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【メンテのお悩み相談室 vol.07】ATのオーバーホール

編集部に寄せられたアンケートやメール、さらにはキャラバン会場で聞いたーザーの悩みを解決するコーナー。ここではメンテナンスに関するQ&Aを紹介したい。いざという時に役立つ保存版だ。第7回は「エンジン警告灯が点灯」だ。

Q : メルセデス・ベンツに乗っています。走行10万kmで機械式のATなんですが、まだ一度もオーバーホールはしていません。いずれ修理が必要になると思いますが、どのタイミングが良いのでしょうか?(埼玉県・G.Mさん)

 

A : OHは自分のATがベース
状態によって費用も変わる

 ATは消耗品であるため、長く使っていけばいずれ修理が必要になる。これは機械式だけでなく、電子制御式でも同じこと。また、突発的な不良により修理が必要なケースも出てくる。そんなときの対処法として考えられるのが、オーバーホールかリビルト交換かという選択だ。
 オーバーホールは愛車に搭載されているATをベースに、各部の徹底的な洗浄、消耗品の交換、調整などが行なわれる。自分のクルマに搭載されているATがベースになるので、コンディションが悪ければ交換するパーツも増えていくことになる。変速ショックが大きくなっていたり、変速時にタイムラグがあるにもかかわらず走行を続ければAT内部のダメージはさらに深刻になっていく。
 電子制御式の場合は、どこかに不具合があるとエマージェンシーモードに入り3速固定になるのでトラブルが起きたことをすぐに理解できるが、機械式の場合は、自分で認識しておかないと突然バックしなくなるといったケースに陥ることが多い。
 これからも長く快適に乗っていくなら、定期的にプロに診断してもらい、症状がひどくなる前にオーバーホールをしておくのがベスト。
 費用は工場によって異なるが、機械式4速なら30万円くらいが相場。症状やATのタイプによって変動するのが一般的だが、定額制を導入している工場もある。また、オーバーホールは知識や技術がモノを言う作業なので、信頼できるメカニックに依頼することが大切だ。パーツの再使用が可能かどうかの判断にノウハウがあるのだ。
 電子制御式ATは基板、コントロールユニット、センサーなどの不良が原因でトラブルが起きることが多い。これらは単体で交換できるケースもあるので、エマージェンシーモードに入ったからといってオーバーホールが必要になるというわけではない。それだけに専門のメカニックに正しい診断をしてもらうことが重要になってくる。
 オーバーホール以外の選択肢としてはリビルト交換がある。リビルト品はATケース以外のほとんどの消耗パーツが交換されているので新品交換に近い手法。費用の面ではオーバーホールに比べて倍以上となることが多いが、それだけ安心感は高いと言える。ディーラーでは基本的にリビルト交換だ。
 また、中古への載せ換えという手もある。費用的にはもっともリーズナブルではあるが、AT内部を確認できるわけではないのでトラブル再発のリスクを考えるとあまりお勧めはできない。それに脱着工賃もかかるのでそのあたりも含めて、検討してもらいたい。
ATの内部にはクラッチディスクの摩材やスラッジなどが溜まってしまう。これがバルブボディの油圧ラインを詰まらせ、変速不良などを起こすのである。
ATの頭脳とも言えるバルブボディには非常に細かな部品が使用されている。オーバーホール時にはこうしたパーツを徹底的に洗浄し、消耗品は新品に交換される。
ATを降ろして徹底的に洗浄するのもオーバーホールの重要な作業である。
消耗品は新品に交換されるが、再使用な可能なパーツは洗浄して使うのがオーバーホール。そのためメカニックの判断がとても重要になる。経験豊富な工場に依頼するようにしたい。