SL65 AMG Black Serie
どこを見てもスペシャルな
ブラックシリーズ
エンジンこそアファルターバッハの専用工場で組み立てられているが、通常のモデルと同様にラインで大量生産されている現在のAMGメルセデス。それとはまったく違った価値を持つ、飛び切りスペシャルなモデルがブラックシリーズだ。2006年にオープンした愛車のスペシャルオーダーを求める特別なカスタマーのためのアトリエ「パフォーマンス・スタジオ」が送り出す、限定仕様のフラッグシップモデルだけに与えられる称号なのである。
さらなるチューニングが加えられた最強の出力を誇るエンジンに、存在感のあるアグレッシブなラインを描くワイドボディ、そして専用の足回りやブレーキシステムを組み込んでサーキットレベルまで高められたパフォーマンス。ラグジュアリー方向とは違った、最上級のスポーツ性能を持つ最高レベルの高級車として、唯一無二の存在感を放っている。もちろんユーザーのニーズに合わせ、さらなるカスタマイズを加えることも可能。完全なハンドメイドで仕上げられるボディや内装のスペシャルメイクと合わせ、まるでチューニングファクトリーで手作りされていた時代のAMGを再現したかのような手間と時間をかけて贅沢に作られているのがブラックシリーズなのだ。
ブラックシリーズは、06年のSLK55AMGブラックシリーズを皮切りに、翌年にはCLK63AMGブラックシリーズが登場。これらは日本へは導入されなかったものの、08年には世界限定350台で生産されたSL65AMGブラックシリーズのうち12台が日本へ割り当てられ、正規輸入という形で販売されている。さらに、CクラスのクーペをベースとしたC63AMGクーペブラックシリーズを、日本限定50台の予定で予約販売している。
さて、撮影したのは正規輸入台数が12台というスペシャル感たっぷりのSL65AMGブラックシリーズである。
SLクラスはオープンモデルだが、ブラックシリーズではクーペとし、ドアパネル以外はドライカーボンを採用している。トレッドは約100mm拡大されており、レースカーのような圧倒的な迫力を感じさせる。
エンジンはV12をベースにチューニングが施され、最高出力は670ps/最大トルク101.9kg‐mというスペックで、最高速度は320km/hとされている。ノーマルモデルではABC(アクティブ・ボディ・コントロール)が搭載されているが、ブラックシリーズは全長調整式コイルサスペンションに変更されている。もはや、サーキットレベルでも十分に通用する圧倒的なパフォーマンスを発揮するのだ。
飛び抜けたスペックとド派手な出で立ちのブラックシリーズは、かつてのAMGがそうであったように、これからもクルマ好きの視線を釘付けにするに違いない。いつの時代も特別なニーズに応える確かな技術力を持つのがAMGなのである。