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4×4エンジニアリングサービスがススメるサスペンション・ステップアップ・チューン

現行型ジムニー&ジムニーシエラ、JB64&74が人気だ。街や山道で見かける機会も増えてきているし、納車待ちもまだまだ長い。さらにユーザー層も、従来のベテランジムニー乗りはもちろん、本格的なオフロード車は初めて、なんて方々にも広がっている。
 そしてジムニー&シエラといえば、カスタム。外装やタイヤ&ホイールをいじるのはいいとして、問題はサスペンション。人気車になっただけに、新たに参入してくるカスタム業者も多く、様々なキャラクターの“足回り”が登場している。いったいどれを選んだらいいのか…悩んでしまうオーナーも多いことだろう。
 そこで今回、よりよいサスペンションを選ぶため、4WDパーツの老舗「4×4エンジニアリングサービス(以下、ES)」が、ひとつの指針を示してくれた。コンセプトは“サスペンション・ステップアップ・チューン”。サスペンションというと、すべてのパーツを一気に装着、つまりキットで装着してしまいがち。しかし、そのキットが自分の乗り方に合わないものだったら…。
 そこでESが推奨するのは、1つ1つのパーツを吟味しながら装着していくこと。ステップアップを重ねながら、自分にふさわしいサスペンション・セッティングを探っていこうという方法だ。これならお金も無駄にならないし、自分のテクニックを磨いていくことにもつながる。さあ、老舗のノウハウに学ぶことにしよう!

 ショックアブソーバー→30㎜アップコイルスプリング→タイヤ&ホイール→各部補正と、順を追ったサスペンションカスタムを奨励する老舗パーツメーカー「4×4ES」。もちろんこれらを一度に装着してしまうカスタムもいいだろう。ESのキットなら、それこそ失敗はないはずだ。
 しかし、各パーツの働きを確認しながら、愛車を乗りこなしてほしいからこそ、ESはステップアップ・チューンしてほしいという。ジムニー&シエラは永く付き合っていけるクルマだ。少しずつ愛車の変化を味わっていけば、愛着はより永く続いていくだろう。さらに、自分の愛車との付き合い方…たとえば街乗り中心なのか、オフロードを攻めたいのか…も分かってくるはず。パーツ代を無駄にしないためにも、ステップアップ・チューンに挑戦してみてはどうだろう?

◆まずはノーマル状態をチェック!

・モデル車両:ジムニーシエラJB74

地面からフェンダー下までの距離
 前:789㎜(左側)
 後:809㎜(左側)

今回のレポートでこだわりたいのは“数値”。サスペンション・チューニングは何をもたらしてくれるのか? まずはノーマルの車高をチェック。もちろんタイヤも純正の195/80R15を装着、外径は約693㎜、総幅は約196㎜。地面からフェンダーの一番高い所までの距離を計測、やや尻上がりな結果だった。

◆STEP1

ショックアブソーバーの交換のみでも走りは強化できる!

ESがススメるサスペンションチューン、そのステップ1は、ショックアブソーバーの交換だ。ノーマルのフラフラする乗り心地も、大きな穴に突っ込んだ時の底付きも、ショックの交換でほぼ解消することはできる。ただし、その後リフトアップを考えるなら、ストローク量の多いショックを選ぶこと。今回の例、「ビッグカントリー・ショックアブソーバー」はノーマル・スプリングに対応しながら、30㎜リフトアップのストロークにも対応する。

フロント

純正スプリング対応の強化ショックアブソーバーというと、ストローク量もノーマルに合わせているものが多いのだが…。

リア

ビッグカントリーは純正スプリングに合わせたセッティングを可能にしながら、ストローク量も30㎜アップに対応できる設計なのだ。

ビッグカントリー・ショックアブソーバー

JB74用はフロント最大長440・最小長294㎜、リヤ最大長475・最小長307㎜。0~30㎜アップのコイルスプリングに対応する。減衰力は前後とも14段可変式、4番が純正相当の減衰力となる。さらにフロント用には周波数感応で乗り心地と操縦性を両立する“ハーモフレック機構”も内蔵。

左:35㎜
右:40㎜

ショック交換後、リヤのホイールがどのくらいの数値でフェンダー内に収まっているのか確認してみる。結果は左側35㎜、右側40㎜。この数値はノーマル・ショックアブソーバー時と変化なし。つまりもともとタイヤ位置は左右で5㎜、ズレているということになる。

◆STEP2

ショックアブソーバー+30㎜アップコイル
リフトアップの理由は走破性向上と大径タイヤ装着にあり

通常ならサスペンションチューンの真っ先に考えたいコイルスプリングの交換=リフトアップ(ローダウンもありうるが…)だが、ESとしてはショック交換の次に考えたいとのこと。リフトアップの理由はサス・ストローク量の増量、対地性能のアップ、そして最低地上高を稼いだり乗り上げ性能を向上できる大径タイヤの装着、などだろうか?ESが用意するのは30㎜アップコイル。すべての道を走りきるベストバランスだ。

カントリーサスペンション30㎜アップコイル

ジムニー&ジムニーシエラのためにESが用意したのは30㎜アップのコイルスプリング。このリフト量までなら基本的に他の補正も必要とせず、コイルとショックのみの交換でOK。バネレートはフロント17.0~20.5、リヤ19.0~23.0N/㎜。
30㎜アップとはいえ、ノーマルコイルと比較しても自由長の差は明らか。サスペンションストロークを増加させながら、リフトアップも実現、対地アングルも各部、アップするのだ。
●リフトアップ前

●リフトアップ後

地面からの距離
789→824㎜(左前)
809→833㎜(左後)

ノーマル時に測った地面からフェンダーの一番高いところまでの距離を、30㎜アップコイルスプリングへ交換後も測ってみた。タイヤはノーマルのままなので、それは影響なし。スプリング交換後は、フロントで35㎜アップ、リヤで24㎜アップ。やや尻上がりなスタイルが矯正された。

ショック交換後に測ったリヤのホイールの出具合を、同様にコイルスプリング交換後にも測ってみた。数値は左側39㎜、右側34㎜。不思議と数字が揃ってくることに。ホーシングのズレも収まっているので、ラテラルロッドもノーマルのままイケそう。

◆STEP3

ショックアブソーバー+30㎜アップ+タイヤ&ホイール
行動半径を拡げるタイヤ&ホイールの選択

リフトアップの理由の1つに大径タイヤを装着のため、ということがある。乗り越え性能、最低地上高アップ、そしてタイヤのキャラクターにより、それに適応した走行性能を向上できるのだ。今回はESの誇る「ブラッドレーV」ホイールに、LT215/70R16サイズのタイヤを組み合わせた。

ブラッドレーVは6.0J×16(-6)というスペック。215㎜幅のタイヤに対し、シエラのフェンダーにツライチに収まる。タイヤの外径は約710㎜、純正より約20㎜、大径だ。

◆STEP4

ここまでやればカンペキ!
走りにこだわるならアライメントはけっこう大事!

ESのリリースするジムニー&ジムニーシエラ用カントリサスペンションキットは、ショックアブソーバーと30㎜アップコイルスプリングの交換だけで、基本的なセットアップは完了。STEO2で計測したように、左右両輪のズレもさほど大きくなく許容範囲で、走行性能も十分、確保される。しかし、綿密に言えば、キャスターやトーインといったホイールアライメントにはズレが。最後のSTEPではそこにもこだわりたい!

ESの商品開発には光学式のアライメントテスターを使用。ジムニー&シエラは前後リジッドサスペンションだが、トーインやキャスターの調整は可能だ。

ラテラルロッドを調整式に

コイルリジッドサスペンションは、コイルスプリングでリフトアップするとホーシングとボディにズレが生じ、純正ラテラルロッドでは長さが足りなくなる。それを調整するための変換パーツだ。

偏芯キャスターブッシュに変更

リフトアップコイルに変更すると、やはりリーディングアームの長さが足りなくなり、キャスター角が立ってくる。すると操縦性に問題が…。そのキャスター角を正常に戻すのがリーディングアーム先端に仕込む偏芯ブッシュだ。

ステアリングダンパーに変更

直接的にアライメントに関係するパーツではないが、リフトアップコイルによりコーナリングのロールが大きくなった時に、その抑制に。また大径かつ太いタイヤを履いた時にハンドリングをサポートするのがステアリングダンパーだ。
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