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【修理工場で聞いた特選メンテ情報 vol.1】 ヘッドライトの劣化問題を探る!黄ばみや水分侵入の原因は?

近年のメルセデス・ベンツやBMWのヘッドライトで発生している劣化の中で多いのが樹脂レンズが黄ばんでしまって、みすぼらしい印象になってしまうことや水分が浸入してしまうケース。当コーナーではその原因と対策について考えてみたい。

 

黄ばみや白濁の原因は
紫外線にある!

 ヘッドライトレンズが黄ばんでしまう原因は紫外線だ。クルマによってはガラス製のレンズが使われているが、主流なのは樹脂製のレンズである。メーカーや年式を問わず、多くのクルマが樹脂製のレンズを採用していることもあり、多くのユーザーの悩みの種になっているのだ。
 ヘッドライトはクルマの印象を決定付けるポイントなので、ここが劣化しているとみすぼらしい印象になり、ドイツ車らしい高級感を損なってしまう。劣化がひどくなると除去するのも難しくなってくるから、早めに対処しておく必要がある。
 その対処方法として挙げられるのが「交換」と「磨き」である。クルマによってはヘッドライトが分解可能で、レンズも単体で供給されている。この場合は安価に交換できるのでベストな方法と言えるが、近年のドイツ車は非分解であることが多い。
 交換の場合、近年のヘッドライトは高価であり片側20万円以上というケースも少なくない。以前は多く流通していた社外のヘッドライトも純正品の機能が高度化したことで、以前ほどは少なくなった印象だ。
 そのかわり、ヘッドライトの黄ばみを除去するケミカル剤が急増するようになった。その一方でプロによる「磨き」というサービスも増えてきている。プロは、黄ばみが発生したヘッドライトの保護膜をポリッシャーを使って削り取るため、技術がないところだと歪みが生じたり、削りすぎてライトの照射がおかしくなることがある。最近ではガソリンスタンドなどでもやってもらえるが、輸入車は国産車とは違って保護膜が厚い。そのあたりを分かっている業者に作業を依頼することが大切だ。
 自分でケミカル剤を使ってみるか、プロに任せるのかで選択が分かれると思うが、長い目で見るならプロによる施工の方が長持ちするはずだ。
 またボッシュカーサービス店である新潟県のブリストルでは、ヘッドライトにプロテクションフィルムを貼るというサービスを行なっている。このフィルムは黄ばみや白濁の原因となる紫外線を99%以上カットするため、長期間に渡ってヘッドライトレンズを紫外線による劣化から守ってくれる。カラーはクリア、ブラックブラウンなどが用意されているのでオリジナル重視ならクリア、カスタムを楽しむならブラックブラウンを選ぶのがよさそうだ。すでに劣化が進行しているクルマは、まずは磨きなどによって表面をキレイにしてから、フィルムを貼るのがベスト。飛び石などで凹凸があるケースもあるので、しっかりと下地を作ってから施工するようにしたい。 
 

BMWやメルセテセスで
水分発生の事例あり

 ヘッドライトの劣化問題としてもうひとつ紹介したいのが、水分の浸入。BMWの場合だと、ヘッドライト回りにあるゴムパッキンが劣化することで、そこから水分が浸入し曇ってしまうのが原因。夏場など気温が高い時期は乾いてしまうため放置されがちだが、じつはそこが落とし穴。水分の浸入を許したまま使い続けると、コーナリングライトなどを制御する電子ユニットまで壊してしまうことがあるのだ。そうなると修理費用は跳ね上がり、ヘッドライトのみならず高価な電子ユニットの交換まで必要になる。対策としては中古品を探すことと、劣化した部分をコーキングすることで水分の浸入を防ぐというもの。片側だけダメになるというパターンが多いので中古品を探すのも苦労するが、こちらも同様に劣化が進んでいることも忘れないようにしたい。
 メルセデス・ベンツにおいても水分が浸入するケースが増えてきている。年式にもよるのだが、比較的高年式のLEDヘッドライトのユニットにはドライパックという、いわゆる除湿剤が備わっている。これが経年劣化で水分を吸えなくなると、逆にはき出すようになってしまい、電子ユニットが水没し、高価なユニットを壊してしまうのだ。メーカーとしても交換が前提なのか、ドライパックのみで部品が出るようになっている。
 そもそもなぜドライパックが必要なのかを考えてみると、ヘッドライト自体の密閉が悪く、BMWのように雲ってしまうケースがあるようなのだ。ドイツ車の整備を得意とするバイブリンゲンによると、ディーラーではドライパック自体を外してしまうこともあるらしいが、ディーラーでは新品交換が前提なので、ヘッドライトごと交換するケースもあるかもしれない。とはいえ、中古車で購入したクルマに、両側で40万円以上となる新品のヘッドライトを壊れる前に交換するのはあまり現実的ではない。やはり、ドライパックの交換履歴が分からなければ今のうちに交換しておくことや、ドライパックを外して、技術のあるところでコーキングをしてもらうなどの対策が考えられる。
 これまでヘッドライトの劣化というと紫外線による黄ばみがほとんどだったが、最近では部品としての精度の問題が浮き彫りになってきているのかもしれない。いずれにしても、症状が出る前にチェックしておくことが重要であり、メルセデス・ベンツやBMWに詳しいショップで対策してもらうようにしよう。

メルセデス・ベンツの整備を得意するバイブリンゲンでヘッドライトのLEDユニットをバラしてみると、内部には水分が溜まっていた。内部にあるドライパックが部品として設定されているのは驚きだったが、これを定期的に交換するか、外してしまってコーキング等を施すのが現状の対策法となっている。
問い合わせ:バイブリンゲン
●所在地:東京都江東区新木場1-8-20
●TEL:03-3522-0771
 
DIAMOND SWELLというヘッドライトプロテクションフィルム。ブリストルでは黄ばみや白濁を除去してから施工するのがお勧めとのこと。
ヘッドライトプロテクションフィルムの施工は表面の下地作りが重要。またすでに劣化しているようであればキレイにしてから施工しよう。
DIAMONND SWELLの問い合わせ:ブリストル
●所在地:新潟県新潟市東区下場本町1-1
●TEL:025-256-5100