TOYO TIRES(トーヨータイヤ)のSUVタイヤブランド『OPEN COUNTRY(オープンカントリー)』のブランドアンバサダーを務める、オフロードレーサー:三浦 昂(みうら・あきら)選手が快挙を成し遂げた!前述の通り、バハ ギリシャの最上位であるULTIMATEクラスに初参戦し、見事にクラス優勝を達成した。今回はそんな華々しい成績を残した三浦選手をメインに〝スペシャルクロストーク〟インタビューを実施してみた。
―― まずはクラス優勝おめでとうございます。今回がULTIMATEクラスでの初参戦と聞いていますが、普段のダカールラリー参戦と比べてどうでしたか?
三浦選手(以下、三): ダカールラリーで数々の実績を誇るレーシングチーム「Overdrive Racing」の協力があってのことですが、まずは、あのルックスのマシンっていうのは自分にとって本当に夢のマシンでした。例えばF1でいうとフェラーリだったり、レッドブルのトップマシンなわけで。そのマシンと対面して、自分がシートに座って本当にコレに乗れるんだっていうことで、心臓がすごいドキドキしちゃって(笑)。
このマシンからの景色だったり匂いだったり、すべてが自分にとっては特別でした。だから性能はもちろん素晴らしいですが、憧れていたマシンに乗れたという喜びがまずは大きかったですね。
―― プレッシャーは感じていましたか?
三: もちろん。乗るからには上位を目指していますし。バハ ギリシャでいい結果が出たのは嬉しいですが〝結果的に〟という感じもあって。実は一番大事にしていたのは、このマシンとタイヤをしっかり理解して〝次に乗るまでに何を準備すべきかを明確にする〟というのが、テーマだったんです。そのために必要なことをいろいろと試しながら1㎞でも長い距離を走ろうと。そういう意味では、すごくいい集中力を持って乗れたので、こうやって走りたいな、というイメージはできました。
―― ちなみにバハ ギリシャはどんなレースなのでしょうか?
三: 皆さんがイメージしやすいように話すと、僕たちが普段やっているクロスカントリーラリーとは違って、基本的には2日間くらいで構成されていて、2種類か3種類のコースを複数回走る競技なんです。路面に関しても全然違っていて、砂漠のイメージが強いダカールラリーに比べて、バハ ギリシャは基本的にはグラベルばかりです。一番イメージがしやすいと思うのは、日本のオフロードコース『さなげアドベンチャーフィールド』の道が延々と森の中で続いて行くみたいな感じですかね。
―― それではタイヤも今回は全く違うものが用意されたのでしょうか?
坂田(以下、坂) : オープンカントリーM/T-Rという同じネーミングではありますが、これまで提供してきたのは砂漠に特化させ、さらにランクルに合わせるカタチでやらせていただいたものです。グラベルでの本格的なテストというのは、今回のタイヤでは初めてで未知の部分が多かったのは事実です。今回のULTIMATEクラスのハイラックスに向けて予想していた面はありますが、最初は手探り状態でした。今回の結果を受けて、いろいろと見えてきたかな、というところが正直なところです。
―― 実際に乗ってみて、三浦選手からのタイヤの印象はどうでしたか?
三: まずはどれぐらいの完成度かなっていうことを確認しながら乗ってみました。僕がいつも大事にしているのは、クルマがタイヤを掴んでいるような感覚で、路面に対してどういう状態になろうとしているかということが、いかに伝わるかっていうことが重要で。色々とその方向に向けているなっていうのはすぐ分かったんです。なのでマシンのパフォーマンスはスゴイですが、走りには安心感がありましたね。こんな言い方したらちょっと偉そうですが、初めてなのに思ったより完成度が高いなと。
―― さすがタイヤのスペシャリストってことなんでしょうね。
三: まさしくその通りで、性能を突出させるのは簡単なのかもしれませんが、やはりバランスなんですよね。何か性能を求めて、何かを切り捨てるわけじゃなく、そのバランスを決めるのがめちゃくちゃ難しいだろうなって。今の良さを残しつつ、いろんなことやパフォーマンスを欲張りたいということを思ったので、それを技術者の皆さんには、お話ししてフィードバックさせていただきました。
TLC(Team Land Cruiser)のドライバーとして、これまで三浦選手はダカールラリー市販車部門に参戦してきた。そしてダカールに特化したTOYO TIRESのオープンカントリーM/T-Rは2022年からTLCのマシンに投入され、翌2023年、2024年とTLCの11連覇に貢献。上のオフロードラリーシリーズFIA World Bajas CupのULTIMATEクラス(いわゆる最上位クラス)に参戦するマシンと比べると、これでも市販車に近いことがよく分かる。
OPEN COUNTRY M/T-R
三浦選手の走りを文字通り支えているM/T-Rだが、ダカールラリー用はタイヤの空気圧を極端に下げずとも砂丘での優れた走破性やマッド走行性能を発揮でき、ドライバビリティに優れるタイヤである。
ちなみにダカールラリーマシンが装着しているM/T-RのサイズはLT285/70R17、バハギリシャで使用したM/T-Rは40×13.50R17 LTと、サイズからして大きく違っていることが分かる。さらにこのタイヤは同じネーミングであっても、ダカールラリー用、バハ用といった具合に、各レースに合わせてチューニングや仕様が異なっているとのこと。そう、別のタイヤと言っても過言ではないのだ。
〝オプカン〟の最先端・最高峰のM/T-Rは、開発にフィードバックされ日々進化している
松原(以下、松): 我々としてはひとつの結果に対して課題が出て、いろんな観点でフィードバックをしてもらって、その中でバランスを取っていくというのが、チャレンジしがいがあります。課題に対して「どうしようかな」という時が、やはり一番開発者としやりがいがありますね。
三: 最近驚いたのが、パターンを変えたりゴムの素材を替えるだけでなく、内部のケース構造の変更が、実際のタイヤ性能にはすぐ効いている気がします。
浅田(以下、浅): パターンやゴムもタイヤの性能の大きな部分ではありますが、中身を変えることで大きくクルマの乗り味、特にハンドリング性能、乗り心地だったりには大きく寄与します。だからULTIMATEクラスのハイラックスに向けて、どういうチューニングがベストな対応になるのか、どの繊維を使えばいいかとか、ゴムの硬さや厚みなどについてチューニングしていくのが、設計者の腕の見せどころですね。
松: 例えばプライ数はタイヤを形づくるくらい重要な要素です。1枚から2枚、2枚から3枚に増やせば、それだけ強度は上がります。ただし増やせば増やすほど重量が増えてしまう。だからこそ、三浦選手も先ほど言っていましたが、バランスを取りながらの設計になります。もちろんオフロードでは耐久性が相当に重要視されますから、できるだけ増やす方向性になると思います。
坂: 我々としては、やはり性能に対しての要望が来たらしっかり早いスパンでリアクションして、改良していくことを心がけています。元々部署自体がOEMタイヤの開発を主にしているので、そういったところで磨かれてきていますしね。短いスパンで改善しなくてはいけないなと。
―― 次のカタールへの意気込みや目標があったらお願いします。
三:次のカタールはテストではなく、本当の競技・コンペティションのつもりで走ります。そうすることで、自分自身のドライビングの課題やタイヤに対してフィードバックできることが、違った形で出てくると思うんです。コンペティション目線になると予期せぬ心理状態になりますし、通常はやらないミス操作をしたりという失敗もあります。でもそれも含めてレースですから、生のレースに近い感覚を得たいなと思っています。また次のレースはクルマの台数が増えるのはもちろん、いわゆるトップドライバーの選手もたくさん出てくるはずで。いきなり彼らに勝てるほど甘くはないですが、その選手たちと競い合うのを楽しみたいと思っています。
―― 最後にオープンカントリーの魅力を読者の皆さんに伝えてもらえますか?
松: 私は入社以来、オープンカントリーをずっとやらせていただいています。日本国内に復帰した市販向けタイヤは当初3サイズから市場にスタートしたんですけど、そこから携わらせていただいて。それがこういうトップカテゴリーの、本当のコンペティションに繋がる一番タフなタイヤを設計させていただけることが、ありがたいです。三浦ドライバーにも本当に感謝しています。皆さんもまずは乗っていただければと思います。その上で、このオープンカントリーの良さが少しでも伝わればいいなと思いながら、これからもいい製品づくりを行なっていきたいと思います。
―― きちんとした性能を持っているタイヤには、ストーリーがあると、グッときますね。より積極的にタイヤを選びたくなるような話をありがとうございました。次のレースも応援していますので、いい結果を聞かせてください!
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