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【今日も明日も、BMW好き vol.2/BMWに安心して乗るための処方箋】 BMWにありがちなトラブルと解決方法

買い得感が高まっているBMWだが、気になるのはその後のメンテナンス。ここではありがちなトラブルとその解決方法について解説していこう。

 

高度な電子制御システムに
対応したコンピュータ診断機

 モデルによっては後期型であっても200万円の予算があれば選び放題となっているのが、今の中古車相場。買い得感が高まっているだけに、BMWに乗ってみたいと思う人も多いだろう。そこで気になるのは購入後のメンテナンス。基本的な消耗品の交換に加えて、ありがちなトラブルの対処方法を知っておけば焦ることはなくなるし、メンテナンス計画も立てやすい。加えて重要になるのが、どこに整備を依頼するか、ということ。
 ここで解説するモデルは高度な電子制御システムを搭載している。メインとなるコンピュータのほか、センサーや電子ユニットも多数搭載しているから、コンピュータ診断機による点検が必須となる。この診断機を車両に接続することによって、目視点検では確認できないセンサーや電子ユニットの状態を確認できるのである。
 また、電子ユニットなどを交換した際にはコーディングと呼ばれる作業が必要になるケースが多い。それをするためにもコンピュータ診断機が必要になるのだ。それゆえ、BMW専用の診断機を持っているかどうかというのは、工場選びにおけるひとつのポイントになると言えるだろう。
 今回の取材に協力してもらったBMW専門修理工場「ポールポジション」は、世代を問わず多くの整備実績を持つ。コンピュータ診断機においても現行モデルに対応した最新版まで用意しているから、どんなモデルにも対応できる体制が整っている。
 ここでは3シリーズ、5シリーズ、1シリーズのトラブルと解決方法について解説していくが、その前に搭載されているエンジンについて触れておこう。
 E60型5シリーズは、初期モデルにひとつ前のE39から受け継いだ直6DOHCを搭載していたが、後にバルブトロニック付きの直6エンジンに切り替わっている。さらにV8DOHCもラインナップ。E90型3シリーズは直4DOHC、直6DOHC、とそのターボ版。1シリーズでは直4DOHC、直6DHC、とそのターボ版となる。
 つまり、E60の初期に搭載された直6エンジン、V8エンジン以外は、3車ともに同じ直4、直6エンジンを積んでいることになるわけだ。それぞれ単体で見た場合、メンテナンスポイントもほぼ同じと考えていいだろう。
 クルマに発生するトラブルの多くはエンジン回りだから、自分のクルマにどんなエンジンが搭載されているかを知ることは、メンテナンスを知る上でも重要になる。

 

電動ウォーターポンプの状態は
コンピュータ診断機でチェック

 ここからは、ありがちなトラブルポイントについて解説していこう。6気筒エンジンでトピックとなるのは、電動式となったウォーターポンプ。これまではベルト駆動によって作動していたが、電気式になったことでより高度な制御が可能になっている。ベルト式のウォーターポンプは走行距離によってある程度の交換時期を見極めることができたのだが、電動式になった先代モデルでは走行距離に関係なくトラブルが発生するケースが増えている。異常があるかどうかはコンピュータ診断機でチェックできるので定期的にみておきたい。これを交換する時には周辺のホースやパイプ、さらに専用のサーモスタットを同時に換えておくと安心だ。OEMパーツもあるが、ポールポジションでは信頼性を重視して純正品を推奨している。
 水回り系でもうひとつ注意したいのがラジエター。軽量化のためにオールアルミ製となっているのだが、水漏れを起こすことが多い。とくに5シリーズに多いトラブルである。
 吸排気を最適に制御するバノスに備わるソレノイドバルブの不良は、最近増えているトラブルのひとつ。Oリングの劣化によるオイル漏れのほか、バルブの不良によってエンジンチェックの警告灯が点灯しエンジン不調を引き起こすことが多い。この場合ソレノイドバルブの交換になるのだが、同時にカムシャフトセンサーを換えることがメーカーの指定となっている。
 ABSユニットの不良は3シリーズや1シリーズに多い。以前はABSセンサーの不良もあったが、ユニット不良がほとんど。新品に交換すると高価だが、分解修理で直すことができるので費用も抑えられる。
 オイル漏れ関係では、ヘッドカバーパッキンやオイルフィルターハウジングガスケットからの漏れが定番。ここからの漏れを放置すると高価なパーツを壊してしまうことがあるので、早めに対処するようにしたい。BMWと言えば、パワステフルードからの漏れは全モデルに共通するポイントだ。

 

ウィークポイントを知っておけば
何かあっても対処しやすい

これまでは4気筒だけだった可変バルブ機構のバルブトロニックを、6気筒にも積んだのがN52型エンジン。現場のメカニックによると、4気筒よりもトラブルが少ない傾向にあるという。
N52型の直6エンジンには電動式のウォーターポンプが搭載されている。従来のベルト式に比べて緻密な制御が可能になっているが、部品代は高くなっている。専用のサーモスタットが備わっているので、ポンプを交換する時には同時に換えるのがベスト。
アクティブステアリングが搭載されているクルマでは、アングルセンサーの不良が多い。コンピュータ診断機で状態を確認することができる。
バノスのソレノイドバルブからのオイル漏れが多い。バルブ自体の不良もあり、交換時にはカムシャフトセンサーも換えるというのがメーカーの指定だ。
ABSユニットのトラブルは以前から発生していたが、3シリーズでも同様。交換のほか、分解修理も可能となっている。
パワステフルードの漏れはBMWでは定番だったが、先代モデルにおいては発生率が低くなっている。
エンジンからサーモスタットに繋がるデリバリーホース。ここから水漏れが発生することがあるので注意しておきたい。定期的に点検しておくこと。
オイルフィルターハウジングからの漏れを放置すると、その下にあるオルタネータを壊してしまう。
3シリーズや1シリーズに搭載されているN46型の直4DOHC。オイル漏れが多いエンジンなので定期的な点検を忘れないようにしたい。
 

ターボモデルは
高圧ポンプのトラブルに注意!

335iや135iに搭載されているのが、ターボ付きの直6DOHC。このエンジンで注意したいのが高圧ポンプの不良。このポンプは燃料を高速かつ正確に圧力を高めるための重要なパーツだが、トラブルが起きるとアクセルを踏んでも加速しないといった、エンジン不調を起こす。コンピュータ診断を受けて状態を把握しておこう。
 

BMW専門修理工場
ポールポジション

在籍しているメカニックはBMWの知識が深く、ユーザーの立場に立った整備プランを提案してくれる。中古車販売も行なっており、希少なアルピナなどを扱っている。BMW専門の修理工場だけあって、納車整備は万全だ。
高年式モデルの現状を把握するために欠かせないのがコンピュータ診断機。センサーや電子ユニットを多数搭載している高年式モデルでは、診断機を使った点検が必須となる。現行モデルにも対応した診断機も用意している。
先代モデルなどの高年式からネオクラシックまで、多くの整備実績を持つBMW専門修理工場がポールポジション。車検やメンテナンスはもちろんのこと、重整備まで対応してくれる。豊富な経験による的確な診断には定評がある。
 
■ 所在地:神奈川県横浜市都筑区池辺町1820-3
■ ☎:045-945-1331
■ URL: http://www.poleposition.co.jp/