■GEOLANDAR M/T G003
4WD・SUVファンの皆さんならご存知の4WD専用タイヤであるヨコハマ『GEOLANDAR(ジオランダー)』シリーズが今年、ブランド誕生から30周年を迎える。長い歴史を着実に刻んできたのは、確かな性能とファンに愛されるルックスを両立しているからだ。今回はGEOLANDARのフラッグシップタイヤである『GEOLANDAR M/T G003』を検証し、その魅力に改めて迫ってみる!
4WD・SUVタイヤブランドの『GEOLANDAR(ジオランダー)』は、今年が生誕30周年。これまでビギナーから街乗り派、さらに本格オフローダーまで、実に幅広いユーザーから信頼や支持を集め、またラリーやオフロードレース、トライアルなどのコンペティションシーンでも輝かしい実績を残してきた。この30年の歴史は、まさに4WD・SUVユーザーとともに築いてきた “ ワダチ ” といえるだろう。
今回は “ ジオランダー30周年企画 ” として、ブランドの現行タイヤを実際にフィールドに持ち出して、魅力を改めて検証してみる。選んだのは『ジオランダーM/T G003』。本格マッドテレーンタイヤとして強いオフロード志向であるのはもちろん、オンロードパフォーマンスにも定評のある、ジオランダーブランドのフラッグシップタイヤだ。
装着したのはランドクルーザーGDJ76。2023年に日本でも再々販が開始された最新のランクル70だが、このナナマルのデビューは1984年で、今年41年目。ジオランダーとも親密な関係を築いてきた、最右翼のオフローダーといえよう。
テストカーは4WDパーツの老舗メーカー『4×4エンジニアリングサービス(4x4ES)』のデモカーで、2インチアップのサスペンションカスタムを実施。
今回、装着したG003のサイズは純正より大き目のLT315/75R16。ただし外径は約35インチあって、リフトアップしたナナマルでもサスペンションが伸縮した時にインナーフェンダーに干渉することがあったことを、最初に断っておきたい。
本格オフローダーと本格マッドテレーンタイヤの組み合わせということで、早速オフロードコースへ。舞台は愛知県の『アドベンチャーとよね』。まずは林道的な外周路。ドライビングを任せたのは4x4ESスタッフの住本麗次さんだ。
印象的だったのは、マッドテレーンならではの頼もしさと安心感、そして乗り心地の良さだ。ガレ場の登りのようなシーンでも路面をしっかり噛んで、勢いに任せなくても、ジワジワと登っていく。315サイズでエアボリュームが大きいということもあり、岩の突き上げも上手に吸収する。路面が悪化していき、尖った石もチラホラ…踏んで大丈夫か? なんて場所もスムーズに通過。この心の余裕は安全なオフローディングに寄与してくれる。
さらに場面を変えて“とよね”の名物「約30度モーグル・ヒルクライム」へ。テスト時の路面は折りしもマッディで、マッテレタイヤを試すには絶好の状況だ。ここでもG003はネをあげず、路面を噛み込むようなグリップを遺憾なく発揮する。ライン取りによってはグリップを失いそうになるが、ナナマルならではの前後デフロックを駆使し、さらにG003のサイドブロックを上手く使いながらも、なんとかクリアしてみせた。ワイルドなルックス、とくにサイドのアグレッシブなブロックデザインは街乗り専門のドレスアップ派にも人気だが、見た目だけでない本格的な実性能を証明してくれた。
「サスペンションやデフロックも大事ですが、最終的に路面に駆動力を伝えるのは、タイヤです。タイヤのトラクション性能が優れていなければ、今回のようには走れないでしょうね」とテストドライバーの住本さんも印象を語る。
一方、オンロードではゴツゴツしたM/Tタイヤのルックスとは裏腹の、快適な乗り味を披露する。4x4ESの“カントリーサスペンション”との相性もあるが、実にしなやかな乗り心地でタイヤノイズもほとんど気にならない。ワインディングもロール感の強いナナマルながらハンドリングは素直。ステアリングを入れた時の反応も自然で軽快だし、ロールが起きてからしっかり踏ん張ってくれるグリップも、M/Tタイヤとは思えない安心感がある。
ちなみに住本さんはプライベートでも愛車のランクル80にG003を装着している。さらに家族とのドライブやオフロード競技出場も、すべてこのG003を履いたまま過ごしている。「タイヤとしてのバランスの良さが『ジオランダーM/T G003』の何よりの魅力です」と語ってくれた。

今回テストドライバーをお願いした4x4ESスタッフの住本麗次さん。普段はサスペンションなどの開発を担当しているが、プライベートではオフロード競技会に出場し、上位入賞の常連。愛車はランクル80でG003を装着する。

テスト車両は、4×4エンジニアリングサービスのデモカーであるランクル70(GDJ76)。前後バンパーは試作、ホイールは名品“ブラッドレーV”で、今回の装着サイズは16×8.0Jでフロントがインセット±0、リヤが−25。タイヤ幅があるため前後に“アドオンフェンダー”も装備。サスペンションは2インチアップ仕様の“カントリーサスペンションキット(撮影時はまだ試作品)”。ただし外径35インチのタイヤだとサスの伸縮時に少し干渉する可能性がある。
ジオランダーM/T G003の特徴



ジオランダーを代表する本格マッドテレーン(M/T)タイヤが『ジオランダーM/T G003』。ジオランダーの登場時からラインナップしていたM/Tタイヤは、同ブランドでは常にフラッグシップのポジションを築いてきた。現在のG003はその3代目モデル。トレッドに刻まれた荒々しいラージメッシュ・ラググルーブ、トレッドパターンがサイドにまで拡張されたようなアグレッシブサイドブロックは、4WDらしい力強い足もとを演出するドレスアップ効果はバツグン。もちろんマッドやロック、砂といったハードなオフロードで頼もしいトラクションを発揮する実性能も有している。こうしたオフロード走破性を高める技術が盛り込まれているが、オンロードでのタイヤノイズ低減や乗り心地も考慮され、普段使いの快適性も実現するオールラウンド性が魅力だ。サイズはLT規格を中心に多数のラインアップを誇る。

『とよね』の外周路は林道風のレイアウト。所々に尖った岩も露出しているが、今回のとくにエアボリュームもある315サイズのG003なら、足もとを気にすることなく踏み込める。乗り心地も良好だ。

名物のマッド&クライムはライン選びに苦労するが、前後デフロック、そしてサイドブロックがよく噛み、なんとかクリアできた。

取材当日のコースは前日の雨で少しマッディ&スリッピー。厳しいセクションでもG003はしっかり路面を噛んで、確実に進み、そして止まる。

ランクル70の最終兵器ともいえる前後デフロック、そしてカントリーサスペンションの伸縮バランスもあって、クロカンシーンのオフロード性能は最強レベル。もちろん最終的に路面にグリップを伝えるタイヤの性能があってこそ、このパフォーマンスが成立する。


M/TタイヤらしいアグレッシブなビジュアルのG003だが、オンロードでは乗り心地もしなやかでタイヤノイズも気にならないレベル。長距離ドライブもストレスなし。ワインディングでもステアリングに対するレスポンスはよく、ハンドリングは軽快。ドライorウェットを問わず、グリップも安定していて、挙動にも安心感がある。
- Special Thanks:4×4エンジニアリングサービス (https://www.4x4es.co.jp)
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