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【メンテのお悩み相談室 vol.05】いよいよエンジンがかからない

編集部に寄せられたアンケートやメール、さらにはキャラバン会場で聞いたーザーの悩みを解決するコーナー。ここではメンテナンスに関するQ&Aを紹介したい。いざという時に役立つ保存版だ。第5回は「いよいよエンジンがかからない場合」だ。

Q : 出先でエンジンが全く掛からなくなってしまいました。もう二度とこんな思いはしたくないので、何かアドバイスをください。(静岡県・T.Yさん)

 

A : ホットスタート時の始動不良は
その場で試せる対処策が少ない

コールドスタート時は難なくエンジンがかかったのに、出先で突然で始動不良となる場合、クランクポジションセンサーの不良が考えられる。多くのドイツ車で発生しているトラブルだ。
 
 出先でのトラブルパターンとして多いのが、エンジンを一度切って、しばらくして再始動しようとするとかからないというケース。これもバッテリーが弱ってスターターが回らないという場合を除くと、センサー系に問題がある場合が多い。
 突然のトラブルという時は、クランクやカムのポジションを見ているセンサーの不良が疑わしい。時々かかりずらい場合があって、正常にかかることもあるという時は、エアマスセンサーの不良が考えられる。80年代のBMWなど旧式のフラップを用いたエアマスセンサーを使用しているクルマの場合は、エアマスセンサーの不良でエンジンが暖まっている時だけまったく始動できず、冷めると何の問題もなかったようにかかるという症状もよくある。
 さらに古いキャブレター式や機械式噴射のクルマの場合は、夏場などにエンジンの動力を利用して燃料を送り込む機械式の燃料ポンプや配管の内部などで熱によってガソリンが気化してしまうパーコレーションが発生して、エンジンがまったく始動できなくなることもある。これも冷えてしまえば何事もなかったように再始動可能になる場合がほとんど。これを予防するために、電磁式の燃料ポンプに交換するというのは定番の対策だ。 
 ホットスタートにおける始動不良は、その場で試せる対処策があまりないというのが現実。バッテリーに十分な電気があることが確認できる場合は、しばらく時間を置いてエンジンを冷ましてから、再度キーを回してチャレンジしてみるというのが現実的な方法だろう。高年式モデルに多いクランクポジションセンサーのトラブルによる場合も、意外にこれで再始動できてしまうことがある。
 高年式モデルであればコンピュータ診断を定期的に受けておくことが大事。センサーのトラブルは前兆がないケースも多いので、やはり定期点検が重要なのである。
古めのBMWなどに採用されているフラップ式のエアマスセンサー。冷間時は問題ないのに温間時にエンジン始動不良に陥ることもある。エンジンが冷えるまで待つのも手だ。
カムのポジションを検知しているカムシャフトセンサーの不良によってエンジンがかからなくなることがある。コンピュータ診断を受けて、しばらく交換していないなら予防整備しておきたい。
リレーのトラブルによって突然エンジンがかからなくのはよくあること。燃料ポンプリレーはその代表的なポイントなので、予備を積んでおき、いざというときに備えておくと安心だ。
インタンク式の燃料ポンプは内部のゴムシールが劣化してボロボロになりフィルターを詰まらせ、エンジンの始動不良などを引き起こすことがある。ここは定期的に交換していくしかない。