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【クラシック&ヤングクラシックを楽しむ Mercedes-Benz & BMW】濃厚すぎる趣味車を所有する憧れのカーライフ

 根強い人気を誇る角目世代のメルセデス。往年のメルセデスらしい合理的な作りや他のクルマでは味わえない重厚なフィーリングは、多くのファンを魅了し続けている。そんな角目フリークが一目置く存在が空冷ポルシェ。ここでは、角目メルセデスと空冷ポルシェの2台を紹介しながら、濃厚すぎる憧れの2台体制について解説していこう。

メルセデス&ポルシェと過ごす至福の時間

Sクラスとして2代目にあたるのがW126。直6エンジンを積んだモデルもあるが、やはり別格なのがロングボディにV8を搭載した560SEL。通称「ゴーロクマル」と呼ばれ、今でも多くのファンを魅了し続けている。メッキを多用し高級感を演出しているのもこの時代の特徴。

成功者のシンボルだった2代目のSクラス

 『最善か無か』。世界最高峰の実用車として人気があったメルセデス・ベンツSクラス・W126は、1979年から1991年までの12年間生産された名車中の名車だ。その販売台数は89万2123台にのぼる。安全と性能が全てであり『最善か無か』の設計思想から生まれたW126は、F1ドライバーの間でも人気があった。1983年のF1世界選手権ではニキ・ラウダやナイジェル・マンセルなど35人のドライバーのうち実に20人がW126をプライベートで運転していたという。
 1980年代から1990年初頭にかけて日本が好景気に沸いたバブル時代、良質な高級車の数多くが日本へ輸入されていた。その中でも560SELはスペシャルな存在であり、新車価格は1355万円と一般ユーザーには夢のクルマだった。そのため成功者のシンボルであり、メルセデス・ベンツの最高峰として誰もが憧れるクルマとなっていた。ちなみに、正規輸入された日本仕様の560SELの最高出力は285psであったのに対し、本国仕様は300psと高出力であったため、当時は並行輸入が盛んに行なわれていた時代でもあった。
 そんなW126には伝統的な機械式制御が搭載され、その走りは重厚なフィーリング。しなやかでダイレクト感があり運転する楽しみを味わうことができる。高速道路を走るとよく分かるのだが、路面に張り付くようなその走りはしっとりとしていて、高い走行安定性を披露する。とても新車から30年以上が経過したクルマとは思えないほど上質な走りは今でも決して色あせることなく、乗り手を魅了する特別なクルマであることを実感させられるはず。
 今回取材したのは本国仕様で、新車並行の最高出力300ps、最大トルク46.4㎏ーmを発揮する560SEL。オーナーのOさんも「トルクで走るこの感じが良いんだよね!」とご満悦だ。Oさんは、このクルマの他にも280E(W124)やポルシェ911カレラ(930)、911ターボ(964)など複数台所有しながら、本年さらに190E(W201)を増車したというドイツ車フリーク。
 撮影のために特別に乗ってきてもらったポルシェ911カレラは、世界的に有名な大物俳優T氏が1987年に仕事でヨーロッパへ行った際に、ひと目惚れをして衝動買いをしたクルマなのだという。パワーシートやウッドパネルなど当時としては高級車に許された希少な装備を備える。外装はフェルセングリーンメタリックで、内装はボディと同色の本革シート。ステアリングにはポルシェのエンブレムが装着されるなど、さりげなくオシャレな仕上がりとなっている。
 新車時のオーナーであるT氏は、ダッシュボードの左右下側に小物入れを追加し、アロイホイールをボディ同色にするなどこだわりの装備を追加発注したという。シフトノブには自らのイニシャル「KT」をあしらい、世界に一つだけのオリジナリティで仕上げている。
 そのため、ポルシェが日本に到着するまでに3ヶ月以上を要し、納車された時にT氏は、購入したことをすっかり忘れていたというエピソードまで残っているそうだ。
 現在のオーナーであるOさんは「空冷ポルシェの89年式は高速で乗りやすいけど、87年式は街中で乗りやすい」と満面の笑みで空冷ポルシェのテイスティングを教えてくれた。
 角目メルセデスと空冷ポルシェ。クルマを趣味にする人にとってこの2台は最高の組み合わせだろう。荒々しく、ドライバーの腕を試されるようなリアルスポーツカーである空冷ポルシェ。一方、普段使いからロングドライブまで安心、安全に移動できる角目メルセデス。趣味車としてのフィーリングが全く異なるこの2台は、オーナーであるOさんに至福の時間を与え続けていくはずだ。

オーナーの所有感が極めて高い
メルセデスとポルシェの2台体制

テールランプは凹凸がつけられており、悪天候にレンズが泥や雪で汚れてもその凹みでその視認性が確保できるように配慮されている。
上質なウッドを贅沢に使ったインテリア。インパネ周りはシンプルで操作性と使いやすさにこだわった配置がなされている。コンディションは良好で現オーナーが大切に扱っているのがうかがえる。
W126のシートはスプリングが利いた独特なもので、絶品の座り心地。地長距離ドライブでも疲れにくいのは、さすがメルセデス。室内はキレイで社外ナビゲーション以外、オリジナルの状態を維持している。
タイヤは静粛性に優れるブリヂストンのレグノをチョイス。トランスミッションは機械式の4速タイプで、機械式ならではのダイレクトなフィーリングを味わえる。30年以上前のクルマだが、当時最高峰の高級車ゆえパワーウインドー、エアコンなど基本的な快適装備は揃っている。
搭載するエンジンは5.6ℓのV8SOHC。アルミを用いて軽量化が図られているが、ブロック自体は長く使われてきたもの。それだけ高い完成度と耐久性を持っていたということだ。メンテナンスはW124専門店のアイディングで実施している。
 
ポルシェと言ったらこのカタチというのは、角目メルセデスファンでも同様なはず。ナロー時代よりも若干ワイドなボディとなっているカレラ。
ウッドパネルをあしらった個性的なインテリア。シフトノブには新車時オーナーのイニシャル「KT」が刻印されている。
改良を進めながら排気量をアップしてきた930。そのため年式によってフィーリングが異なるのが面白いところ。
当初の930は北米の厳しい安全基準に適合させるため、ウレタン製の大型バンパーを装着。実際にNAの911が930シャシーになったのは76年から。87年にはトランスミッションがワーナーシンクロタイプに変更されている。ターボモデルは人気があるが、流通台数が少ないため希少価値が高まっている。