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トライトン

2023.12.18

新型トライトン検証!JMSでの日本初披露に加えレッツゴー4WDフェスに降臨

 ジャパンモビリティショー2023において、三菱自動車は日本仕様・プロトタイプの新型『トライトン』を日本初公開した。
 この1tピックアップトラックの新型トライトンは7月にタイで世界初公開されたモデル。日本市場には約12年ぶりの投入することが明らかになっており、2024年初頭に販売予定。その価格も明らかとなり、予定価格帯は498万円~540万円とアナウンスされた。
 ジャパンモビリティーショー2023で実車が日本初披露されたトライトンだが、実はレッツゴー4WDフェスにも登場していた。しかもドドンと4台!4WD登坂キットでのトライトン初のデモンストレーション走行のほか、新型トライトンの生みの親である企画責任者と開発責任者が熱く語る「新型トライトン・スペシャルトークショー」も開催されるなど、本誌的にはトライトンのポテンシャルにワクワクする状態である。
 まずはトライトンについて簡単におさらいしておこう。かつて日本で販売されていたストラーダの(もう少し細かに語ると78年に誕生したL200)の末裔となるモデルであり、スタイリングはベッドとキャビンとを組み合わせた“ピックアップトラック”スタイルだ。その生産はタイでずっと続けられており、初代トライトンはV6ガソリン+4ATという組み合わせで“限定車”というカタチで逆輸入されていたことも。
 かつてストラーダの好敵手だったトヨタ・ハイラックスが2017年にタイから逆輸入を開始すると、大き過ぎるボディという弱点はあるもののディーゼルユニットの搭載も功を奏して、スマッシュヒット。そして、後を追うように三菱も、再びトライトンを国内導入する。

2024年に国内に投入される日本仕様の新型トライトンの価格は498万円からを予定

2023年7月26日に生産国であるタイにおいて、3代目となる新型トライトンは発表された。耐久性と信頼性を極限まで磨いた新開発のラダーフレームを採用し、高出力化と環境性能向上を両立した新開発の2.4ℓクリーンディーゼルターボエンジンを搭載。またサスペンションも同じく新開発され、オンロードでの良好な乗り心地や優れた操縦安定性を披露。一方でスーパーセレクト4WD-Ⅱとバージョンアップしたドライブモードが相まって、オンロードのみならずオフロードでも高い走行性能を実現しているという。内外装に一切抜かりなく、見た目にも頼もしく存在感のあるフロントフェイスとワイドで厚みのあるスタイリング、機能的で操作性に優れた、上質感を持ったインテリアを実現。さらに衝突安全性能の向上と運転支援機能の充実、快適性の大幅な向上によって、ビジネスユースからパーソナルユースまで幅広く対応する新時代のスーパー本格派ピックアップトラックといえよう。来年初頭に国内へ投入することも発表されているが、その価格帯は498万円~540万円と公表されている。

■世界を駆ける三菱の本格派モデル

2024年に日本へ導入される新型トライトンのボディサイズは全長5360㎜、全幅1930㎜、全高1810㎜と、国内で取り回しや駐車場に苦労するサイズであることは変わっていない。エンジンはツインターボを採用した2.4ℓディーゼルで、トランスミッションは6速AT。ボディはラダーフレーム別体構造とし、サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン式コイルスプリング、リアはリーフリジッド式を組み合わせ、4WDシステムにはパジェロ譲りのスーパーセレクト4WDⅡを採用。まさにヘビーデューテイ4WDそのものの内容だ。
  実は日本導入の正式発表前に本誌を含む限られたメディアは、北海道にある『三菱自動車十勝研究所』内の十勝アドベンチャートレイルにて、オフロードのテストドライブを行なっていた。

 新型トライトンでまずオフロードコースにインするまでの数mので、そのすべてが乗用車的になっていることに気づいた。タイヤの接地感が豊かで、その転がりも実になめらか。アクセルペダルに足を乗せただけですっと発進する。ステアリングを操作すればそこにはダイレクト感がありつつ、軽快さもある。
 そう、ピックアップトラックに残されているはずの「曖昧さ」が見当たらないのだ。例えばステアリングギア比はクイックだが、かといって違和感を覚えるほどではない。まさに意のままの感覚がそこにはあり、乗用車的なのだ。ボディサイズは決して小さくなく、ロングホイールベースも相まって、独特の乗り味があるはずなのに、それを感じさせない。

 その上乗り心地にも不満は見当たらず、上下動の激しいオフロードでも、突き上げを感じさせる手前にとどめていたから驚きだ。もちろん、大きな入力に対しては、乗用車の乗り心地とは異なる面もあるが、そこに不快と表現する乗り味は見当たらなかった。トルクフルだが、扱いやすさも備えていたエンジンフィールも強く印象に残った。
 これはフルモデルチェンジによって新時代のピックアップトラックスタイルを手に入れていることにほかならない。新型にスイッチした際にラダーフレームも一新しており、それによってハンドリングから乗り心地、そして快適性に至るまで、すべてをブラッシュアップしていたのだ。
 もちろんオフロード性能も、サスペンションを伸ばしてタイヤを接地させ、そこに、4WDシステムとシャシー制御を加えるという、走破性の基本に忠実な設計により、高い走破性だけではなくドライビングしやすい(いや、ドライビングが愉しい)。
 ある程度ヘビーなオフロードコースにもかかわらず、ボディや下回りへのヒットを気にすることもなく、4WDシステムはフルタイムモード、ドライブモードはノーマルのままで走り切ってしまった。ちなみに新型トライトンには、7つのドライブモードが設定されている。これをグラベルに切り替えると、タイトコーナーでグイグイとインへと誘うかのように制御も変わる。一方でロックやサンドでにすると、タイヤがグリップを失った際に確実にクルマを前進させる。つまり4WDシステムによる確実性に加え、操る愉しさと安心感がハイバランスされている。
 オンロードのテストドライブもできていないため、まだまだ新型トライトンの真のポテンシャルをしっかりと味わったわけではないが、そのパフォーマンスは相当に高いことは随所に感じられた。
 こうした性能の一端は、レッツゴー4WDフェスでの〝三菱〟4WD登坂キットのデモンストレーション走行でも十二分に分かるレベルだった。それほどに圧倒的なのだ。発売後に改めてテストドライブできる機会が、すでに待ち遠しくなっているのは、言うまでもない。
ボディは大柄となり、ウインドウ面積も狭められるなど、キャビンからは周囲を把握しづらいのではないか?と思われるかもしれない。しかし実際は逆。ボンネットの両端がカットされている分、その先の路面の様子を確認しやすい。デザインと視認性(機能性といっても良い)をバランスさせているところが多い。
水平基調のインパネ、サポート性の高いシートデザインなど、まさに、シンプルかつ質感を覚えさせる、乗用車なテイストがあちこちに見られる。リアシートは膝前のスペースをしっかりと確保しているだけではなく、フロントシートの下へと足をすっと入れられる形状としていることなど、ピックアップトラックだから仕方ない……という言い訳は一切感じられない隙の無さが特長だ。
パジェロ譲りのスーパーセレクト4WDⅡを採用。燃費効率に優れる2WD、さまざまなシーンに対応できるフルタイム4WD、確実なトラクションを約束してくれるパートタイム4WDに加え、ローギアを組み合わせてハードなオフロードも果敢に走破できるローモード(パートタイム4WD)を備える。
トライトンの要でもあるラダーフレームは、先代モデルよりも断面積を65%増やした。またハイテン材の採用比を高つつ軽量化を図りながら、曲げ剛性では60%、ねじり剛性では40%アップを果たした。その特徴は強靭かつ軽量なだけでなく、ハンドリングや乗り心地といった乗用車的なフィーリングを高めるのにもプラス。もちろん衝突時のエネルギー分散もデザインに織り込まれている。対してサスペンションはフロントはアッパーアームを高い位置として、オフロードにおけるサスペンションストロークを大きく確保できるダブルウィッシュボーン式。リアはリーフリジッド式なれど、リーフスプリングの枚数はなんと3枚で対応。もちろん軽量化にも貢献。
国内仕様のタイヤは265/60R18 のみ(の予定のようだ)。標準装備されることを念頭に開発されたタイヤサイズであるがゆえに、乗り心地に不満は見当たらない。