冬タイヤの主流は、言うまでもなく「スタッドレスタイヤ」。降雪地域に住んでいると早ければ2年毎に買い替えるユーザーもいるというが、装着時に雪道や凍った路面を走るとその安心感に驚かされる。しかも氷上性能を中心に年々進化している。ただし近年は「オールシーズンタイヤ」という、新機軸のタイヤも登場した。その名の通り、1年中履き続けられるタイヤとされ、多くのタイヤメーカーからリリースされている。では冬用タイヤの定番、スタッドレスタイヤとの違いとは?
ここではまず「専用タイヤ設計」という思想を提唱して、4WD・SUV専用という位置付けでリリースされているトーヨータイヤのラインアップを例に両者について考えてみよう。
同社の新世代のスタッドレスタイヤのひとつが『OBSERVE GSi-6(オブザーブ・ジーエスアイシックス)』。そしてオールシーズンタイヤに位置付けられているのが『CELSIUS(セルシアス)』だ。
ちなみに降雪地域にはスタッドレス、非降雪地域にはオールシーズン、というイメージが強いがその考えは間違っている。オールシーズンタイヤとスタッドレスタイヤ、そして、サマータイヤの路面適合表を基にどういった性質があるかを検証してみよう。
OBSERVE GSi-6
まず『GSi‐6』は「雪道を安心して走りたい」という、安心感や安定性を重視するユーザーに最適なスタッドレスタイヤだ。昨シーズン先行発売していた2サイズに加え、15インチから20インチまで15サイズを拡充して全17サイズで展開。ジムニーからデリカ、ランクルやラングラーまで、国内に流通する4WD・SUVの主要サイズをほぼ網羅する。
前モデル『GSi‐5』からの大きな進化点は、スノーとウェット路面での制動性能を向上させたこと。無数のサイプが除水とエッジ効果を発揮することで、ブレーキ性能だけでなく安定したハンドリングをも実現している。まさにバランス重視型のスタッドレスタイヤが、より一層グレードアップしている。
一特長を表す技術的キーワード一
○ジグザグ4本主溝 ○セレーテッドスタビリティリブ
○スウィングサイプ ○スパイラルエッジサイプ
○3Dグリップサイプ ○ショルダーライトニングエッジ
○シャープアングルエッジ ○連通スリット ○ファーストエッジ加工
●構造
○グリップシリカコンパウンド ○プロファイルの最適化
新設計のパターンデザインが生む高いグリップ力と操縦安定性!
CELSIUS
一方「セルシアス」は、路面と接するトレッド面のブロックや溝のデザインが左右で異なる非対称パターンを採用していることが特徴だ。もちろん、その非対称のトレッドパターンは単なる見た目にあらず。サマータイヤに求められるドライ・ウェット路面への制動性能を確保しながら、左右非対称のトレッドパターンによって、降雪時にもしっかり路面をとらえるスノー性能を発揮する特長を持つ。毎冬備える豪雪地帯ならともかく、日本の都市部において予期しない大雪に突如遭遇するシチュエーションが近年増えている。このセルシアスは〝高速道路での冬タイヤ規制〟にも対応するタイヤで、一時的な積雪に見舞われても、変化する路面に対応した性能を発揮することができる。
それもそのはず、国連欧州経済委員会に規定された、シビアなスノー要件を満たしたタイヤにのみ認められる「スノーフレークマーク」が打刻されているのだ。スノー性能はいわゆるM+S(マッド&スノー)よりも高く、突然の降雪でも安心感のある走りが可能だ。また季節の変わり目にタイヤ入れ替えのメンテナンスが発生しないという利便性は大いなる魅力だ。
一方のOUTSIDE側はドライ・ウェット性能を重視したトレッドパターンだ。溝底補強ブロックによる接地性の向上や、周方向連結ブロックは高い操縦安定性に貢献。さらに内側と同じく、グリップに効果的な3Dグリップを外側にも共通で採用している。
★=XL/EXTRA LOAD規格(負荷能力強化タイプ)
※非対称パターを採用しているため、外側と内側で役割が違います。
正しく装着してください。タイヤサイド部に「OUTSIDE」「INSIDE」 の刻印があり、ホイール外側(表側)とタイヤの「OUTSIDE」が 揃うようにホイールをセットしてください。
※このタイヤには回転方向がありません。
- TOYO TIRES
- https://www.toyotires.co.jp
●取材協力●