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トライトン AXCR

2025.10.22

【AXCR 2025】チームの努力とチームワークにより3年ぶり2度目AXCR総合優勝!新型トライトンでは初の快挙達成!

途中2020年から2021年にかけて、コロナ禍によってキャンセルとなったこともあったが、『アジアクロスカントリーラリー(以下、AXCR)』が30周年を迎えた。このAXCRは1996年にマレーシアで誕生してから、タイ、マレーシア、ラオス、カンボジア、ベトナム、中国、ミャンマー、シンガポールといったアジア各国を舞台に開催されてきた。そして今ではFIA公認(国際自動車連盟)のアジア最大のクロスカントリーラリーとして親しまれている。
今回30周年を迎えるにあたって大会期間は2日間延長、3000㎞を遙かに超える総走行距離、そしてタイ・パタヤをスタートしてカンボジアのアンコールワットを経て、首都プノンペンに至るという遠大なルートが想定された。だが、不安定な国際情勢で実際には叶うことはなかった。とはいえ、記念大会には変わりはない。タイ王国のみでの開催となったが、2500㎞近く続く長大で過酷なコース設定で、AXCR2025は行なわれた。
三菱自動車が技術支援するチーム三菱ラリーアートは今回3台のピックアップトラック『トライトン』でAXCR2025のT1Dクラスに参戦。先述の通り、政情不安によってタイ国内のみでの開催に変更され、さらに安全のために国境付近を走行する競技区間(セレクティブセクション:SS)をキャンセルしたことで、全8LEGのうちLEG4/LEG6は移動日/休息日となる異例のスケジュールで行なわれた。
8日(金)の夜にパタヤの繁華街であるウォーキングストリートでセレモニアルスタートを実施してAXCR2025は幕を開けた。喧騒と熱気が渦巻く中、各車両がクラクションを鳴らしながらゲートをくぐり、盛り上がりは最高潮。3台のトライトンも、多くの観客から声援を浴びながら、8日間にわたるラリーに旅立った。
明けて翌日、競技初日の9日(土)のLEG1は、パタヤから内陸のプラーチーンブリーへと向かうルート。チーム三菱ラリーアートのエースであるチャヤポン・ヨーター/ピーラポン・ソムバットウォン組は総合2番手のタイムをマークし、田口 勝彦選手/保井 隆宏選手は6番手と、まずまずのスタート。一方で両選手をサポートする役割を担う小出 一登選手/千葉 栄二選手にはトラブルが勃発!前走者が巻き上げる埃で視界の悪い中、急減速した前車に追突してしまったのだ。エンジンへのダメージを考慮して、残念ながらこの日の競技続行を諦めることとなった。
プラーチーンブリーからカオヤイへと北上するLEG2。チャヤポン選手はここでも2番時計を刻み、総合首位のライバルにプレッシャーをかけ続ける。田口選手もSS4番手の好走をみせて、総合順位も5位に浮上。さらにメカニックの懸命な整備を受けて復活した車両を駆る小出選手もSS19番手のタイムと堅調なペースで、総合順位を40位から34位まで押し上げることに成功した。
カオヤイを出発して再びカオヤイに戻るLEGS3は、ライバル選手の後退もあり、SS3番手タイムで走り切ったチャヤポン選手がついに総合首位に躍り出た!

チーム三菱ラリーアートAXCR2025

三菱自動車は長年にわたり世界ラリー選手権やダカールラリーなどに参戦し、それぞれで頂点を極め、どんな天候や道でも安心して楽しめる三菱自動車らしい走りを実現させてきた。AXCRへの参戦も同様にラリーを通じて得られた技術情報をクルマづくりにフィードバックすることで、堅牢なボディとシャシー、そして優れた操縦安定性と悪路走破性といった三菱自動車の強みをさらに磨き上げている。今後も「チーム三菱ラリーアート」への技術支援を通じてモータースポーツ活動に参画し、三菱自動車のクルマづくりにかける情熱や三菱車の楽しさを引き続き発信していくという。

一方、ここまで手堅い走りを見せていた田口選手は、サスペンショントラブルが発生してコース中にストップ。クルー自ら意地の修理を施しつつ、後続の小出選手からのサポートも受けることで、なんとか中間サービスにたどり着く。そこで応急処置を受けた田口選手だが、やはりペースを上げることは叶わず総合10番手に後退…。後半戦での巻き返しを狙う。なお、サポートにまわった小出選手だが、それでもSS16番手タイムを記録し、総合順位は30位として、この日を終えた。
LEG4はカオヤイからプラーチーンブリーへの移動日にあてられ、各チームはこの日を利用してラリーカーに整備を施す。チーム三菱ラリーアートも、半日かけてじっくりとトライトンの足回りや駆動系、エンジンに整備を施す。
LEG5はLEG1と同じコースを再走するが、後半セクションでスタックしていた前走者を避けようとしたチャヤポン選手は、自らもぬかるみにスタック!脱出まで20分ほどの時間を要したものの、トライトンに大きなダメージはなく、総合首位を維持したままこの日のセクションをフィニッシュ。この日25番手でスタートとなった田口選手は、怒濤の追い上げでSSトップタイムをマークし、先行する18台を追い抜く。そして総合順位を6位に押し戻した。小出選手もリヤブレーキにトラブルを抱えて苦しい中で総合27位に。
LEG6の休息日を挟んで、いよいよAXCR2025は終盤戦へ。プラーチーンブリーからパタヤに向かうルートが設定されたLEG7は、まさに大会終盤の山場。最終日LEG8はSSの距離が短いため、この日の結果が勝敗の行方に影響を与える。チャヤポン選手はリスクを避けつつも好ペースで走行し、SS2番手タイムで、総合2番手の選手に10分12秒の差をつけて、最終日へと臨む。ちなみにこの時点での総合2位はTOYOTA GAZOO RACING THAILANDのマナ選手だった。
田口選手は前半セクションでリヤサスペンションにダメージを負ってしまったため、本来のペースを発揮できずにSS6番手・総合5位でこの日をフィニッシュ。小出選手は終盤に他の競技車両との接触があったものの、SS15番タイムで、総合23位に浮上した。
競技最終日のLEGはパタヤから再びパタヤへと戻る、SS距離69・55㎞のみ。ところが、SSスタート地点に向かう途中でチャヤポン選手のトライトンに突如トラブルが発生。昨年終盤に起きた首位陥落の悪夢が、チーム三菱ラリーアートの脳裏をよぎる…。しかし後続の小出選手らもサポートに加わって修復作業が行なわれる。懸命な修理の甲斐あってマシンは息を吹き返した。実は水回りの単純なトラブルだったという。

修理を施してSSのスタート時刻に間に合ったチャヤポン選手に精神的な動揺はなく、それまでに築いたリードを堅調に維持。最終SSを7番手タイムでゴールする。結果、7分51秒差で総合首位の座を守り抜いて、総合優勝を達成した!
田口選手は総合5位、小出選手は総合22位でそれぞれ完走し、上位2台の合計タイムで争われるチーム賞も受賞。パタヤのバリハイ桟橋で行なわれたセレモニーでは、3台のクルーが歓喜のフィニッシュ。選手とチームメンバーは互いに健闘を讃え合った。2022年以来2度目の総合優勝であると当時に、実は新型『トライトン』で初めてのAXCR制覇でもあったのだ。

今年こそ『王座奪還』という強い意志のもとで参戦したが「例年に増して非常にタフなラリーでした」と全体を振り返った増岡総監督。マシンのモディファイやエントラントの準備など万全の体制を整えて臨んだが、やはりラリーにはアクシデントがつきもの。初日に小出選手が追突、3日目に田口選手にサスペンショントラブル、そして5日目にはトップのチャヤポン選手のスタック、さらにさまざまな困難が襲いかかった。最終的に総合優勝できたのは、トラブルによるタイムロスを最小限に抑えられたこと。まさに「チームワークの賜物」が勝利の最大の要因だった。

ラリー専用のデュアルダンパーサスペンションを装着して優れたハンドリング性能を実現。その他、カーボン製のエンジンフード&フロントフェンダー&前後ドアパネル&カーゴアウターパネル、同じくカーボン製のエンジンフード&リアドアパネル&カーゴアウターパネルとすることで、徹底的に軽量化されている。

チーム三菱ラリーアートAXCR参戦報告会

総合優勝とチーム優勝を獲得したチーム三菱ラリーアートは、2025年9月2日にAXCR2025の優勝〝凱旋〟報告をメディア向けに行なった。ドライバーのチャヤポン選手とコ・ドライバーのピーラポン・ソムバットウォン選手が来日し、増岡浩 総監督とともに登場。
総合優勝したチャヤポン選手は「小さい頃に三菱車がWRCで活躍しているのをテレビで見ていて、いつか三菱車で参戦してみたいと思っていたが、夢が叶った。2024年は優勝目前でリタイヤとなったが、今回はトラブルに見舞われてもチームの協力やマシンのおかげで優勝できて嬉しい」と語った。実はチャヤポン選手は今回20kgもの減量をしてAXCRに臨んだというが、まさに気迫の勝利だろう。

「チーム三菱ラリーアートにはチームワークの強さがあります」とは増岡総監督。
「例えば田口選手の105号車のサスペンション修理は、本来20分ほどかかる作業を9人がかりでわずか9分40秒で完了。ペナルティなしで再び競技に送り出しました。チャヤポン選手のスタックやラジエタートラブルも、小出選手のクイックサポートやメカニックの頑張りでタイムロスを最小限に抑えることができたのです」と今回の勝因を話した。
AXCR2025には、三菱をはじめトヨタ、いすゞ、そしてフォードが新たに参戦して熾烈な戦いを極めたが、増岡総監督によるとディフェンディングチャンピオンとして、すでにAXCR2026に向けての戦いは始まっている。

TEAM MITSUBISHI RALLIART TRITON RALLY SPEC.

●全長×全幅=5070㎜×1995㎜ ●ホイールベース(前/後)=3130㎜ ●トレッド=1730㎜ 
●エンジン型式:4N16型(直4ディーゼルターボ) ●総排気量:2439㏄
●三菱重工エンジン&ターボチャージャ製VGターボチャージャー 
●最高出力:160kw以上 ●最大トルク:500N・m以上 
●エキゾーストシステム:HKS製AXCRコンペティションモデル
●トランスミッション:6速シーケンシャル ●駆動方式:4輪駆動(フルタイム4WD)
●ステアリング:ラック&ピニオン(パワーステアリング)
●サスペンション(前):ダブルウィッシュボーン式独立懸架コイルスプリング
●サスペンション(後):4リンクリジッド式コイルスプリング
●ショックアブソーバー:CUSCO製減衰力調整式ツインダンパー ●前後デフ:CUSCO製 差動制限装置付
●ブレーキ:ENDLESS製モノブロックブレーキキャリパー、ベンチレーテッドディスク、パッド
     FORTEC製 競技用ブレーキフルード
●タイヤ:横浜ゴム製GEOLANDAR M/T G003(245/75R17)
●ホイール:WORK製アルミニウムホイール(17×7J)