更が加えられた。ベースである2002tiiよりもラジエターの容量を増やし、オイルクーラーも標準で装備。メカニカルインジェクションはグーゲルフィッシャー製で、これはエンジンの動力によってポンプを作動させ、各気筒の吸気ポートに噴射させるというものだ。燃料タンクの容量が増やされたことで、トランクルームはベースである2002tiiよりも若干狭くなっている。足回りはフロントがストラット、リアがセミトレーリングアーム。ブレーキはフロントがベンチレーテッドとなり、リアはドラム式のままだったが、ベースモデルに比べてドラム径を拡大し強化されている。タイヤは5.5Jの185/70HR13で、オプションで6J×13のアロイホイールも用意。LSDが装備されたことも特長的なポイントだと言えるだろう。
 ボディはひと目見れば分かるようにターボ専用となっている。バルコムトレーディングによって輸入された日本仕様のオーバーフェンダーは、パテ埋めされたスチール製となっている。欧州仕様はビス留めされているのが特長だが、日本仕様は規制の問題でフェンダー回りを加工する必要があったため、このような違いがある。だが、今回の取材車のように、日本仕様であってもあえてビス留めに変更するケースも多いようだ。オーナーのこだわりの部分だと言えるだろう。

日頃のメンテだけでなく、本格的なレストアが必要

年式的に見てエンジン内部の劣化も進んでいるはず。本来の性能を取り戻すためにもオーバーホールはしておきたい。

前方を走るクルマにも存在感をアピール

マルニターボのフロントマスクで印象的なのは大型のスポイラー。オーバーフェンダーと相まって力強いデザインとなっているが、これには逆文字の「2002 turbo」というデカールが張られている。なぜ逆文字なのかというと、前方を走るクルマのルームミラーには「2002 turbo」の文字が正しく映り、ラインを譲れという強烈なアピールなのである。クルマによってはこのデカールが張られていないものもある。

Detail Check

パーツや各部の作りに至るまで細かく見てみる!

ボディからエンジンまで
専用品で強化した別モノのマルニ

パワーアップに合わせてブレーキも強化

フロントのブレーキはベース車と同じベンチレーテッドディスクだが、リアのドラムはノーマルよりも径を拡大することにより強化されている。

グーゲルフィッシャー製のメカポンを搭載

ベースである2002tiiと同様にグーゲルフィッシャー製のメカニカルポンプを搭載。この時代のドイツ車に多く採用されたものである。

Restore & Maintenance

レストア&メンテナンスのポイント

パーツは心配ないがボディのサビには注意

歴史的名車であるマルニターボであるが、1975年製のクルマ。エンジンやミッションのオーバーホール、ボディのサビ対策など本格的なレストアが必要となる。

点火系は日本製のハイパーイグニッションシステムを搭載。フルトラ化することでメンテナンス性を向上させている。
ミッションは消耗品なので定期的に整備する必要がある。安心して乗るためにもきっちりとメンテナンスしておきたい。