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2022.11.20

3年振りに開催されるアジアクロスカントリーラリー参戦を「ジオランダー」が全力でサポート!

 ダカールラリーの前哨戦…といった意味合いも強いが『チームランドクルーザー・トヨタオートボデー(TLC)』のランドクルーザー300がモロッコラリー2022において無事に全ステージを完走したこと、さらに技術支援というカタチでダカールラリー2連覇の経験をもつ増岡浩氏が総監督として参画する『TEAM MITSUBISHI RALLIART(チーム三菱ラリーアート)』が、「アジアクロスカントリーラリー(以下、AXCR)2022」のT1クラスで上位入賞を目指すなど…4WD・SUVの人気の高まりに呼応するように、オフロードレースと本格4WDの関係が往年のそれを感じさせるように、密接したものとなってきている。
 この流れは参戦車両をサポートするタイヤメーカーも同じ。こうしたレース活動に賛同したのが横浜ゴムだ。

 11月21日~26日にかけて開催されるアジア最大のクロスカントリーラリー・AXCR 2022に挑むチーム三菱ラリーアートに、4WD・SUV&ピックアップトラック用タイヤシリーズ『GEOLANDAR(ジオランダー)』のマッドテレーンタイヤ『GEOLANDAR M/T G003』を供給する。
 これは横浜ゴムが現在モータースポーツ活動を技術開発とGEOLANDARブランド強化の場と位置付け、トップカテゴリーからグラスルーツカテゴリーまで国内外の多岐にわたるモータースポーツ競技に参戦しているがゆえ。
 さらに同じAXCR 2022には、同ラリーの常連とでもいうべきドライバーも参戦を表明。それが青木拓磨選手と塙郁夫選手で、この2人にも横浜ゴムは同じく『GEOLANDAR M/T G003』を供給。そして、TOYOTA GAZOO Racing IndonesiaおよびTCD Asia Pacific Indonesiaのサポートを受けて、チーム『FORTUNER GEOLANDAR Takuma-GP』からトヨタ・フォーチュナーの2台体制でAXCR 2022に参戦するという。

 今回は過去にAXCRで幾度も戦ってきた両選手がタッグを組んだチーム体制となるが、アジアを中心に高い人気で販売されているフレームタイプSUV『フォーチュナー』が投入されていることも注目のポイントだ。
 さてここからは、AXCRである意味〝チーム・ジオランダー〟の仲間と言ってもいい3人のキーマンに、AXCR参戦についてうかがうとともに、それぞれのマシンが装着するジオランダータイヤ『GEOLANDAR M/T G003』についても聞いてみた。
 チーム三菱ラリーアート総監督である増岡浩氏は、今回の参戦やドライバー、マシンについてこう語った。
「実力あるドライバーを迎えてラリーに参戦できることを光栄に思います。リファットはスプリントラリーでの実績は十分ですから、長丁場のクロスカントリーラリーの戦い方をチームとしてマネジメントすれば良いパフォーマンスを発揮してくれるでしょう。チャヤポンはクロスカントリーラリーでの経験も豊富で、乗る度にパフォーマンスが上がっており期待が持てます。『トライトン』も2回の耐久試験を通じて問題点を洗い出し、それらを克服することができました」
 過酷状況を想定したテストを耐え、AXCR本戦の足もととして、トライトンに選ばれているのは『ジオランダー M/T G003』のLT265/70R17サイズとWORK CRAG T-GRABICⅡスペシャルカラー(17×8.0J)の組み合わせだ。走破性はもちろん、耐久性についても大きな問題はなく、チーム三菱ラリーアートをしっかりとサポートしてくれるだろう。増岡総監督はさらに「11月のシェイクダウンテストを実施して本番に臨みますが、私たちの『トライトン』は順調に仕上がっており、2人のドライバーは力強く逞しい走りを披露してくれると思います」と、自信をのぞかせるコメントをしている。

■チーム三菱ラリーアート

今回、チーム三菱ラリーアートが運営するタントスポーツ(タイ)から、インドネシアのスプリントラリー選手権王者のリファット・サンガー選手(インドネシア)と、タイのクロスカントリーラリーで優勝経験のあるチャヤポン・ヨーター選手(タイ)がドライバーとして参戦。一方で、経験豊富なサクチャイ・ハーントラクーン選手(タイ)が両ドライバーをサポート。増岡浩総監督のもと、チーム三菱ラリーアートはこの3台体制でAXCR 2022での総合優勝を虎視眈々と狙う。
チーム三菱ラリーアートのドライバーとして、8月の今回初めて『トライトン』を初めてドライブしたリファット選手は、「ラリードライバーは異なるコーナーをいくつも駆け抜けていきます。だからこそ重要なのは、ドライバーの意のままの操縦性と走破性、悪路をものともしない高い耐久性と信頼性。そして、的確かつ迅速にナビゲートしてくれる優秀なコ・ドライバーの存在です。今回、『トライトン』は、悪路走破性と耐久性が飛躍的に高められていることを確認できました」と語る。
 一方で前回6月の耐久試験から引き続き参加したチャヤポンは、本番を想定したスピードで走行。さらに手応えをつかんだ。
「ラリーはスピードがすべてではありません。ドライバーとクルマとの一体感を極限まで高め、攻めるところと守るところ、緩急をしっかりコントロールしていくことが、勝利を収めるために重要なことです。私たちの『トライトン』は操作に対して、正確かつ俊敏に反応する素晴らしい仕上がりとなりました」トロールしていくことが、勝利を収めるために重要なことです。私たちの『トライトン』は操作に対して正確かつ俊敏に反応する素晴らしい仕上がりとなりました」と述べている。
写真はチーム三菱ラリーアートが、AXCR本番を想定して8月にタイ西部カンチャナブリーのオフロードコース「グランプリ・モーターパーク」で3日間約1,100㎞の耐久試験を実施した時の模様。

ミスター・ジオランダー塙選手と初タッグとなる2台体制で目指すはAXCR 2022での〝総合優勝〟

チーム三菱ラリーアートが今回参戦マシンとしたのは新型トライトンだが、AXCRにおける〝ラリーアート・トライトン〟というと思い出されることがある。それがAXCR2022に、チーム『FORTUNER GEOLANDAR Takuma-GP』で参戦する青木拓磨(あおき・たくま)選手だ。2007年に初めて拓磨選手がAXCRに参戦した時の車両も、奇しくもラリーアート・トライトンだったのだ。
  このトライトンはアクセルやブレーキなどをすべて手で操作するハンドドライブ仕様。これが1998年の2輪練習走行中の事故で脊髄を損傷して以来、車椅子生活を余儀なくされながら、モータースポーツの啓蒙にいそしんできた拓磨選手がドライバーに転向するキッカケでもあった。
「初参戦のAXCR2007で完走・総合7位となり、翌2008年はいすゞ・D-MAXに乗り換えてT2‐Dクラスで優勝、2011年に総合3位となりましたが、参戦車両は結構変遷していますね。D-MAXの後は同じいすゞのMu‐Xで、2017年に現TCD ASIA PACIFIC INDONESIAの小原社長などからサポートを受けて、マシンは今も乗っているトヨタ・フォーチュナーになりました」
 コロナ禍ということもあって、最後にAXCRに参戦した2019年からブランクは空いてしまったが、拓磨選手の心の炎は決して消えなかった。
「クラス優勝は過去にありましたが、今回はさらにその上の総合優勝を目指していきます」と目標を掲げている。過去2回の参戦、フォーチュナーでは3回目の挑戦であり、2回のチャレンジからのフィードバックで車両はかなりの仕上がりをみせている。その上でのさらなる秘策が、2台体制での参戦だ。しかもサポートカー的要素の強い2号車を駆るのは、オフロード・レジェンドながら今なお現役ドライバーである塙 郁夫(はなわ・いくお)選手。1号車の青木拓磨選手をがっちりとサポートして、2台体制で上位入賞が目標だ。
 さて、参戦車種は都度変わってきたが、その足もとは2007年に初めてサポートを受けてから、ずっとジオランダー。
「当初使っていたM/T+と比較して、今のジオランダーM/T G003はオフロード性能、耐久性の面で非常に優れています。また、剛性の高いフォーチューナーとの相性も非常に良いですね。最後にAXCRに参戦した2019年のタイヤもG003でしたが、その時もパンクなどのトラブルはなかったですし、トラクション性能や耐久性の高さには絶対的な信頼がありますね」
 ジオランダーといえば、忘れてはいけないのが〝ミスター・ジオランダー〟こと塙郁夫選手。今回の2号車ドライバーでもある。2台のトヨタ・フォーチュナーは、基本的なモディファイポイントはほとんど同じ。唯一の違いとも言えるのがリアサスにあるとか。ここからはAXCRとは何ぞやというインタビューをしつつ、その魅力を塙選手にも語っていただこう。
「AXCRは国際ラリーレイドではあるんだけど、その路面的に日本の四駆ファンがオフロードで遊んでいる場所の延長線上にあるような印象があるんですよね。だからAXCRに参戦する我々は勝利することを目標としながら、それだけを目指しているワケではありません。例えばM/Tタイヤの耐久テストやバージョンアップへのトライ、あとはオフロードファンに向けて『こんなに使えるんだよ』っていうのをアピールするのも仕事なのかと思います」
 ちなみに、意外にも塙選手は、AXCRにドライバーで挑戦するのは今回が3度目だという。
「2015年はTEAM JAOSのドライバーとしてFJクルーザーに乗って、自分のハイラックスで参戦した2018年が前回。ただし僕はサポーターとして、ずっと裏方でAXCR自体には参加していました。日本から挑戦する選手のバックアップという意味もありまして。日本の四駆好きなファンやショップのオーナーが愛車で国際ラリーレイドの舞台に年1回挑戦して腕試しをして、みんなで戦えたら楽しいだろうなって。そういうのを普及させてみたかったんです」
 AXCRっていうのは、実は一般のユーザーでも参加しやすい。簡単というワケではないが、乗り越えるハードルはそこまで高くない。今回もプライベーターがランクル300で参戦する情報もあるし、アマチュアでもAXCRに参加する者は少なくない。さらに先述の通り、世界のワークスチームやレジェンドなトップドライバーと一緒に競い合える機会は恐らく他にはないだろう。
 さて最後に、青木拓磨選手からラリーレイドの魅力を語っていただき、11月21日から始まるAXCR2022に我々も備えたい。
「元々AXCRだったり、パリ‐ダカといったラリーレイドには憧れがありました。すでにバイクのレースをやっていた中学生の頃からです。まさか自分が怪我をして、車椅子生活になってクロスカントリーラリーに出会うとは思っていなかったですけどね。

 他のレースと比べてやっぱりすごく楽しいのは、山道・ジャングル・川渡りなど、普段走れないところを全開で走りジャンプして荒野を駆け巡れること…。車椅子の場合、色々と移動に制限がかかるんです。ほんのちょっとした瓦礫やオフロードだったり、砂浜でもなかなか不自由な形になるわけで。
 でもラリーマシンに乗れば、みんなと同じように乗り越えていける。そういう走破性で、一気にバリアフリー的になって、翼が生えるような、爽快感があります。『何かを走破して超えていく』というキーワードは、僕の心に深く刺さるんです。だからずっとAXCRに挑んでいるのでしょう」。

過酷なクロスカントリーラリーを走破するために選ばれたフラッグシップマッドテレーンタイヤ 

AXCRという、過酷なクロスカントリーラリーの舞台を考慮して、タイヤはジオランダーのマッドテレーンタイヤ「ジオランダーM/T G003」を履く。ラージメッシュ・ラググルーブ、シーケンシャルサイプなどを採用して、泥や岩への安定したトラクション性能が持ち味だ。また専用サイド構造や高剛性3プライ構造、ナイロンフルカバー&大型リムプロテクター、さらにコンパウンドに新トリプルポリマーにより、耐久性は高い。これらは過去出場したAXCRでも実証済み。なお、青木琢磨さんの評価も高く「ラリーレイドのようなオフロードはもちろんですが、M/T G003Gは普段使いのオンロード性能も相当高いです。何より静粛性はM/Tタイヤとしては驚くべきレベルにあります。本当に静かで快適。四駆オーナーの皆さんに本当にオススメできるタイヤですね」とのこと。

チーム『FORTUNER GEOLANDAR Takuma-GP』のAXCR 2022の参戦マシンは、トヨタが新興国市場向けに投入している2.8ℓ1GD-FTVディーゼルエンジンを搭載したSUV、フォーチュナー(日本未発売)。1号車、2号車とも基本的には同じだが、最初からアジアクロスカントリーラリーをターゲットとしてつくられた1号車に対して、2号車はショートコースのタイムアタックを念頭に入れた仕様だとか。